「視聴者が調査!"起路免喜"のナゾ 続編」 2021年12月20日

NHK
2022年4月4日 午前11:03 公開

今回はなんと、視聴者の方が調べてくださったというバリサーチ!

10月8日に放送した『起路免喜(きろめき)の謎』。

 みやま市にある『起路免喜』という交差点の由来は?という投稿を取材班が地元を回って聞いたのですが、住んでいる人も誰1人知らず、唯一分かったのが、みやま市文化財課の瓜生さんが昔聞いたことがあるという言い伝え。  

「古くは、雨が降ると大地がキラキラ光っていた。石の粒子が光を反射していた様子では・・」ということまでたどりついたのですが…。

放送後、何と、20枚近くにも及ぶ、立派なリポートが寄せられたんです。

九州大学名誉教授の藤野清次さん

送ってくださったのは、九州大学名誉教授の藤野清次さん。

これまでもネット検索とひらめきを駆使し、福岡の歴史を解き明かしてきたそうなんです。

 キロメキっていうことばが好奇心をくすぐる」と話す藤野さんは、情報科学が専門で、ネットの海から確かな情報を見つけ出す、いわば“検索のプロフェッショナル”。  

キロメキの放送を見たあと、みやま市のためになるならと調査を始めました。

様々なキーワードを組み合わせて調べるのが、藤野流。
今回、キロメキ交差点がある国道208号線の藩政時代の名前、『三池街道』を入力しました。  

すると見つかり始めたのが川や干拓地といった“水”に関係する情報。
水をヒントに地名の専門書をひもとくと…。  

「そこに『メキ』っていうのはありまして、『百目木(ドウメキ)』『沢目鬼(ザワメキ)』『ガラメキ』、水から発する音の近くの土地を指すときに『メキ』っていうのを使う」。

確かに、キロメキ交差点の近くには楠田川。さらに、起路免喜堰という名前のせきもあったのです。

この堰の歴史は、近くの神社の記念碑に見つかりました。

取材班が確認すると、確かに『きろめき』の文字。

江戸時代、この一帯が干拓によって作られ、きろめき堰を使って水が送られていたとありました。

では、『きろめき』の由来は、江戸時代にあるのか?

そこから1週間あまり、『きろめき』に関する文献を探し続けた藤野さん。

見つけ出したのが鎌倉時代の古文書でした。
記述は、なんと、760年前の京都での出来事について。  

『キロメキノ尾』と呼ばれていた土地が宝積寺(ほうしゃくじ)というお寺に寄進されたとあったのです。

宝積寺は、聖武天皇とゆかりが深い古くから信仰を集めるお寺です。

(藤野さんの論文より)
「寄進された山は『昔はキロメキの尾』と呼ばれる範囲の山あいとある。
これが『キロメキ』という地名の歴史上の初出である。」  

この地から遠く離れた福岡に『キロメキ』は伝わったのではないか。
確かな資料が見つからない中、藤野さんはあることをひらめきます。  

「擬音語ではないか。学問的にはオノマトペという言葉がありまして、例えば犬だったら『ワンワン』とかですねヤギだったら『メーメー』とかそこからきているんじゃないかな、これは直感です」。

では、『キロ』が擬音語だとしたら、水辺の動物といえば、そう、カエルでは?

そこで、あの古文書に記されたキロメキノ尾を地図で調べると、『龍神池』という池が。

そこに今も『モリアオガエル』が生息しているという目撃談も見つけました。

同種のカエルの鳴き声をよく聞くと・・確かに『キロキロ』!?

以上から、藤野さんの結論は・・。

「キロメキはモリアオガエルの鳴き声の擬音語と水辺で聞こえる音声を表した言葉である。聖武天皇の即位を実現した龍神さまを敬い、縁起のよい名前や場所として広まり後世に残ったのであろう」。

調査結果をまとめると。

これを、みやま市文化財係の瓜生さんにも伝えたところ…。

「みやま市は干拓によって農地を広げてきた歴史があり、水は昔からとても重要なものだった。縁起の良い呼び名というのは可能性は高い」とのことでした。  

調査にかける情熱、すごいですよね。
藤野さん、本当にありがとうございました!  

引き続きバリサーチでは、皆さんからの耳寄りな情報や論文をお待ちしております!

追跡!バリサーチ「福岡の地名・名字のナゾに迫る!」