隔週水曜日のインタビューコーナー「ギュッとーく」。新年最初のゲストは、佐賀市在住の漫才師・作家、島田洋七さんです。広島県出身の72歳。漫才コンビ「B&B」で、漫才ブームの先駆けとして活躍。「もみじまんじゅう」のギャグも人気となります。小中学校時代、佐賀に祖母と2人で暮らした経験をもとにした著書『佐賀のがばいばあちゃん』は、シリーズ累計1000万部を超え、映画化もされるなど大きな話題となりました。タレント活動のほか、35年にわたって全国各地で講演を行い、多くの人に笑いと希望を届け続けています。
柴田)「ギュッとーく」新年最初のゲストは、島田洋七さんです。明けましておめでとうございます。
洋七)おめでとうございます!
柴田)新型コロナの感染拡大から、もう3年になりますけれども、洋七さん、最近どのようにお過ごしですか。
洋七)もう本当に、家の周りを1万歩くらい、3回くらいに分けて歩く。
柴田)1万歩ですか!1日に?
洋七)20分、30分を3回くらい。それ以外は、人が集まる所も行かないですからね。新型コロナが、こんなに長く続くとは。
柴田)もう3年になりますからね。そうやって健康にも気を付けてらっしゃるんですね。
洋七)だから、8キロくらいやせた。
柴田)コロナ禍の間に?
洋七)お酒も控えて、あまりどこにも行かないし。
【コロナ禍 がばいばあちゃんなら何と言う?!】
柴田)洋七さんというと、『佐賀のがばいばあちゃん』ですけれども、洋七さんの祖母、「おさのばあちゃん」がもし生きてらっしゃったら、コロナ禍が続く今の世の中に、どんなことをおっしゃると思いますか。
洋七)たぶん「贅沢しすぎて、バチ当たったんじゃないか」と言うのかもしれませんね。「みんな平等がわかったでしょう」と。このコロナ禍でね。どこの社長さんだろうが、お金持ちだろうが、条件一緒ですからね、コロナは。そういうことを、ばあちゃん言うんでしょうね、たぶん。
柴田)コロナ禍で気付かされたってことなんですかね。
洋七)そう。
【在住20年 洋七さんにとって佐賀の魅力は】
柴田)これは、ぜひ洋七さんに伺いたいことなんですが、去年、ある民間の調査会社が行った都道府県の「魅力度ランキング」で、佐賀県が47位、最下位になったんですが、洋七さんはどういう感想をお持ちですか。
洋七)いや、私はうれしかったですね。だって、38位とか39位やったら、ニュースにもならないし。「あ、佐賀がまた出た!」と思ったんよ。中途半端よりね、「47位」のほうがいい。でも、あれ、ニュース見てたら、観光地が上位になってるのよね。
柴田)1~3位は北海道、京都、沖縄ですね。
洋七)僕らも、北海道、何百回も行ってるけど、向こうの人と話してたら、「いやー、冬は寒くて。あなたたちは、過ごしやすい季節に来るから北海道が素敵って言うけど、住んでごらん」って言われました。京都もそう。「秋は、観光地は人がすごく多い。私たち、渋滞で家から出られない」。だから、観光地は住むんじゃなくて、行くもんや、と。行って「わあ、ええとこやな」と感じて帰ればいいじゃない。だから、佐賀はピッタリなんですよ。熊本にも、別府にも行きやすい。「わあ、温泉ええとこやな」と言って、帰ってきて、また普通の日常に戻る。だから、俺、佐賀すばらしいと思って、20年ほど前に帰ってきたんですよ。
柴田)義母、奥様のお母さまの介護のために佐賀に引っ越して、もう20年以上なんですね。
洋七)それだけの理由じゃなくて、いずれは佐賀に帰ろうと思ってたが、51歳くらいの早い時期に帰ってきて良かったですね。いろいろ、佐賀のことが分かって。少年時代って、社会のことがあまり分かんないから。51になって帰ってきたら、ますます佐賀はいいとこやん、と。何が、どう不便かなと思います。
柴田)佐賀の一番いいのは、どんなところですか。
洋七)一番いいのは、山奥じゃないじゃないですか。山が浅いよね。ほとんどが平ら。これ、一生、車乗り続けたら、ガソリン代、相当違いますよ!(笑)これ、山梨の人に聞きましたよ。坂だらけやから、けっこうガソリン代かかるらしい。
柴田)佐賀には、平野が広がってますからね。
洋七)そうそうそうそう!唐津に行けばあんなにきれいな海があったり、有明海には栄養たっぷりの干潟があったり、こんなすばらしいとこないと思うね。飛行機もあれば、新幹線もすぐ通ってるし、すばらしいと思うよ。
【講演活動35年! 通算5000回を目指して】
柴田)さあ、2023年、新しい年が始まりましたが、どんな年にしたいですか。
洋七)あと80数回やったら、講演会の数が5000回になるんですよ。コロナがなかったら、もう達成してたはず。達成したら、今まで一人で講演行ったとこを、嫁さんとワンボックスカーでずっと回ってみようと思ってたんですよ。北海道から。僕だけしか知らないですからね、行ったとこ。でも、5000回達成してないから、まだ行けてない。早くコロナが終わって、嫁さんと「ここも行ったで!ここも行ったで!」と、訪れてみたいなという夢がありますね。
柴田)5000回が、当面の目標なんですね。では、最後に佐賀の視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
洋七)佐賀は、日本では一番いいとこやと思って過ごしてください。他人と比べなければ、自分の人生が世界一ですよ! 比べんほうがええ! みんな大変なんやから。
柴田)ギュッとーく、新年最初のゲストは島田洋七さんでした。どうもありがとうございました。
【取材後記】NHK佐賀アナウンサー・柴田 拓
島田洋七さんは、去年の9月、関西で活動するミュージシャン「そえんじ」さんとコラボしたCDを発表しました。洋七さんが作詞した『優しい言葉の中にも』という曲には、がばいばあちゃんのポジティブな言葉が盛り込まれています。その中に、こんな一節があります。
「普通の暮らしが幸せだとわかってほしい 本当の贅沢とは心豊かなこと」
****コロナ禍が続く今、がばいばあちゃんからのメッセージのように感じます。洋七さんは、この歌詞について「普通の暮らしをしてたのが最高だったことに、今まで気づかなかったでしょう。みんなでワイワイ酒飲んだりしゃべったり、あの日常が一番幸せだった。それは、今回感じましたね」と話していました。
漫才師、作家、35年にわたる講演活動、さらに歌の作詞まで、幅広く活躍を続ける島田洋七さん。年の初めに、たくさんの元気をもらうインタビューになりました!