ワクチン 打たない選択の先に・・・追い詰められる人たち 2021年11月15日

NHK
2022年4月4日 午前11:03 公開

今回のテーマは、新型コロナのワクチン。

先日の放送を見た方からこんな投稿がありました。

ワクチンを打っていないので、別の仕事をしてほしいといわれたという内容です。
まずは投稿に関して詳しく聞くため、本人を訪ねました。  

福岡県内に住む、佐藤有紀子さん(仮名)は、子どもと関わる仕事がしたいと、大学では保育学を専攻。
現在、保育士として働いています。  

新型コロナの第5波のさなか、勤務先から突如、「園の規定について変更がある」と、説明を受けました。

「(私が)ワクチンを打っていないので/子どもに全く関わらないような仕事しかできないので、事務員っていう枠にしかできないと。申し訳ないけど、そういうふうに規定が変わったと言われた」。

実はそれまで有紀子さんは、ワクチンを打たないことを園にも認めてもらい働いていました。  

「ワクチンは自由意志かどうかっていうのを確認して「強制していいものじゃないから強制はしないよ」と伝えられていた」といいます。

その方針が変わり、園からは「保育士として働き続けてほしいので、来年4月までにできればワクチンを打ってほしい」と言われていると言います。  

佐藤有紀子さん(仮名)。
「園に子どもを預けている保護者からもワクチン、職員さん、みんな打ってるんですかっていうような声が上がったりするから、そういう世の中の流れに合わせて、というような感じのことを園側から言われた」。  

保育士として働き続けるため、ワクチンを打ったほうがいいのか。
有紀子さんは家族で何度も話し合ってきました。  

厚生労働省が出しているデータなどから、ワクチンは「重症化を抑える効果がある」と考え、祖母だけは接種をしています。  

有紀子さんとほかの家族が心配しているのは、接種後の副反応です。  

家族の話し合いでも結論がでていません。

「(厚労省のHPでは)ワクチンを打ったあと、亡くなった方が、ワクチンが原因ですっていうふうには出ていない。でもワクチンが原因ではないとは断定していない。分からないっていう理由」

いまは週に2回、園側の負担で抗原検査を受け勤務を続けている有紀子さん。
来年4月以降、保育士して働ける別の園はないか探し始めています。  

「もしワクチンが自由だよっていうような園があるようであれば、そっちをちょっと見学行ってみるか、もう保育職自体を辞めるか、どうしようかなっていうのは、今検討しているところですね」。


ワクチン接種について、他にも問題は起きていないか。

NHK福岡では、アンケートを実施。
11月12日現在、113の声が寄せられました。  

その中には、仕事への影響についてのものも複数ありました。

「未接種の社員は会議に出席できない、出張にいけない」。
「病院勤務、接種が当たり前という無言のプレッシャーがあります」。  

中には、打たない選択をしたことで、退職に至るまで追い込まれている、との書き込みも。  

取材をすると、声を寄せてくれた男性は、介護施設で働いていました。
副反応のリスクを考え、接種を見送っていました。  

今年9月以降、上司から何度も呼び出され、「接種してもらわないと困る」
「接種しないと今の業務を外す」と言われたと話していました。  

そのことで心身ともに疲弊。
先日、職場に退職の意向を伝えました。  

事務員への配置を提案された保育士の有紀子さん。
いま感じているのはワクチンを打たない選択を続けることの難しさです。  

佐藤有紀子さん(仮名)。
「強制じゃないけど、強制みたいな雰囲気になってきてるなって。あまりおおっぴらに「私は打ってないよ」みたいなことも言えないし、それで「えって」思われて距離を置かれるとか考えたらやっぱり話題にしたくない」。  

そもそも、こうした事例に法的な問題はないのか。
労働問題を取り扱う福岡労働局を訪ねました。  

ワクチンを打たない選択をした人たちが職場で直面している問題について福岡労働局雇用環境・均等部、指導課長の屋敷智子さんに聞いてみると。  

「確かにワクチン接種をしていない方について、ワクチン接種に関わる差別じゃないかっていうのは相談はあるんですけど、それをしちゃいけませんよっていうふうに直接禁止する法律っていうのもないんです」

法律がない中、問題がないか判断する基準の一つとなっているのは、9月に国が示したこの文章です。(出典:新型コロナワクチン接種証明の利用に関する基本的な考え方について/令和3年9月9日 新型コロナウイルス感染症対策本部より)。  

そこには、「接種を受けていないことを理由に解雇などを行うこと」は、「差別的な取り扱いに当たる可能性が高い」とまで記述されていますが、どのような事例が差別にあたるのか、詳しい説明は記されていません。  

そのため多くのケースでは、働く人と雇う側で、話し合いの場を持ち、お互いで合意できる可能性を探ってもらうしかないといいます。  

福岡労働局雇用環境・均等部、指導課長の屋敷智子さん。
「ワクチンを接種したくないという気持ちは尊重しないといけないから、なんとか続けられる方法を労使で模索していくしかない」。  


今回の取材を通し、世界中の人の健康や命に関わる問題だけに、簡単には白黒付けられない。
だからこそ、感染が比較的落ち着いている今、ワクチンを巡る様々な問題について冷静に議論する必要があると感じました。  

労働局指導課長の屋敷さんによると、労働局が労使の間に入って、話し合いの場を設けるような対応もできるとのことです。
身の回りで問題が起きていたらまずは相談をしてほしいと話していました。  

追跡!バリサーチ「新型コロナワクチン副反応は?生活に問題は?」