考証チームブログ 第7回

「恋せぬふたり」考証チーム
2022年3月14日 午後11:15 公開

このブログは、よるドラ「恋せぬふたり」のアロマンティック・アセクシュアル考証チームによるコラムです。

(中村):第7回、お疲れ様でした!いよいよ次は最終回ということで、咲子と高橋がどんな結論を出すのか、気になりますね。

(今徳):今回は高橋と遥の過去が掘り下げられる回でしたね。これまでは咲子の過去や現在の悩み、周囲の人の変化が描かれることが多かったので、気になっていた方も多かったのではないでしょうか。

(中村):遥との過去は高橋の葛藤が伝わってきて、胸が詰まりましたね…。今回は婚約指輪がキーアイテムでしたね。

(三宅):婚約指輪のときに震えてましたね。正直あのシーンは高橋の言動が接触嫌悪だけに回収されてしまうのではないかと懸念していたため、高橋のセクシュアリティや祖母との関係など様々な思いが背景にあったことが伝われば嬉しいなと思っています。

(今徳):婚約指輪には結婚や子どもなどそれからの人生が左右されてしまう、ある種、重い意味があることを高橋はわかっているからこそ、あの状況でも指輪をはめられなかったんじゃないかなと思います。

(三宅):高橋は祖母に結婚している姿や孫の顔を見せる恩返しがしたかったんでしょうね。その自身の思いに遥を利用したと思い、罪悪感も感じていたのではないかなぁとも感じました。

(中村):一方で、アロマンティックやアセクシュアルだからといって結婚をしないというわけではなく、結婚を望んでいる人が居ることもぜひ知っておいてほしいですね。

(三宅):それと、「アセクシュアルだから子どもを持つことはできないのでは?」といった意見も見られましたが、子どもを持つ、育てるといっても今は養子含めいろんな方法があるので、アセクシュアルは子どもを持てないというわけじゃないことも伝えたいですね。実際に子育てをしている人もいますから。

(今徳):咲子と高橋のすれ違いを示すような静かな終わりでしたが、最終回はどんな結末になるのでしょうか。遥との亡くなった祖母や新しい仕事に関するやり取りの行方も気になりますね。

(三宅):最後まで見届けた皆さんの感想をぜひ聞きたいですね。
それでは、今回は話題にあがった「子ども」と「結婚」について見ていきましょう。


ここからは、私たちが行った「Aro/Ace調査2020」をもとに、実際のアロマンティック・アセクシュアルの当事者についてお話していきたいと思います。

「子どもを望むか否か」

第7回では、咲子が高橋に子どもについてどう考えているのか、なかなか質問できないというシーンがありました。咲子は子どもについてこれまで深くは考えてこなかった様子でしたが、高橋はお祖母さんとの関係もあり複雑な思いを抱えてきたことが明らかになりました。

では、他のアロマンティック・アセクシュアルの当事者はどうなのでしょうか。
Aro/Ace調査2020では「子どもを望むか否か」について質問しています。
その結果が次のグラフです。

もっとも割合が高かったのは、「望まない」で、57.3%でした。ここに「あまり望まない」(13.6%)を合わせると、約70%になります。一方、「望む」(4.7%)と「やや望む」(9.0%)を合わせた値は約13%でした。「どちらでもない」は7.7%、「考えたことがない」は6.5%、「その他」は1.1%でした。

ここから、アロマンティック・アセクシュアルの当事者の中では、子どもを「(あまり)望まない」方が多い可能性が示唆されます。しかしながら、高橋が子どもについて複雑な思いを抱えているように、望まないという回答をした人にもそれぞれ背景や事情があり、単純な解釈はできません。そして、子どもを望むという人もいるという事実は数値の大小にかかわらず認識する必要があります。今回は紹介できませんでしたが、実子を望むのか、実際に子どもを育てているのかなどについては、参考文献に記載した『アロマンティック/アセクシュアル・スペクトラム調査2020調査結果報告書』(Aro/Ace調査実行委員会 2021)をご覧ください。最後に、「考えたことがない」という回答も一定の割合であることがわかりましたので、咲子には「ずーん」としなくていいと伝えてあげたいですね。

「結婚を望むか否か」

今回は上で述べた通り、「指輪」がキーアイテムでした。結婚でイメージすることの一つとして指輪を思い出す方も多いのではないでしょうか。これまでのところ、高橋も咲子も結婚願望についてはっきりとは語っていませんが、それほど強いようにも見えません。

では、他のアロマンティック・アセクシュアルの当事者はどうなのでしょうか。
Aro/Ace調査2020では「法律婚を望むか否か」について質問しています。
その結果が次のグラフです。

グラフの通り、もっとも割合が高かったのは、「望まない」で、46.2%でした。ここに「あまり望まない」(15.9%)を合わせると、62.0%になります。一方、「望む」(5.0%)と「やや望む」(14.1%)を合わせた値は約19%でした。「どちらでもない」は18.9%でした。

ここから、結婚(法律婚)を「(あまり)望まない」方が、アロマンティック・アセクシュアルの当事者の中では多い可能性が指摘できます。しかしながら、上記の子どもに関する質問と同様に、「(あまり)望まない」という回答に対する解釈は慎重に行う必要があります。そして、結婚を望むという回答が一定数あることはもちろんのこと、「どちらでもない」が「(やや)望む」と同程度の割合だったことは注目に値します(子どもに関する質問とは選択肢が異なるため比較はできません)。この質問に関連して、『アロマンティック/アセクシュアル・スペクトラム調査2020調査結果報告書』(Aro/Ace調査実行委員会 2021)では、結婚の経験や、事実婚・同性パートナーシップ等を望むか否かについても紹介しています。ご興味がある方はぜひご覧ください。

以上、第7回の考証チームブログは、「子ども」と「結婚」を中心に解説しました。

 
 
いよいよ次週は最終回となりました。
咲子と高橋、そしてカズくんや咲子の家族など周囲の人たちがどのような人生を歩んでいくのか、関係性を作っていくのか、最後まで見守っていって下されば幸いです。
「恋せぬふたり」が描く、「みんながきっと笑顔になれる」それぞれの物語にご注目ください。

 
【参考文献】

Aro/Ace調査実行委員会(2021)『アロマンティック/アセクシュアル・スペクトラム調査2021調査結果報告書』(2022年2月22日取得) (※NHKサイトを離れます)※別タブで開きます

【調査概要】

  • 調査方法:ウェブ上のアンケートフォームを利用(Googleフォーム)

  • 回収期間:2020年6月1日12:00~2020年6月30日12:00

  • 調査対象:以下の1.~3.全てに該当する方

  1.   アロマンティック/アセクシュアル・スペクトラム
    (アロマンティック、アセクシュアル、ノンセクシュアル、デミセクシュアル、デミロマンティック、リスセクシュアル、リスロマンティックなどその他周辺のセクシュアリティ)を自認している、またはそれに近い、そうかもしれないと思っている方  

  2. 日本語の読み書きをする方(国籍、居住地は問わない)

  3. 年齢が回答時13歳以上の方

  • 総回答数:1693回答(有効回答:1685)

  • 最大設問数:98問(内5問が必須項目)

  • ウェブサイト、Twitter、LINEグループ等で周知