2/25(金)放送のバリサーチを担当したディレクターの松尾です。
福岡県で初めて緊急事態宣言が出されてから、もうすぐ2年。
長引くコロナ禍の影響を強く受けているのが、若者ではないでしょうか。
今回は若者のコロナ禍での悩みをバリサーチしました。
若者に、コロナ禍での悩み事を聞いたところ・・・。
「学校行事とか、卒業式もまともにあるか分からない(高校生)」 「対面の授業がほとんどなくて、課題ばかり送られてくる。実際に働いてみてちゃんとできるのか不安 (短大生)」 「コロナが明けたらたくさん旅にいきたい。マスクも外したいl(中学生)」
このような声がありました。
そんななか、一番多かった悩みが“友達”に関する内容でした。
「ちゃんと友達に会いたい。(大学生)」 「友達が最初いなかった。(学校に)なじめず、友達も作りづらい。(県外から福岡の大学に入った学生)」
番組が福岡の若者50人に調査したところ、およそ4割といちばん多かったのが「友達と会えない・友達ができない」という声でした。
福岡は全国的にも大学や専門学校が多い町と言われていますが、若者たちがキャンパスライフという人との交流を通じて、自分を成長させる機会を得られていない様子がうかがえます。
今の若者の友人事情を知るため、県内のある大学生を訪ねました。
北九州市の大学に通う、渡邉愛花 (わたなべ・あいか)さん。去年4月に大学に入学し、一人暮らしを始めました。
入学1か月後から授業がリモートになり、緊急事態宣言中はほぼ大学に通っていませんでした。
去年の夏ごろから徐々に対面授業は再開しましたが・・・。
「マスクをしているから、1回授業で会って仲よくなっても次の授業で同じ人か確信が持てなくて話しかけられなかったりとか。」
コロナ禍で食事会もほぼなく、基本はひとりで自炊。友達づくりのチャンスはなかなかありません。
そんな渡邉さんにとって、楽しみの一つがサークル活動です。
しかし、サークルでの友達作りも、思うようにうまくいきません。
渡邉さんは放送研究会に入りましたが、感染対策で部室に5人以上で集まることが禁止され、全員が集まって活動できたことは一度もありません。そのためSNSで情報交換をするしかありませんが、お互いの顔を知らない人も多く会話も盛り上がらないといいます。
コロナ禍だからしょうがないと、最初は一人時間を楽しんできた渡邉さんですが、入学して1年が経とうとする今、考えが変わってきました。
「自粛しなきゃいけないのは分かるんですけど。でもやっぱり今19歳で今年20歳で、成人になるまでのこの短い期間をもっと目いっぱい遊びたい気持ちもある。」
臨床心理学の専門家である、九州産業大学の窪田由紀教授は、「人との交流の少なさ」が若者に及ぼす心理的影響をこう指摘しています。
「いろんな人・こと・ものに関わる中で、自分はこういう人間なんだと(自分自身を理解していく)時期に、ひとりひとりが分断される形になると、自己肯定感が育たない。」
窪田教授の勤める九州産業大学では、学生の孤独感を解消する目的で、学生が相談役を務める窓口を作り、学生同士がなんでも気軽に話せる「ピアサポート」という取り組みを去年から始めているといいます。
さらに、今すぐできるコミュニケーションの工夫として、リモート授業やオンラインでの集まりでは雑談ができる時間をあえて設けることや、積極的に周りの人に話しかけたり自分を出していくことを挙げていました。
取材を終えて、今の若者が想像以上の孤独や我慢を強いられている現状を知り、自粛が若者に与える影響について真剣に考える時期に来ていると思いました。
福岡の若者がどうしたら友達ができるのか。大人が若者のためにできることや、若者の皆さまからのアイデアを募集しています。ぜひご意見をお寄せください。