その苦さから、子供が嫌いな野菜ランキングでは堂々の第1位!
しかし、ピーマンは本当は苦くないのです!
緑の体に秘められた真実の姿が明らかになります。
もくじ ●ピーマンは苦くない? ●本当は緑じゃない⁉ピーマンの真の姿とは? ●大人になればピーマンは食べられる⁉
ピーマンは苦くない?
アンチの言い分「苦いのが嫌!」 ピーマンの言い分「人間が苦いと感じているだけ」
苦いと感じているだけ、とはどういうことなのか。クリエイターのKINAさんがアニメでわかりやすく解説してくれました。
ピーマンを苦く感じる1つ目の理由が、味の成分であるクエルシトリン。
口に入ると、舌の感覚神経を通って脳へ渡り、そこで「渋い」と感じるそうです。
ピーマンに苦みを感じる2つ目の理由が、香りの成分であるピラジン。
鼻や口から入ったピラジンは脳へ。すると「青くさい」と感じます。
「渋みを感じるクエルシトリン」と「青くさいピラジン」が組み合わさることで、人間の脳は苦みと認識してしまうそうです。
つまり、ピーマン自体が苦いのではなく、渋みと青くささを同時に感じることで、人間の脳が「苦い」と認識しているだけだったのです。
苦くて嫌われがちですが、実はピーマンは栄養の宝庫。
主なものは…
「カリウム」塩分を排出して血圧を下げる働きによって脳卒中や心筋梗塞を予防
「ビタミンC」細胞の保護や鉄分の吸収促進、美容にも効果的
「ビタミンP」ヘスペリジンとも呼ばれるポリフェノールの一種でビタミンCを熱から守る
栄養素は1つのものだけたくさんとっても、別のものが不足していると、体の中に十分に取り込むことができませんが、ピーマンはいろいろな種類の栄養素を含んでいるので、多くの栄養を取り込みやすいのです。
そこで、科学の視点からピーマン嫌いでも食べられる料理を、調理科学の専門家の東洋大学の露久保美夏さんに教えてもらいました。
栄養豊富でおいしいスイーツ「ピーマンだんご」
<作り方>
材料はピーマンと白玉粉です。
①ピーマンをちぎってフードプロセッサーへ(ヘタは取るけど種は入れてOK)
露久保さん曰く「種やワタの部分にはピラジンと呼ばれる血流を良くする成分が入っているのでこの成分もいただきます」
②ペースト状にしたピーマンを白玉粉に混ぜ、ピーマンの水分だけで丸めてだんご状に
ピーマンは93%くらいが水分で、この水分も大事な材料です。また、もち米から作られる白玉粉にはお米の甘みがあり、ピーマンの苦みをやわらげ、ピーマンそのものの味をストレートに感じにくい状態にしてくれているそうです。
③丸めたものを熱湯に入れてゆでる。だんごが浮いて1〜2分ででき上がり。
お好みで、みたらしあん、きなこ、あんこをトッピングするのもおすすめだそうです。
本当は緑じゃない⁉ピーマンの真の姿とは?
アンチの言い分「緑の見た目が嫌!」 ピーマンの言い分「緑色なのは人間のせい」
「人間のせい」というのは、一体どういうことなのか?
ピーマンが緑色になった理由を探るため、ピーマンの成長を観察しました。
種をまいてから約60日で開花。
小さな実をつけて、2週間もすれば、7センチほどの大きさに成長。
通常なら、ここで収穫されますが、ピーマンの成長はこれでは終わりません。観察を続けると、収穫時期を過ぎて約40日でピーマンは完熟して真っ赤に!
実は、私たちが食べているのは未熟果と呼ばれる成長途中のピーマンだったのです。
赤ピーマンは苦くない!赤ピーマンを食べると、ジューシーで果物のような甘みを感じます。完熟しても、渋いと感じさせるクエルシトリンや青くさいピラジンがなくなるわけではありませんが、甘みやビタミンなどの他の栄養素が増え、苦みを感じにくくなります。
味だけでなく栄養素の量も変わり、赤ピーマンに含まれるビタミンCは緑の時の2倍以上!
では、なぜ、多くのピーマンが緑の段階で収穫されてしまうのか?ピーマンが赤く熟するまで待つと約60日かかり、収穫まで時間と手間がかかります。しかし緑ピーマンはその1/3の約20日で収穫でき、赤に比べ短時間で出荷できるので店頭に並ぶことが多いのです。
つまり、ピーマンが緑色なのは、私たち人間の都合だったのです!
(ちなみに、赤いピーマンと赤いパプリカは、同じナス科ですが、品種が異なります。)
大人になればピーマンは食べられる⁉
アンチの言い分「食べられないと子ども扱いされる」 ピーマンの言い分「味のふところが狭いだけ」
実は大人になると ピーマンを食べられるようになるそうです。
解説してくれるのは、大阪大学で好き嫌いのメカニズムを研究する豊田博紀さん。
豊田さんが、ある実験で解説してくれました。実験に使うのは生ピーマンから抽出したピーマン100%ジュース。これを薄めてさまざまな濃度のピーマンジュースを作り、何%の濃度から苦くて飲みたくなくなるのかを、調べます。
2歳の子どもは3%の濃度で苦みを感じてリタイア。
32歳の大人に目隠しをつけてピーマンジュースを飲んでもらったところ、9%の濃度まではクリア。
しかし、濃度が10%になると苦みを感じてリタイアしてしまいました。
他の大人も濃度が10%を超えると苦さを感じる結果に。
ただ、88歳の男性は100%でも苦みを感じませんでした。
実験の結果は…大人になると濃いピーマンジュースも飲めるようになることがわかりました。
子どもは食べ物が安全かどうかを味覚で判断し、苦いものを毒だと感じて本能的に避けてしまいます。
豊田さん曰く「さまざまな食経験を重ねることによって、いろいろな苦みや酸っぱいといった味を受け入れることができるようになる。味に対する受容性が広がると考えられる」
(60歳を超えると味覚が衰えてくると言われ、88歳の男性は苦みを感じにくいから100%もクリアした、と考えられます。)
まとめ
いかがでしたか?
ピーマンの色や苦みには、さまざまな理由と豊富な栄養素が詰まっていたのです。
年齢を重ねると食べられるようになる傾向にあるので、食わず嫌いをせずに、挑戦してみましょう。
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