「17才の帝国」の骨

NHK
2022年6月3日 午後6:10 公開

プロデュースを担当した佐野亜裕美です。私からは、「17才の帝国」の骨ができるまでのことを少しだけお伝えしたく思います。

脚本家の吉田さんに初めてお会いしたのは2020年の11月でした。そこでは企画の内容についてはほとんど話さず、映画「椿三十郎」の話や、「ゲーム・オブ・スローンズ」の話、お互いのプライベートの話などをして、これまで書かれてきた作品の登場人物のような魅力を持つ吉田さんと絶対にご一緒したい!と思いました。

「10代の少年少女が主人公」「AIを使う」というキーワードと、吉田さんが温めていた「17才の帝国」というタイトルと「高校生が実験国家の政治を行う」というログラインをもとに取材と打ち合わせを重ね、少しずつ骨が作られていきました。脚本協力で入ってくださった鈴木貴昭さんも合流し、AI、地方政治など様々な分野のプロに話を聞きに行きました。制作統括の訓覇さん、演出の武五郎さん、プロダクションデザインの服部さんとで針尾無線塔のある佐世保を訪れ、そこでも話し合いを重ねました。

佐世保に行った夜、皆で食事をしている際に吉田さんがお話ししてくれたのが、「自分が作品をご一緒してきたクリエイターは、みな心の中に14才か17才を飼っている」というお話でした。吉田さんが感じられている「14才」や「17才」は、私がここで簡単に言語化していいようなものではありません。ただ私は個人的に、純粋さや青さ、衝動、アンビバレントな強さと脆さ、寛大と狭量の共存・・・歳を取るにつれ、少しずつ失っていってしまうこれらをどれだけその身にとどめておけるか、それがとても大事なことなのであると解釈しました。そのことが、このドラマの登場人物を形作っていく上で大きなヒントになりました。

最もその影響を受けたのが星野源さん演じる平清志という役です。もともと最初のプロットや登場人物表には平は存在していませんでした。全5話しかない、ということもあり、10代と20代前半の若者たちと、変化に戸惑ったり抗ったりする旧世代の対立に軸を置いていこうと考えていたからです。ただ打ち合わせを進めていく中で、若者たちと高齢世代の間で戦うキャラクターが欲しいと思い、吉田さんにお願いしました。私事ではありますが、テレビ局の中でもいわゆるバブル世代の人たちが現場を引退し、ようやく自分たちの出番だと思ったら、「若手を育成しなければ」という時代の空気に押されて自分よりもっと若い人たちがどんどん持ち上げられていく。幼い頃から様々なカルチャーに触れ、デジタル機器を使いこなし、新しい価値観とエネルギーを持った眩しい若者たち。少し乱暴な言い方をすれば、「梯子を外されてしまった」感じを持った同世代が多く、そうした鬱屈を抱えた中間管理職的な登場人物がこの世界の中にいたら、どんな表情を見せるだろう。そうした思いがありました。

志を持ち苦労を重ねて政界に入り、「次は君だ」と言われ続けた平。ソロンの開発を主導し、そのソロンに選ばれなかった平。

平の中には、14才や17才がどれだけ残っているのだろうか。

最終回、ぜひそうした目線でも楽しんでいただければ幸いです。

土曜ドラマ『17才の帝国』最終回、あす夜10:00 ~、是非ご覧ください!

プロデュース 佐野亜裕美