サガン鳥栖U-18 高校世代で日本一に!(2022年12月19日放送)

NHK佐賀 アナウンサー 保田一成
2022年12月23日 午後7:33 公開

【サガン鳥栖U-18が日本一に!】

2022年シーズン、J1を11位で終えたわれらがサガン鳥栖。いつもより早めのシーズンオフに入り、12月、うれしいニュースがもたらされました!サガン鳥栖のU(アンダー)-18が、日本一に輝いたのです!

12月19日放送の「オーレ! サガン鳥栖」で特集しました。

【激闘! 最終節までもつれた優勝争い】

サッカーの高校年代日本一を決める「高円宮杯JFA U-18プレミアリーグファイナル」で優勝したサガン鳥栖U-18。この試合に駒を進めるには、まず西地区で優勝する必要がありました。

優勝争いはリーグの最終節までもつれました。最後までサガン鳥栖と西地区優勝を争ったのはヴィッセル神戸U-18。ともに勝ち点40。得失点差でわずか1つ上回る鳥栖が首位、という状況で、最終節を迎えました。

そして、このような結果に。

【最終節 結果】

鳥栖U-18 4-0 磐田U-18

神戸U-18 3-1 静岡学園

これで、鳥栖と神戸の勝ち点は同じ43。しかし得失点差は鳥栖が神戸を3上回り、鳥栖Uが首位の座を死守。リーグ初制覇、そしてプレミアリーグファイナル出場権を獲得しました。

【初の決勝進出で初優勝! 得点経過は】

リーグ制覇から1週間後の12月11日に行われたのが、冒頭で紹介した高円宮杯プレミアリーグの決勝戦。全国のJリーグのユースや高校生のチームが戦う、この年代で最高峰とされる大会です。決勝は東地区優勝の川崎フロンターレU-18を相手に、東京・国立競技場で行われました。日本一に輝いたこの試合の得点シーンを振り返ります。

▼前半44分に失点した直後、0-1で迎えた前半アディショナルタイム。2年生の増崎康清選手が右サイドからのクロスボールを冷静に決め、1-1、同点に追いついて試合を折り返します。

▼後半16分。左サイドからパスで崩したあと、地を這うようなクロスボールをトップチーム昇格内定の大里皇馬選手が決め2-1、勝ち越しです!

▼その直後の後半18分。2023年からドイツのバイエルン・ミュンヘンへの加入が決まっている福井太智選手。相手ディフェンス4人に囲まれながらもボールをゴール中央に突き刺し、3-1、リードを広げます。

▼その後1点差に詰め寄られますが、逃げ切って3-2で勝利!サガン鳥栖U-18は初の決勝の舞台にして初優勝を成し遂げました。

優勝が決まると、主将の福井選手は感極まった様子で目頭を押さえていました。試合後、メンバー全員が集合し、福井選手が優勝カップを両手で掲げ、笑顔でバンザイをして喜びを分かち合っていました。

【ドイツ名門へ 主将・福井 太智選手】

決勝戦でMVPに輝いた福井 太智選手は、この試合を最後にドイツのバイエルン・ミュンヘンに完全移籍します。神奈川県出身ながら、佐賀に引っ越してサガン鳥栖U-12に加入。2021年3月のJリーグ杯の鹿島戦では、サガン鳥栖史上3番目の若さ(16歳7か月16日)でトップチームデビューを飾り、世代別の日本代表にも選ばれました。得点能力、ドリブル突破、長短を織り交ぜたパスの正確さなど、高い攻撃力が持ち味です。

日本一に輝いた試合でチームすべての得点に絡む活躍をみせた福井選手。移籍を前にした12月19日、抱負を語りました。

(福井選手)

「チームを勝たせられる選手になりたい。常にゴールに関わり続けて毎試合結果を出せる選手になりたい。不安よりもワクワクのほうが大きいです。自分の夢がワールドカップで優勝することと小さいころから言っていて、その夢の達成のためには世界と戦わないとかなえられない。4年後はあのピッチに立てるようにと考えている」

【U-18からトップチーム昇格内定 注目の4選手!】

プロ入りが決まっているのは福井選手だけではありません。サガン鳥栖トップチーム昇格が内定している4人の選手を紹介します。

▼竹内 諒太郎選手

最終ラインからの攻撃の組み立てに優れるセンターバック。188センチの長身を生かしたヘディングの強さが武器です。西地区優勝を決めた最終節では、口火を切る先制ゴールを決めました。

▼坂井 駿也選手

中盤からセンターバックまで幅広いポジションでプレー。左右両足から繰り出す長短のパスで試合の局面を一気に変えられる選手。さらには粘り強い守備が持ち味で、数々のピンチを防いできました。

▼楢原 慶輝選手

チーム屈指のハードワーカー。主にサイドのポジションでプレーします。相手陣内にいたかと思ったら、自陣深くまで守備に奔走するなど、とにかく走ります。西地区最終節では大事な終盤にドリブル突破でゴールを決め、試合を決定づけました。

▼大里皇馬選手

2022年はシーズン序盤がセンターバックで、終盤にかけてはフォワードでプレー。180センチの高さと屈強なフィジカルをいかしたボール奪取、空中戦の強さが持ち味。セットプレーでのヘディングも強く、決定力も持ち合わせています。

2023年は、ドイツのバイエルン・ミュンヘン移籍の福井選手、サガン鳥栖トップチーム昇格の4選手、さらには先輩たちに続くユースの選手たちの飛躍に期待がますます膨らみます!

【取材後記】

サガン鳥栖U-18が日本一に輝いたのは、育成に力を入れてきたチームにとって、この上ない喜び。選手たちの充実した表情からもチームの雰囲気の良さが伝わってきました。

さらに、練習・試合で感じたのはファンの多さ。特に西地区最終節の優勝がかかった大一番での試合は、観客席がない高木瀬の佐賀市健康運動センターに、なんと800人も集まったそうです。それだけファンの期待の高さが伺えます。会場には、かつてU-18に在籍した現役トップチーム選手が。優勝後の表情は、どこか嬉しそうにもうらやましそうにも見えました。きっと自分たちの代で日本一をつかみたかった。でも後輩がその夢をかなえてくれた。そんな心境だろうと思います。

試合後には、3年生の選手が後輩たちに笑顔で語りかけている場面も。日本一という最高の結果で後輩にタスキをつないでいく瞬間を見たような気がしました。ますます、これからのサガン鳥栖ユースの選手たちに目が離せません。