今回の追跡!バリサーチは、私、姫野美南が担当します。
夏休みも残りわずかとなりましたが、まだ自由研究が残っているという皆さん、
身近なところに注目してみると、意外な発見があるかもしれませんよ。
まずは、番組にこのような投稿が寄せられました。
ということで、このエイが目撃された場所は、博多湾から約2キロも離れた地点。
ここNHK福岡の近くで、住宅地が広がる都心部です。
樋井川には、ほかにも海の魚がいるのか、バリサーチ!
強力な助っとをお呼びしました。
伊藤くん「こんにちは、伊藤柚貴です。よろしくお願いします」。
福岡の〝中学生さかなクン〟こと、伊藤柚貴くんです。
10歳にして、超難関の『日本さかな検定』1級に合格。
NHKの番組、ウオカツ!でもリポーターにナレーションと活躍中です!
まずは、エイの写真を見てもらいました。
伊藤くん「アカエイです。博多湾とかにも多いエイの仲間で、食べたこともあります」。
姫野「え!?エイ食べられるんですか?」
さっそく、エイが目撃された場所から調査開始。
姫野「いますかね」。
伊藤くん「何かお魚は、お!」。
姫野「え?もういました?」。
伊藤くん「いっぱい、ボラです」。
姫野「あ!ほんとだ、何十匹も、いまキラッと」。
伊藤くん「尾びれが三日月型でシュってしていてかっこいいんです、あと口も小っちゃくて パコパコ開いたり閉じたりしているのでそれも特徴です」。
「あ!クロダイです」。
「警戒心が強いので人間が近づいたらすぐに逃げます」。
次々と魚を見つけていく伊藤くん。さすがです!
ですが、海の魚のボラやクロダイはたくさん泳いでいましたが、残念ながらこの日、エイは見つかりませんでした。
そもそも、なぜ、海の魚が川にいるのでしょうか。
実は、樋井川には、満潮になると、河口から最大4キロも海水が流れ込むんです。
海水と一緒に博多湾の魚が上ってくるというわけなんです。
こちらは、スタッフが撮影した樋井川のエイです。
川底の貝などの餌を探しに来ているとみられます。
姫野「本当は博多湾にいるアカエイが樋井川にあがってきていると」 。
伊藤くん「そうです。塩分濃度の低いところでもアカエイは適応できるので、川に上がってきます。何でも食べるんですけど特に貝が好きなので泥底とかによくいることが多いのです」。
写真の中心くらいにエイが泳いでいるのわかりますか?
伊藤くん「川とかよく観察してみるとおもしろいことがいっぱいあります!」。
樋井川にはもっといろいろな魚がいるはず!
伊藤くんが、さらにバリサーチしてくれました。
向かったのは、河口から5キロほど上流です。
協力してくれたのは、福岡大学の伊豫岡宏樹博士です。
13年にわたって樋井川の環境を研究している伊豫岡さん。
樋井川の豊かさを知ってほしいと投網を準備してくれました。
すぐ目の前から大きなコイやフナが。
中には、こんな魚も。
伊豫岡さん「カマツカっていう魚です。ひげも生えています。格好いい」。
伊藤くん「僕も琵琶湖で見ました」。
砂が多く、水がきれいなところで見られる魚です。
食べるとおいしいそうですよ。
伊藤くんも網を手に魚を探します。
ひとすくいでたくさんの魚が!
伊藤くん「これは大漁と言っても」。
伊豫岡さん「お!捕れているね」。
さらに!
伊藤くん「あ!これはすごい、メダカです。メダカが捕れました。これはミナミメダカです!」
伊豫岡さん「お!捕れた、やっぱりいたね。いろんな川で絶滅しちゃったり」
かつては、日本中で見られましたが、野生のものは絶滅危惧種に指定されています。
伊藤くん「僕もびっくりしました。都会の中の川なのにこれだけの種類がいて、絶滅が危惧されているようなメダカもちゃんと生き残ってくれていて」。
なぜ、都会の樋井川にたくさんの魚が?
伊豫岡さんが「ここは工夫したところ」と、その秘密を教えてくれました。
案内されたのは『せき』です。
水の流れを穏やかにするために作られたものです。
実は、以前、左の写真のように直線状に作られていました。
それを、くの字に角度をつけ、ゆるやかな傾斜になるよう石をならべる作りに変えました。
こうすることで、水の流れに変化がつき、下流に深いところや浅いところが生まれるというんです。
伊豫岡さん「川の流れが真ん中に集まるようにしている。それで両サイドが浅くなって、真ん中が深くなるっていうような。川の中にいろんな環境ができることによっていろんな魚も住めるし、なだらかにしてあげることによって魚も上流に行ったり下流に行ったりやすいよね」。
実は、樋井川は度々氾濫を起こすため、大規模な治水工事が行われてきました。
その際、環境に配慮した工夫が凝らされてきたんです。
さらに、地域の人たちが定期的にゴミ拾いや草刈りを行い、水辺の環境を守る取り組みを行っているんです。
伊豫岡さん「川を管理している管理者の皆さんが考えて川を作ってきてくれた結果だと思います。あと、地域の人たちが頑張ってくれてこういう川で遊べるように維持してくれたりとかも行われている川なので、ぜひ皆さん遊びにほしいなと思います」。
伊藤くん「生き物も人間もどっちも暮らしやすくなるような川に工事されていてすごいなと思いました。これだけ自然が豊かな川が都会にあるっていうのはすごくうれしいことですね」。
樋井川が人の手で整えた環境でメダカまでいるとは驚きました。
遠くまで行かなくても、近所の川でこれだけ自然があるならちょっと遊びに行きたいですよね。伊豫岡さんも「水の事故には気をつけながらぜひ遊びに来て欲しい」と話していました。
さて、バリサーチでは、こうした身近な自然に目を向けよう、
ということで、「夏休みに見つけた身近な生き物の写真」を募集しました。
たくさんのご応募ありがとうございました!
ご紹介しましょう。
「庭に来たスズメと一緒に餌を食べていました」という投稿です。
普通のスズメのなかに白い鳥がいます。
久留米鳥類センターに伺ったところ、写真だけでは断定できないが、おそらくスズメのアルビノで、白は目立つため、外敵に狙われやすく、見つかるのは非常に珍しいとのことでした。
こちらは「7月の台風が過ぎた日に、職場の入り口の壁に張りついていました」。
というコウモリの写真です。
コウモリの中には、人間の家をすみかにする種類もいて、都会でもかなりの数が生息しているそうです。近くの家の軒にコウモリの巣を見つけたというスタッフもいます。
そして、きれいですね…。
ベニイトトンボという小さなトンボです。
なんと、庭にあるメダカの水槽から羽化して元気に飛んでいったそうです。
「ミンミンゼミを捕まえました!セミ好きの息子(小3)が取りたいと、県内で生息していそうな場所を調べて、探しに行った東峰村の方で見つけました。家族揃ってテンションが上がりました」と頂きました。緑色が綺麗ですね!専門家に伺ったところ、ミンミンゼミは関東では町中で普通に鳴いているセミですが、福岡県では珍しく、郊外の山間部に行かないとなかなか見つけられないそうです。
身近な所にじっくりと目を向けると、いろいろな発見があるかも知れませんよ。
以上、追跡!バリサーチでした。