"エスカレーター"マナー続編・アイデア集まる! 2022年2月7日

NHK福岡放送局 記者 福原健
2022年4月4日 午前11:03 公開

みなさんはエスカレーターにどのように乗りますか?

福岡は、急いで上がる人のために右側を空けて乗る人、そうして空いたほうを駆け上がっていく人も多いと思います。  

一方で、左半身にまひがあり右側にしか立てない人からは、

「舌打ちをされたことがある」
「左側から追い抜かれて怖い思いをした」  

といった声も聞かれています。

また、歩行中での事故も起きていて、鉄道会社などは「立ち止まって2列で乗ること」を呼びかけていますが、ほとんど浸透していないのが現状です。  

そこで前回の放送では「2列で乗るために、すべての人が気持ちよく利用できるいいアイデアがないか」を視聴者の皆さんに募集しました。  

その結果、26ものアイデアが寄せられ、予想を上回る多さに驚きました。
皆さん、ありがとうございました!  

【寄せられたアイデア】

まずは、どんなアイデアが集まったのか、その一部を紹介します。

(アイデア①)
「急ぐひとは階段へという呼びかけにしたらどう?健康にもいいし」。  

(アイデア②)
「DJポリスのように職員が呼びかけを行う」。  

(アイデア③)
「先に『2列乗りにご協力いただきありがとうございます』って言ってしまえば
協力するのでは?」  

【どんな人がアイデアを?】

こうしたアイデアを寄せてくれた人は、どんな人なのか?
その1人を取材しました。  

青森県に住む杉山竜司さん。

1年半前に脳卒中で倒れ、左半身にまひを抱えています。
アイデアを投稿した理由は、いたってシンプルでした。  

(杉山さん)
「少しでも同じ障害のある人が住みやすい世の中になればいいなと思い投稿しました」。  

杉山さんはSNSを通じてリハビリに挑戦する動画を発信していて、エスカレーターの乗り降りについても、その難しさを伝えてきました。  

(杉山さん)
「障害者もそうだが、押されたりぶつかったりされると体勢を立て直すことが
すごく難しい。それによって二次災害が起こることもある。右半身にまひがある人は
左側にしか立てないので、どっちに立つかという問題ではなく
エスカレーターは歩かないでほしい」。  

そんな杉山さんから寄せられたアイデアは、「車道と同じように止まれのマークをつけたらどうでしょうか?」というものでした。
そのほか、足型のマークはどうかというものも。  

【アイデアを交通局へ!】

「杉山さんたち視聴者のアイデアの中に、何か実行できるものはないか」

そう考えた私たちは、福岡市交通局に向かいました。

提示したのは、アイデアを8つにまとめたもの。

ひとつずつプレゼンを進めていく記者に、真剣な表情で耳を傾ける職員たち。
早速、アイデアに関心を示してくれました。  

特に反応がよかったのは、杉山さんも寄せてくれた、
「ステップに一時停止とか足形のプリントをしたらどうか?コロナ禍でなじみもあるし・・・」
というアイデアでした。  

(職員)
「コロナ禍のこの時期に足形になじみがあるという話は『なるほどな』と思った」。

実はこのアイデア、投稿数が最も多いものでした。
このことを伝えると、さらに話は盛り上がります。  

(職員)
「意見が多いっていうことは、僕たちが『そうだろう』っていうことじゃなくて、
実際に視聴者の方もそうすると2列で止まりやすいと思っているんですよね」。  

(職員)
「『僕だったらこれで止まります』って思っているから、
これはなんかすごくいい意見なんじゃないかなと思います」。  

一方、すべてがうまくいくわけではありません。

「1列しか乗れないエスカレーターを作ればいいんじゃないか」

というアイデアに対しては・・・。

(職員)
「1列になったとしても、後ろから歩いてくる音が聞こえると歩かざるを得ない、
急ぐ人のプレッシャーというものはある。
せっかく工事して作ってもどこまで効果があるのか・・・」。  

(職員)
「ハード面からも難しい・・」。  

また、交通局側からはこんな質問も寄せられました。

(職員)
「反対意見ってありましたか?なんで歩いちゃだめなんだ。
なんで左側だけじゃだめなんだっていうのは」  

(記者)
「そういう『歩くのは自由じゃないか』っていう意見はあったので、
そう思っている方は一定数いらっしゃる」。  

どうすれば、誰もが快適にエスカレーターを利用できるのか。
白熱した議論はおよそ1時間にわたりました。  

その結果・・・

8つのうち、杉山さんのアイデアを含む6つを前向きに検討してもらえることになりました。  

(福岡市交通局・宮﨑岳彦 営業課長)
「たくさんの意見がこの短期間できていてびっくりしたし、
どれも視聴者の方の熱が伝わってくるような、
おもしろいアイデアがあったので
できるだけ実現できるように私たちも頑張っていきたい」。  

最初の放送から2か月で、マナーを変えるきっかけを作るためのアイデアを伝える段階まで来ましたが、これで終わりではありません。
皆さんのアイデアを実行に移していけるよう、これから具体的な話を進めていきたいと思います。  

追跡!バリサーチではアイデアや意見を引き続き募集しています。

投稿フォーム

(あて先)
〒810-8577
(住所不要)NHK福岡放送局『バリサーチ』係  

【取材後記】

「身体が不自由になる前はこんなに真剣に考えた事なかった」。

今回取材に応じてくれた杉山さんの言葉です。半身まひを抱えて初めて、日常生活で使うエスカレーターの怖さを知ったといいます。

私自身もそういう人の存在を知るまでは、このテーマについて真剣に考えることはありませんでした。きっと、いま左側に立つ人、右側を歩く人も、何かひとつ考え直すきっかけがあれば変われると思います。

交通局も「お客様もきっと分かってくれる」と信じて取り組んでいます。そのきっかけを作るための一歩は踏み出しましたが、ここがスタートラインだと思っています。これからアイデアを実行に移していくこと、そのすべてを伝えることが私たちの役割だと思っています。