バイクの"騒音" どうしたら・・・ 2021年9月10日

NHK福岡放送局記者 西潟茜子
2022年4月4日 午前11:03 公開

「おまわりさんへ。
ぼくは夜になると困っています。
ブンブンブーンという大きな音。
たすけてください」  

交番に届けられた小学生からの手紙が、今回の取材のきっかけです。

いったい何が起こっているのか。

向かったのは、福岡県西部・糸島市二丈の海岸です。
この海岸に隣接しているパーキングエリアが今回の「現場」。  

日中は、ドライブの休憩場所や観光スポットとして家族連れやカップルなど多くの人が訪れますが夜になると、様子が一変しました。  

けたたましい音を立ててパーキングに集まった派手なバイクの数々。
空ぶかしやドリフト走行、時には花火を上げることもあり明け方まで大きな音が鳴り響きます。  

警察で調べてみると今年4月までに、騒音に関する110番の件数は例年の2倍近くに上っているというのです。
警察も取り締まりを行っていますが、悪質行為は繰り返されています。  

いったいなぜ、彼らはここに集まるのか。直接、聞くことにしました。
出会ったのは、10代後半から20歳までの若者たちでした。  

(記者)
「なぜ、大きな音を出しながら走るの?」
(グループの1人)
「海の近くで比較的住民も少ないし、ここは大丈夫かなと思っていた」と答えました。  

(記者)
「困っている人たちがいることをどう思っているの?」
(グループの1人)
「うるさいことは自覚しているけど、今はここしかない。自分たちの居場所でもある」  

調べると、近年、県内各地のパーキングが次々に夜間規制されていました。
彼らが「居場所」を求めて行き着いた先が、ここ二丈パーキングだと言うのです。  

私は、住民の人たちの声も聞きたいと、インタビューをお願いしましたが
取材は行き詰まりました。
「報復が恐ろしく、声を上げられない」と答えた人や、実際に嫌がらせを受けたという人もいました。  

その中で、どうしても知ってほしいことがあると、後日メールをくださった方がいました。

「糸島は海も山も近く、環境的に子育てにとても良いと思っていましたが、子どもも泣きながら起きてしまい、私も不眠症になってしまいました。ものすごいスピードですれ違うバイクや車と衝突をしかけて、命の危険をも、何度も感じました」

この二丈パーキングの周りでは、山に音が反響し、かなり遠くまで騒音が響きます。
取材で会った人のなかには、パニック障害の発作やストレスから帯状ほう疹になったという方もいらっしゃいました。実際の心理的、身体的な被害は私の想像を超えるものでした。  

警察はしっかり取り締まりをしているのか?という声もありますが、取り締まりを強化しているものの、いたちごっこになっているのが現状です。

それに、『騒音』自体を取り締まることの難しさもあります。
警察によると、急発進や空ぶかしについては、現行犯での検挙が前提となっていたり、エンジン音の測定を行っても、基準内ギリギリで検挙に至らなかったりするケースも多いということです。  

こうした事態を受けて、住民たちが動き出しました。

去年11月、地域の住民は、夜間の閉鎖を求める要望書を国道事務所や警察そして糸島市に提出しました。

でも、夜間の閉鎖は観光への影響も少なくない、夜も駐車場を利用したい人たちのためにはできれば避けたいなど、さまざまな意見が交わされました。

その結果、ことし7月、二丈パーキングを管理する国道事務所は、「住民の声を大切にしたい」として、駐車場の閉鎖に踏み切る方針を住民側に伝えました。

現在、具体的な開始時期について、調整が続いています。  

こうした動きに地域の代表者はこう話していました。

「もっと時間がかかると思ったが、早く前向き対応していただいて本当に助かっています。少しでも眠れるように、安心して生活できるようになれば助かります」。 

今回取材をすすめる中で、大きな問題に行き着きました。
それはこうした騒音被害は「感覚公害」というものにあたるということです。

大気や水質の汚染など目に見えるものだけでなく、うるさい、臭い、きたないといった
ひとに不快感を与えるものは、「感覚公害」というものに分類されます。  

総務省によると、全体の7割を占めるとされ、知らない間に健康被害を引き起こす可能性があるといいます。  

福岡の暮らしの中で、こうした「感覚公害」がまだ潜んでいるのではないかと思います。

皆さんからもこんなことに困っている、または解決策がある!といった声をお待ちしています。
その声に「追跡バリサーチ」でこたえていきたいと思っています。  

追跡!バリサーチ「福岡県をもっとよくするには?」