高校を卒業するまで、山梨県で過ごした私。
実は、中学校の修学旅行の行き先は、京都と奈良でした。
ただ、スケジュールの中心だったのは京都の寺社や庭園めぐり。
奈良に滞在したのはわずか3時間ほどで、東大寺の大仏を拝観し、奈良公園でシカと触れ合い、観光バスに乗って足早に京都の旅館に戻った記憶が残っています。
「滞在時間の短さ」と「宿泊客数の少なさ」。
これらは長年、奈良の観光業界が直面している課題です。
こうしたなか、行政・大学・観光業者など、産学官民がタッグを組み、長年の課題を打破すべく、新たな観光ツアーを去年7月から始めたという話を耳にしました。
観光ツアーは現在、「東大寺」、「春日山原始林」、「ならまち」の3種類。
オンラインでの事前学習と現地見学がセットとなっていて、国連が掲げる持続可能な開発目標=SDGsの17の目標に絡めて、それぞれの地区をめぐるというものです。
例えば、「春日山原始林」のツアーを紹介するパンフレットには・・・。
<ツアーのパンフレット SDGsのどの目標が学べるか記載>
17の目標のうち、「気候変動」や「陸の豊かさ」など5つのテーマについて学べることが書かれています。
ツアーを実施している団体によると、将来的には、奈良への滞在時間を長くし、宿泊する人たちの増加にもつなげたいということです。
足早に数多くの名所をめぐるという修学旅行も1つのあり方だとは思いますが、今回取材したツアーは、これまでとは異なる修学旅行のニーズを取り込む可能性があるのではないかと感じました。
今年度だけでも全国20校から修学旅行の予約が入っているということですが、さらなる広がりを見せ、奈良の観光業界が抱える長年の課題の解決につながるか、注目したいと思います。
金子晃久
令和元年入局。奈良局が初任地。修学旅行では3時間しか滞在しなかった奈良は、在住4年目。「住めば都、掘れば都」を日々実感。週末に寺社仏閣を参拝し、御朱印帳は現在3冊目。