福岡に空港が二つ なぜ?

NHK
2022年9月13日 午後6:11 公開

今回は、視聴者の方から調査を依頼された「なぜ福岡には二つも空港があるのか?」についてバリサーチしました。

北九州空港

福岡空港

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【●国内でも珍しい 一つの都道府県内に2つの「拠点空港」】

県内には福岡と北九州、2つの空港がありますが、両空港とも「国際・国内の航空輸送網の拠点となる空港」と国が定めた規模の大きな「拠点空港」です。現在、同じ一つの都道府県内に、「拠点空港」が2つ以上あるのは国内でも福岡を含めて3カ所しかありません。

なぜ福岡には二つも規模の大きい空港があるのか、さっそく福岡空港の国内線展望台にて、飛行機が大好きだという皆さんに尋ねてみました。

県内に福岡空港と北九州空港の二つがあるということを知りつつも、「なぜか?」については多くの人が答えられず、「飛行機の工場があったのか?」など様々な予想も出てきました。

【●かつて旧日本軍の飛行場だった二つの空港】

空港の歴史に詳しい専門家に聞くと・・・

太平洋戦争末期、本土決戦に備え全国各地に飛行場が次々と建設され、福岡県には当時少なくとも、10か所以上飛行場があったとされています。

【●アメリカ軍に接収された両飛行場】

・専門家の山村さん
「8月15日に終戦になったあと、旧日本軍の施設だったり、軍需工場だったりというところは進駐軍(アメリカ軍)に接収されました」

飛行場の多くが実際にはほとんど使われないまま、戦後まもなくして返還されました。返還された空港は、一部は自衛隊基地などとして利用されましたが、そのほか多くは住宅や農地に変わり、飛行場としての役目を終えていきました。北九州空港もそうしたなかの一つでした。小倉の市街地の近くでしたが、滑走路が短く、軍事的にはほとんど使われないまま、返還されたのです。

【●海上へ移転 大発展を遂げる北九州空港】

しかし、北九州空港は、その後大発展を遂げます。他の空港と何が違ったのか、県の空港政策課に聞きました。

戦後、製鉄をはじめとした、ものづくりの街として発展した北九州。高度経済成長期には九州で最初に人口が100万を超え、当時は福岡市よりもはるかに人が多かったのです。大都市に近いことが有利に働き、北九州空港は発展していきました。

さらに、構想から30年以上かけて移転。海上を埋め立てた大きな空港になりました。

【●「貨物輸送」に力を入れる北九州空港】

さらに、人口が減るなか、利用者が減りはじめると、大型の専用機を呼び込むなど、貨物輸送に大きく舵を切ります。

貨物取扱量は、コロナ禍でも増え続け、昨年度は過去最高となりました。

かつて北九州に返還された小さな空港は、時代に合わせ、独自の発展を遂げてきたんです。

【●基地として使われていた福岡空港】

一方、福岡空港は戦後すぐには返還されませんでした。アメリカ軍の基地として使われ続けていたのです。特に、朝鮮戦争では重要な拠点でした。

昭和47年に大部分の返還が行われ、今のような空港利用ができるようになりました。

【●都市部に近い空港として発展を遂げる福岡空港】

福岡空港も、かつての北九州空港と同じく、大都市に隣接していたことから瞬く間に発展します。一日の利用者は、羽田や成田につぐ規模になり、福岡空港にも移転して巨大化する構想が持ち上がりました。

しかし、福岡空港が選んだのは「移転しない」という選択でした。

・福岡国際空港株式会社の重森さん

「中心地に地下鉄で、5分10分で行けるのは、世界を見てもまれな空港だと思います。そこは圧倒的に強烈な強みかなと思います」。

3年前には、空港と直結する地下鉄の改札口をリニューアル。都市部に近い空港として、利便性を高めることに力を入れてきたのです。

【●貨物の北九州 X 旅客の福岡空港】

貨物を中心にさらなる発展を目指す、北九州空港。

旅客に特化し、利便性を高める福岡空港。

福岡に2つの空港があるのは、返還された戦争の遺産を、北九州、そして福岡の人たちがそれぞれ独自に育てあげてきた結果だったんです。

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福岡県の他に、拠点空港が2つ以上あるのは北海道と大阪府です。北海道は広大な地理的要因から6つの拠点空港が作られました。大阪では伊丹にある空港の土地が狭く、拡張できないため関西空港が増設されました。独自に発展を遂げた拠点空港が2つある、というのは全国でも福岡だけと言えます。

取材を通じて感じたのは、福岡市と北九州市という2つの大都市が自分たちの手で、それぞれ独自に空港を発展させてきたことに誇りを感じていることでした。そのためか、それぞれの空港に関わる人たちが「県に2つの空港」ではなく、「福岡に1つ、北九州に1つ」と捉えていたということが印象的でした。また、コロナ禍の今、旅客に特化した福岡空港、貨物にかじを切った北九州空港がお互いを補いあう形をとれることは福岡ならではの強みだと感じました。

福岡県空港政策課の皆様、福岡国際空港株式会社の皆様、北九州エアターミナル株式会社の皆様、大野城心のふるさと館の山村様、この度はご協力頂きありがとうございました!

番組では、引き続き、福岡で気になる身近な疑問やエピソードについて、番組HPやLINEからご意見を募集しています!

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