かをる(沢口靖子)たち親子が梅木の墓参りをしていると、惣吉(川野太郎)がやってくる。墓前に花を供える惣吉の背中をじっと見つめるかをる。惣吉はかをると二人きりになり、かをるに求婚するが、かをるはしょうゆが生きがいだから、と断る。とね(草笛光子)に諦めるのか、と聞かれた惣吉は、諦めない、と即答する。かをるは、世界にしょうゆを広められたら、もう一度惣吉に結婚を申し込んでほしい、と思いながら海を見つめた。
かをる(沢口靖子)が梅木を手厚く葬ったちょうどそのころ、外川では惣吉(川野太郎)が帰還していた。そして七月、入兆創業三百年記念式典が開かれ、英一郎(鷲生功)が十二代目久兵衛を襲名した。赤川(吉村直)とツエ(鷲尾真知子)の婚約を祝っていると、外川からとね(草笛光子)たちが祝いに駆けつける。入兆の若者と漁師たちが盛り上がっていると、小浜(村田雄浩)が帰って来て、亡くなった人たちの話を聞いて呆然とする。
かをる(沢口靖子)がすすき野原を歩いていると、笛と鼓の音。そこでは、久兵衛(津川雅彦)、るい(加賀まりこ)、律子(桜田淳子)ら亡くなった坂東家の面々が揃って月見をしていた。かをるは仲間に入れてくれと懇願するが、皆にまだ早いから来てはいけない、と言われる。梅木(柴田恭兵)に駆け寄ると雷が鳴り、目を覚ますと、戸を叩く音が聞こえて、そこには栄二(山下規介)が一人。栄二は梅木の遺骨を持って帰って来ていた。
満州から引き揚げてきた律子(桜田淳子)は、重い肺結核にかかっていた。律子は死を覚悟しているが、かをる(沢口靖子)は励ましながら看病する。春になり、梅木は相変わらず消息不明だが、英一郎(鷲生功)と赤川(吉村直)が戦地から帰ってくる。英一郎は足を撃たれて、片足が不自由になっていた。久しぶりに顔を合わせた姉弟三人は、両親の位牌に手を合わせ、英一郎はしょうゆを世界に広げたい、と熱く語る。その夜、律子は…
日本が負けた、と玉音放送を聞いた神山(牟田悌三)が伝え、呆然とするかをる(沢口靖子)。とね(草笛光子)に預けてある子供たちの様子を見に、かをるが外川を訪ねると、工場再建のための古木材を運んでくれることになる。細々としょうゆを作り続けるかをる。フィリピンから戻ってこない梅木の手がかりを探りに、かをるが銚子駅で復員兵たちに尋ねて回っていると、満州から引き揚げてきた律子(桜田淳子)が現れて倒れこむ。
防空壕を飛び出した久兵衛(津川雅彦)と、それを止めようとしたるい(加賀まりこ)は爆撃に遭い、かをる(沢口靖子)たちはなんとか仮手当所に運び込む。ひん死の久兵衛は、かをるの手を握り、肩身の狭い思いをさせて悪かったと謝り、かをるはお父さんのことが大好きと返す。久兵衛が欲しがるタバコを手に入れてかをるが戻ると、久兵衛はこと切れていた。翌朝がれきの山と化した入兆へ戻り、久兵衛とるいをだびに付すのであった。
久兵衛(津川雅彦)たちが、入兆の庭の畑で採れた芋をふかして食べていると、かをる(沢口靖子)が来て、紀之が戦死した、と知らせる。特攻隊だった紀之は、遺骨も無い。かをるは弔問に訪れた真鍋家で、ハマ(根岸季衣)の悲しみを受け止める。七月十九日の夜、銚子に空襲警報が出て、かをるたちは防空壕に逃げ込む。かをるは、久兵衛とるい(加賀まりこ)と、今までのこと、これからのことを語り合っていると空襲が始まり…。
防空壕へ逃げ込んだかをる(沢口靖子)と惣吉(川野太郎)は、出会った頃からの思い出を語る。もしここが爆撃に遭って、二人がここにいたことが分かったら外聞が悪い、とかをるは出て行こうとするが、惣吉は、自分が出ていくからかをるはここにいろ、と止める。かをるは一人で残されるのも心細いので、結局警報が解除されるまで一緒にいることになる。年が明けて昭和二十年三月十日、東京は大空襲を受け、銚子も被害に遭う。
銚子高女の女学生たちが勤労奉仕で入兆に作業に来ていたが、原料が手に入らなくなり、もう来なくていい、ということになる。久兵衛(津川雅彦)は、来年の入兆の創業三百年記念式典を派手にやる、と言い出し、るい(加賀まりこ)がこのご時世にそんなことは出来ないと言うと、ケチなことをやったら笑われる、と怒鳴る。かをる(沢口靖子)は食料の調達に出かけた時に米軍の銃撃に遭う。防空壕へ助けたのは惣吉(川野太郎)だった。
昭和十九年四月、梅木(柴田恭兵)は栄二(山下規介)を連れて、フィリピンへと旅立った。質を落としたしょうゆの出来は悪く、魚を元にしたひしおを使ってはどうかと思いついたかをる(沢口靖子)は、外川へイワシを融通してもらいに行く。外川では船は徴用され、働き手も少なく、イワシもあまり獲れないが、少しだけ分けてもらう。かをるは帰る道すがら、善吉(安藤一夫)から、惣吉は横須賀から船で物資を運搬している、と聞く。