庭にアライグマが出没!どうすればいい?

NHK
2022年12月6日 午後0:36 公開

今回の「追跡!バリサーチ」は、視聴者から届いた、こんな投稿がきっかけでした。

「先日うちの庭になんとアライグマが侵入!夜中に犬がわんわん吠えるので見に行ったら、なんと三頭もいました!どう対処したらいいでしょうか?」。

外来生物であるアライグマが、なぜ、突然、民家の庭に現れたのでしょう?

実態を探るべく、まずは投稿者のお宅を訪ねました。

そこは、福岡市南区の閑静な住宅街。

こんな場所に、本当にアライグマが出没したのでしょうか?

今回投稿してくれたゆかりさん・はるみさんの姉妹です。

アライグマに遭遇した場所に案内してもらうと、そこは、部屋からほど近い、庭のフェンスの上でした。

「あのフェンスの上に」

深夜2時過ぎ、飼い犬が激しく吠えるため、不審に思ったはるみさん。

真夜中のアライグマの出没に、驚きを隠せませんでした。

そのときに撮ったアライグマの写真を見せてもらいました。

犬が吠えても、人間が近づいても、まったく恐れることのないその姿に、恐怖を覚えたといいます。

「見た目はかわいいけど、野生動物。遭遇したときどうしたらいいんだろう」

お二人の疑問に答えるべく、次に向かったのは北九州市の「到津の森公園」。

アライグマは本当にかわいくて、思わずさわりたくなってしまうのですが…。

飼育員の延吉紀奉さんは、野生動物であるアライグマにさわるのは、とても危険な行為だと言います。延吉さんが持ってきたのはアライグマのエサ、ニワトリの頭です。

「アライグマは、あごの力が強くて固いものでもバリバリと食べます」

アライグマはアゴの力がとても強く、人間の指を食いちぎってしまうほど。

身の危険を感じると、鋭い爪で相手をひっかいたり、自分より大きな相手にも噛みついて

攻撃する獰猛さも持っているのです。

到津の森公園飼育展示係 延吉紀奉さん 「アライグマは本当にかわいいから、犬猫と同じ感覚で近づいたり、エサをあげたり、ちょっとさわってみようという気持ちにはなると思うんですけど、アライグマは野生動物で、自分の身を守るために攻撃をしてくることもありますので、絶対近づかない。これが第一ですね」。

アライグマに遭遇したら、近づいたり、さわったりせず、そっとその場を離れることが大切なのです。

さらに取材を進めてみると、アライグマは私たちに思わぬ被害をもたらしていることが分かってきました。

同じ南区にある、お寺の住職・佐々木成明さんもアライグマに遭遇したといいます。

場所は、なんと台所。猫のエサを食べあさっていたそうです。

その後、天井から怪しい物音が聞こえるようになりました。

「ミシッミシッミシッていうような、結構大きめの動物が歩いているのがすぐ分かるぐらいの大きい音ですよね」

さらに、異臭も感じるようになり、専門の駆除会社に調査を依頼。

すると、屋根裏からアライグマのフンが大量に発見されました。

アライグマは、同じ場所に繰り返しフンをする習性があります。そのため気づかないうちに、木材が腐ったり、その重みで天井が落ちてしまうこともあります。

また、アライグマの体に付着したマダニが、感染症を引き起こす恐れもあるのです。

佐々木さん「もう勘弁してくれというふうになりましたね」。

なぜ、アライグマが私たちの生活に入り込んできたのか。

きっかけは1970年代のアニメ番組でした。ペットとして大量に輸入され、その後、

野生化してしまったのです。

野菜や果物を食い散らかしたり、ペットや家畜に噛みついたり、食べてしまったり。

さまざまな被害が報告されています。

福岡市では、およそ10年前からアライグマの実態調査を行っています。

市内の各所にセンサーカメラを設置して、どのような場所にアライグマが住みついているのか調べてきました。

アライグマは、山から都市へと生息範囲を広げ、最近では、天神や博多駅の近くでも目撃されるようになりました。

都市でのアライグマ出没は今、全国で問題となっています。 

生ゴミなどのエサが豊富なうえに、天敵となる動物がいないため、アライグマにとって、都会は格好の住みかなのです。

アライグマの特徴は、その繁殖力の強さです。

シミュレーションによると、100頭が6年後に5倍の500頭。

12年後には100倍の10000頭になると試算されています。

福岡市でも、アライグマの生息範囲の拡大に頭を悩ませています。

福岡市環境局 後藤隆久課長 「市境でいなくなるわけではありませんし、(生息範囲の)広がりももっと広いものですから、もっと広い範囲での取り組みが必要だと思います」。

しかし、シカやイノシシに比べて、アライグマはまだ農作物の被害が少なく、全体の2.6%。

限られた財源の中では、対策は難しいのが現状です。

このままでは、アライグマは増える一方です。

長年、北海道でアライグマ対策に取り組んでいる北海道大学(獣医学研究院)の佐鹿万里子助教は、まず私たちができることから取り組むべきだと言います。

北海道大学獣医学研究員 佐鹿 万里子助教 「アライグマを見つけたときに、市町村とかに報告することもできますよね。どんどん目撃が増えてくれば、行政も動かざるを得なくなってきます」

また、

▼「生ゴミやペットのエサを放置しない」

▼「倉庫や物置を定期的に点検する」

▼「庭の手入れを怠らない」

など、アライグマが住みやすい環境を作らないことが重要だと言います。

「外来種のアライグマ問題を、身近で起きている問題であるということを認識いただいて、一人ひとりができることは、とても小さいかも知れないんですけれども、こういう問題が起きているっていうことを周りに伝えていったり、何かできることはないかと考えていただくことが、アライグマ対策を進めるために、とても重要になってくると私は考えております」。

現在、佐鹿助教はクラウドファンディングなどを活用して、アライグマの繁殖のメカニズムを解明する研究に取り組んでいます。繁殖を抑制することで、捕獲・駆除されるアライグマの数を減らし、一日でも早い問題の解決へとつなげていきたいと考えています。

そのお話を聞くなか、

「アライグマの問題を引き起こしたのは、私たち人間であり、駆除されるアライグマに罪にありません。しかし、アライグマが様々な被害を引き起こしているのも事実なので、私たち人間が解決しなければなりません。」という言葉が、とても心に残りました。

被害の実態を知った当初は、アライグマを悪者のように感じていましたが、そもそものきっかけは、外来生物であるアライグマを、私たち人間がペットとして連れてきたこと。

それが今、このような形で私たちに跳ね返ってきている。その事実をしっかりと受け止め、自分たちにできることから取り組むことが必要だと痛感しました。

番組では、引き続き、皆さんの気になる疑問や身近なエピソードを募集しています!

たくさんの投稿、お待ちしています!

ディレクター:新 朋香  取材:松永佳奈子