【ホコリの言い分】アレルギーを抑制⁉犯罪捜査に大活躍⁉

NHK
2023年5月20日 午前10:30 公開

見る目が変わる!意外な現場でホコリが大活躍!
思いもよらない健康に役立つ効果とは!?

もくじ
●ホコリが一番溜まる場所は? ●ホコリは人間の役に立つ?驚きの再利用法とは!? ●ホコリは犯罪捜査に役立つ!? ●地球を守る小さなホコリ「エアロゾル」とは!?

ホコリが一番溜まる場所は?

アンチの言い分「ホコリは必要ないため除去対象!」 ホコリの言い分「ホコリは人間が勝手に生み出した!」

家の中でホコリが一番溜まる場所はどこなのか?
出演者が「リビングのソファーの下」や「寝室」と予想する中、正解は服を脱いだり着たりする「脱衣所」。

掃除用品会社が1か月間で床に積もったホコリの量を調査したところ…
リビングに溜まるホコリの量を1とすると寝室は2.1倍、脱衣所はなんと6.6倍でした。

なぜ、脱衣所にホコリが溜まるのか?
解説してくれるのは、掃除用品会社で100軒以上ものお宅からホコリを採取し、研究している御厨真幸さん

見た目には灰色のかたまりと小さな粒みたいなものにしか見えないホコリを、マイクロスコープで観察したところ…
白やピンク、青など、小さくてカラフルなホコリが集まってできていることがわかります。

実は家庭内で発生するホコリ全体の7割は普段来ている洋服などの繊維由来のもの。御厨さんによると「絵の具などと一緒で、いろんな色が混ざると灰色に見えちゃう」そうです。

つまり、脱衣所にホコリが溜まるのは、洋服を脱いだり着たりする場所だから。
服を脱ぎ着する様子を特別なカメラで撮影したところ…
綿のTシャツを着ているとき、ものすごい量のホコリが舞っていることがわかります。

つまり、ホコリは我々人間が生み出しているのです!

ちなみに…残りの3割は、食べかす、花粉、ダニやカビの死骸、髪の毛、土などです。

ホコリは人間の役に立つ?驚きの再利用法とは!?

アンチの言い分「ホコリの中身を聞いてますます嫌になった!人間の役に立っていない」 ホコリの言い分「あるところでは人間の役に立っている!」

役に立たないと思われているホコリですが、実は、あるところで人間の役に立っています。解説してくれるのは、再び、掃除用品会社の御厨さん
御厨さんの会社でお客さんに貸し出すモップやマットの数はなんと年間1億3800万枚!

御厨さんの会社は回収されたモップについたホコリを驚くべきものに再利用しています。
まずは、ホコリがついたモップを洗濯機で洗浄。

排水から出たホコリを圧縮させ固めて…

燃やして原料と調合すると…

ホコリがセメントに大変身! あなたのまわりにもホコリ由来のセメントが使われているかもしれません。

また、愛媛県のタオルメーカーでは、タオル作りで発生する大量の綿ボコリが火災の原因になるが悩みの種でした。そこで思いついたのが、キャンプで使用する着火剤への活用です。いろいろな色のタオルがあるため、着火剤はカラフルな仕上がりに!
ホコリはいろいろなものに生まれ変わっていました。

ホコリは犯罪捜査に役立つ!?

アンチの言い分「見えないところにも隠れている!」 ホコリの言い分「見えないホコリが、意外な現場で役立っている!」

一体どういうことなのか?
解説してくれるのは、法科学を専門に扱う、雨宮正欣さん。実際に事件や事故の科学捜査を行ってきた雨宮さんによると「犯行現場に残された足跡(そくせき)の鑑定に、ホコリがすごく役立っている」そうです。

ホコリはとても細かいので、ツルツルに見える床にも隠れています。床の見えないホコリの上を歩くことで、雪の上を歩いたように足跡が残されるのです。
では、ホコリでできた足跡は、どうやって採取するのか?
床に見立てた赤いシートに特殊な青い光を当てるとホコリによって足跡が浮かび上がります!

静電気を起こす特別な装置を使って帯電シートにホコリを吸着させれば足跡の採取が成功!足跡を現場から持ち帰り、犯人の持っている靴と照合するなどで、決定的な証拠になります。

雨宮さん曰く「目に見えないようなホコリが、実は決定的証拠になることもあるという点では、ホコリは犯罪捜査の救世主とも言えるかもしれません」

ホコリがアレルギーを抑制する?

アンチの言い分「アレルギーなど体に悪影響を与える!」 ホコリの言い分「アレルギーから守っている!」

実は、最新の医学研究で驚きの結果が出ているそうです。
一体どういうことなのか?
解説してくれるのは、アレルギーの研究を行う、麻布大学名誉教授の阪口雅弘さん。

人と動物の健康を考える「ワンヘルスサイエンス」のエキスパートである阪口さんによると「ワンちゃん由来のホコリの中には、アレルギーを抑えてくれるホコリがある」そうです。

一般的に、犬などのペットはアレルギーを引き起こすリスクがあるとされています。しかし海外の研究では、赤ちゃんが生まれたときに家で犬を飼っていると、アレルギーになりにくいと言われています。スウェーデンで、およそ100万人を対象に行われた調査によると、幼少期に犬のいる環境で育った子どもは、そうでない子どもに比べて、喘息になるリスクがおよそ15%低かったそうです。

その原因は、犬が持っている細菌がホコリと共に赤ちゃんの腸内に入ることで定着して、アレルギーを抑制している、と考えられています。

今まで、アレルギーの原因と言われてきたホコリですが、実はその一部は、アレルギーから我々を守ってくれていたのです!

地球を守る小さなホコリ「エアロゾル」とは!?

さらに、ヴィランは「ホコリは地球を守っている!」と主張。

ヴィラン曰く、映画館の上映中などに目にする小さなホコリ「エアロゾル」が地球を守ってくれているそうです。

一体どういうことなのか?
解説してくれるのは、エアロゾルを研究している広島大学大学院准教授の岩本洋子さん。

岩本さんによると、「エアロゾル」とは、空気中に浮かんでいる小さな粒子で、花粉やタバコの煙、波しぶきの粒子なども含まれます。実はこの小さな「エアロゾル」が、地球温暖化を抑制しているそうです!

「少女漫画ぽく愚痴る」イラストで話題のイラストレーター・たら実さんに、エアロゾルのはたらきをわかりやすく解説していただきました。

https://movie-a.nhk.or.jp/movie/?v=h036484r&type=video&dir=yeg&sns=true&autoplay=false&mute=false

太陽の光から地球を守るのは雲ですが、その雲はエアロゾルが水滴をとりもつことでできています。つまりエアロゾルは雲となって太陽の光をさえぎり、地球を温暖化から守っているのです。

エアロゾルのはたらきはこれだけではありません。
海の中にいる植物プランクトンは二酸化炭素を吸って酸素を出し、地球を温暖化から守ってくれていますが、実は植物プランクトンはエアロゾルを食べています。
エアロゾルが食べられることで植物プランクトンが増え、光合成が増えていく…ここでもエアロゾルが地球を温暖化から守っていたのです。

https://movie-a.nhk.or.jp/movie/?v=jkazk1z0&type=video&dir=yeg&sns=true&autoplay=false&mute=false

嫌われもののホコリは、実は我々や地球にとって役立つ存在でもあったのです!

まとめ

ホコリのイメージは変わりましたか?
これからは、ホコリに感謝してお掃除していきましょう!

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