佐賀発 SDGs学んでみませんか?

アナウンサー・小林将純
2022年12月7日 午後1:38 公開

佐賀発 「海の豊かさを守ろう」を学ぶ!

九州の北西に位置する佐賀県・唐津。玄界灘に面するこの地域では、持続可能な開発目標SDGsの14番「海の豊かさを守ろう」に向かって取り組む人が多くいます。
なかでも、海のゴミに着目した活動について、これまで潜水アナウンサーとして唐津の海を見つめてきた小林将純アナウンサーが取材しました。

あわせて、SDGs関連のイベント開催についてもお伝えします。

【目次】

  1. 海のゴミがアクセサリーに! 中学生の挑戦
  2. プラごみでコースター NPOが学ぶ機会を
  3. 万華鏡から見える海の環境 佐賀大学研究員
  4. 取材を通して… 小さな一歩が大切
  5. 佐賀発SDGsをイベントで学んでみませんか?

海のゴミがアクセサリーに! 中学生の挑戦

「海の豊かさを守ろう」の目標達成に向かって取り組んでいるのが、唐津市の離島・小川島の中学生です。
島唯一の学校、小川小中学校の中学生が、総合学習の一環でSDGsに向けて取り組んでいます。小学生と中学生合わせて13人が通うこの学校。入口にはこんなものも…。

クジラのオブジェ。
4年前に、当時の中学生が制作しました。
捕鯨文化が盛んだった小川島の象徴とも言えるクジラを、海に捨てられたライターを使って表現したのです。
片面はクジラの表情が粘土であしらわれていますが、反対側はあえてライターがむき出しに…。

使われたライターは、約1000個。
ゴミを捨て続けると、海の豊かさが失われてしまうという危機感が伝わってきます。

では、ことしの総合学習ではどんなことをやっているのか?その様子も見せてもらいました。

2人の中学生が作っているのは、海のプラスチックごみで作ったアクセサリーです。

中学2年生の西岡沙笑(にしおか・さえ)さんの発案で総合学習の授業で制作しています。

「制作」と一言で言いましたが、実はかなり本格的!
まずは学校から歩いて5分の海沿いに出向き、プラごみを集めます。
多いときには、30分でごみ袋10袋以上も集まるそうです。

集めたごみはきれいに洗ったうえで、細かく裁断。
小さなかけらをアクセサリーの型に敷き詰めていきます。

高温に設定したアイロンを1分ほど押し当てると、熱で溶けだした青や白のプラスチックが見事なグラデーションに!

ごみとして捨てられていた物が、アクセサリーとして生まれ変わったのです。
ことしの文化祭で、このアクセサリーを20個以上販売もしたそうです。
中学1年の川野芽依(かわの・めい)さんは、自分たちの活動を通して、海の環境のことをみんなに知ってほしいと願っています。

川野さん)「海でとってきたプラスチックのごみを使って作ったことをみんなに知ってもらって、海を大切にしてほしい」。

プラごみでコースター NPOが学ぶ機会を

唐津市内の小中学校や高校の授業、さらに県内外で行われるイベントなどで注目されている取り組みがあります。
海に捨てられていたペットボトルのフタを使ったコースター作りです。

去年、小学校で行われた授業を取材しました。

去年12月、唐津市・東唐津小学校での授業の様子です

授業を企画したのは、唐津市のNPO法人の小嶋宏明(こじま・ひろあき)さんです。

コースター作りに使われたのは、NPOの活動でもある海の清掃活動で拾ったプラスチックごみ。細かく裁断したプラスチックを専用の機械に入れます。

プラスチックは機械の中を通りながら、およそ200℃に熱せられます。
それをコースターの型に流し込むと…。

溶け込んだプラスチックの色合いが何とも言えない風合いを醸し出しています。

小嶋さんは、幼いころに見たきれいな海と、いまとの違いに戸惑っているともいいます。
こうした活動を通して、子どもたちに地元の海の環境について考えてほしいと願っています。

小嶋さん)「唐津の海を守りたい。その気持ちを小学校や中学校で教えて、プラスチックごみのないきれいな浜辺に保ち続けたい」。

万華鏡から見える海の環境 佐賀大学研究員

プラスチックごみが増えているという現状にもっと目を向けてほしいと、子どもたちに発信をしている海洋生物の研究者もいます。
佐賀大学研究員の藤井直紀(ふじい・なおき)さんです。

玄界灘のクラゲや有明海の生き物を研究している藤井さん。
研究のサンプルとして、海でクラゲを採集しています。
しかし、ここ5年ほどはクラゲ以外のものが引っかかるようになりました。
それが海を漂うプラスチックごみです。

プラスチックごみが増えていることに、危機感を抱く藤井さん。
海の環境にとって良くないことだと知ってもらうために、あえて海のゴミを活かした取り組みを行っています。
子どもたちを対象にした万華鏡作りです。

本来は自然界にないカラフル過ぎる色合い。
のぞくときれいな万華鏡が作れるいまの海の環境のことを子どもたちにあらためて考えてほしいといいます。

藤井さん)「環境学習をするときに、だいたいの先生がきれいにしましょうという言い方をします。しかし、万華鏡がきれいなのはダメなことなんだと認識してもらうことで、環境学習全体の意味合いにもつながってくる」。

取材を通して… 小さな一歩が大切

私自身、これまで唐津の海に1年間潜って取材を続けてきました。

去年5月 唐津市波戸岬近くの海での撮影 ネンブツダイに取り囲まれる小林アナ

唐津の海は躍動感あふれる海で、季節ごとに見える景色が変わっていきます。
これからも、豊かな海であってほしいと願っています。
また、そうした豊かな海だからこそ、海を身近に感じる人たちが、環境について自分たちができる小さなことから始めている状況を、心強く感じました。
いきなり大きなことはできないかもしれません。けれども、いま自分ができる一歩を始めるのが大切なんだと取材を通して感じました。

佐賀発SDGsをイベントで学んでみませんか?

こうしたSDGsに関する様々な取り組みが一度に学べるイベント「SEA GARBAGE」(シー・ガービッジ)が、唐津市の旧唐津銀行で12月11日(日)まで行われています。

イベントでは、小川島の中学生が作ったクジラのオブジェや
海の環境のことを考えられる万華鏡(中をのぞくこともできます)、
さらに、市内の小中学生と高校生が制作したコースターを使ったモニュメントも!

展示だけではありません。
10日(土)には、プラごみを使ったコースター作り、
10日(土)11日(日)には、海のゴミを使った万華鏡作りができます。

詳細は↓のパンフレットをご覧ください。

https://www.nhk.or.jp/saga/station_info/event/seagarbage.pdf

佐賀発のSDGsを、みなさんも学んでみませんか?