小結・若元春 ~震災から12年 ふるさとに頑張る姿を~

NHK
2024年3月29日 午前8:15 公開

大相撲春場所初日、小結として2場所目に臨む若元春が力を見せた。

幕内に復帰してから前頭2枚目まで番付を戻してきた三役経験者の竜電を相手に、立ち合いのあとすぐに得意の左四つの形に持ち込んで寄り切り、危なげない相撲で白星を挙げた。(※2023年3月12日スポーツオンライン掲載)

取組のあとには、東日本大震災の発生から、きのう(11日)で12年となった。ふるさと、福島への思いも口にした。

<若元春>

『3月11日の節目の日には一番思い出す。ふだんから復興のことを忘れてはいけないし、ふだんから考えている。』

福島市出身の若元春。

震災の発生当時は高校生で兄の若隆元がすでに入門していた、東京の荒汐部屋に弟の若隆景とともに1か月間、身を寄せた。

みずからも震災を経験したこともあり、同じく被災した人たちに活力を与えられるような相撲を常に取り続けたいという思いが原動力の1つになっている。

<若元春>

『みんな大変な思いをして頑張っていると思うので、そういう人たちに向けて自分も頑張っている姿を1年を通して見せないといけない』

その思いが今、着実に結果で現れ始めている。

幕下に番付を上げてから十両昇進を果たすまで6年あまりかかり「上に行きたい気持ちが強すぎて腐った時期もあった」と振り返るが、去年は初場所で新入幕を果たすと名古屋場所を除くすべての場所で勝ち越すなど1年を通して力を見せた。

さらにことしの初場所では小結に昇進。すでに関脇となっていた若隆景とともに兄弟三役となった場所でも9勝6敗と勝ち越した。

好調を支えるのは磨いてきた得意の左四つの相撲だ。    

「相手が少しでも迷ってくれれば」と立ち合いで突いて崩して左を差したり、横に動いたりしてまわしを取ったりするなど、いろいろなパターンを稽古で磨いてきた。

また、精神面でも平常心を保てるようになってきた。場所中、好調でも不調でも一喜一憂せずに一番一番に集中できるようになってきたという。

自身の成長についてことし10月に30歳を迎える若元春は「年を取ってきただけじゃないか」と笑いながら「余裕がない分、必死に左四つという型を取っていくし、左四つになったら必死に前に出る。すべてが出せているという状態だ」と分析する。

震災から12年がたち「行き届いてないところもあるだろうし、目に見えるところだけではない。細やかに、隅々まで復興できるようにお願いしたい」と気にかける若元春。今場所もみずからの活躍でふるさとを元気にしたいと考えている。

<若元春>

『まだ一番勝っただけ。この場所しっかり勝ち越したい。力強い相撲を見せて、少しでも見て力を出してもらえるような相撲を取りたい。』

この記事を書いた人

足立 隆門 記者

平成25年NHK入局。甲府局、山形局から地元の大阪局を経て、スポーツニュース部。30代半ばにして初の東京暮らし。