考証チームブログ 第4回

「恋せぬふたり」考証チーム
2022年1月31日 午後11:15 公開

このブログは、よるドラ「恋せぬふたり」のアロマンティック・アセクシュアル考証チームによるコラムです。

(三宅):第4回、お疲れ様でした!第4回、カズくんとのやり取りが印象的でしたね。最後ロールキャベツを高橋さんに教わりながら作っているシーンが微笑ましかったです。

(中村):高橋とカズくんもですが、咲子とカズくんのやり取りも面白かったですよね。二人とも「サニサイ」を推しているとか!

(今徳):推しの話も出てきましたね。アロマンティック・アセクシュアルだと「他の人に興味ないんだね」というふうに見られることもあるようですが、咲子のように「推し」がいる人もいれば、高橋のようにいない人もいる。本当に人それぞれですね。

(中村):サニサイを楽しむ2人を見ている高橋の様子も良かったですよね。今回はカズくんとのやり取りが多かったですが、咲子と高橋のやり取りでも重要な要素がありましたね。

(三宅):「アウティング」ですかね。3人のやり取りの中で高橋から言及がありましたね。高橋も言っていましたが、アウティングは相手の了承を得ずに、第三者に相手のセクシュアリティについて話すことを指す言葉です。

(今徳):咲子が自認したばかりで、知識を持たないままカズくんに話してしまった様子でしたが、高橋が言っていたように充分に気を付けるべき重要なポイントですね。

(中村):また、「気を付けたい」という点で言うと、カズくんの性的な質問を高橋に投げ掛けるシーンも見ていてヒヤヒヤしました…。第3回で性的な話を聞くのは苦手といっていた高橋なこともあり、大丈夫かなと。

(今徳):こういった性的/恋愛的な話題は、アロマンティック・アセクシュアルを自認している・いないに限らず苦手な方もいるので、今回のような「不躾な質問」には気を付けたいですね。

(三宅):性的/恋愛的な話題についての嫌悪感も人それぞれですよね。

(今徳):そうですね。ぜひそれらについて調査をもとに見ていきましょう。今回は「性的な話に対する嫌悪感」と「恋愛的な話に対する嫌悪感」についてご紹介します。

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ここからは、私たちが行った「Aro/Ace調査2020」をもとに、実際のアロマンティック・アセクシュアルの当事者についてお話していきたいと思います。

「性的な話に対する嫌悪感」

カズくんが高橋に「咲子と一緒にいてムラッと来ないんですか」のような質問をするシーンがありました。高橋が「分かりたいのと、不躾な質問は別ですよ」と言っていたように、そもそもカズくんの聞き方には問題があると思いますが(咲子も止めてましたね)、高橋は性的な話を聞かれることが第3回でも描かれていましたがやはり苦手(苦痛)なようです。

では、他のアロマンティック・アセクシュアルの当事者はどうなのでしょうか。
Aro/Ace調査2020では他の人の性的な話を聞いたり、自分の性的な話を聞かれたりすることに対する嫌悪感について質問しています(複数回答)。
その結果が次のグラフです。
*選択肢を一部省略しています

上のグラフにあるように、「自分の性的な話を聞かれる」に嫌悪感を覚えるという回答の割合は77.8%に上りました。一方、「他者の性的な話を聞く」は8.1%でした。「自分の性的な話を聞かれる」と「他者の性的な話を聞く」の値は約70ポイントの差があることがわかります。一方、「どれにも嫌悪感を覚えない」という回答の割合は16.0%でした。

ここから、他者が話す性的な話を聞くことに比べて、他の人から自分の性的な話について聞かれる事の方が嫌悪感を覚える割合が高いことがわかります。これはもしかすると、アロマンティック・アセクシュアルを自認する人以外でもあてはまるかもしれません。「どれにも嫌悪感を覚えない」という回答もありますので一概には言えませんが、ただ少なくとも、第4回のカズくんのような「不躾な質問」は控えた方が無難だと思われます。

「恋愛的な話に対する嫌悪感」

ちなみに、第4回で直接描かれたわけではありませんが、Aro/Ace調査2020では他の人の恋愛的な話を聞いたり、自分の恋愛的な話を聞かれたりすることに対する嫌悪感について質問しています(複数回答)。
その結果が次のグラフです。

「自分の恋愛的な話を聞かれる」に嫌悪感を覚えるという回答の割合は67.1%でした。一方、「他者の恋愛話を聞く」は4.6%でした。「自分の恋愛的な話を聞かれる」と「他者の恋愛話を聞く」の値は約60ポイントの差があることがわかります。一方、「どれにも嫌悪感を覚えない」という回答の割合は26.1%でした。

ここから、性的な話と同様に、他者の恋愛話を聞くことに比べて、他の人から自分の恋愛話について聞かれる事の方が嫌悪感を覚える割合が高いことがわかります。これも、もしかするとアロマンティック・アセクシュアルを自認する人以外にもあてはまるかもしれません。「どれにも嫌悪感を覚えない」という回答もありますので一概には言えませんが、少なくとも恋愛話は誰もが楽しめる、または誰もが好きな話題というわけではないことは広く知られる必要があると思われます。

以上、今回の考証チームブログは、性的な話と恋愛話を聞く、聞かれることを中心に解説しました。

第4回はカズくんの唐突な提案(質問?)で終わったので、次の展開がとても気になりますね。
千鶴も再登場するようなので楽しみです。
次回もぜひご覧ください。

 
 
【参考文献】

Aro/Ace調査実行委員会(2021)『アロマンティック/アセクシュアル・スペクトラム調査2020調査結果報告書』(2021年12月21日取得) (※NHKサイトを離れます)

【調査概要】

  • 調査方法:ウェブ上のアンケートフォームを利用(Googleフォーム)

  • 回収期間:2020年6月1日12:00~2020年6月30日12:00

  • 調査対象:以下の1.~3.全てに該当する方

  1.   アロマンティック/アセクシュアル・スペクトラム
    (アロマンティック、アセクシュアル、ノンセクシュアル、デミセクシュアル、デミロマンティック、リスセクシュアル、リスロマンティックなどその他周辺のセクシュアリティ)を自認している、またはそれに近い、そうかもしれないと思っている方  

  2. 日本語の読み書きをする方(国籍、居住地は問わない)

  3. 年齢が回答時13歳以上の方

  • 総回答数:1693回答(有効回答:1685)

  • 最大設問数:98問(内5問が必須項目)

  • ウェブサイト、Twitter、LINEグループ等で周知