フェアリーペンギンのお引っ越し

NHK
2023年10月6日 午後5:20 公開

九州の水族館で暮らすフェアリーペンギン。現在いる12羽のうち9羽は、東京の水族館から、とある方法でやってきました。どうやって来たのかというと・・・?

なんと卵の状態でお引っ越し。

専用の機材に入れ、飼育員さん自ら飛行機で大切に運搬しました。成体を長時間かけて移動するのはストレスが大きいため考え出されたこの方法、「受精卵移動」といいます。

到着した卵は孵卵器に入れ、最も成功率の高い温度、湿度のもとで孵化させます。

36.4℃で28日間、そして29日目から1℃下げて35.4℃に。たった1℃変わるだけでも、孵化しなかったり、ひなが育たず死んでしまったりすることがあるそうです。

但し、1℃下げるといっても卵ごとに産み落とされた日が違うので、29日目を迎える日も異なります。だから温度をいっぺんに下げるわけにはいきません。

そこで、東京と長崎の両水族館で連絡を取り合いながら方法を模索。結果、孵卵器内の卵の置き場所を少しだけ変えることで、1℃の違いを作り出しました。

こうしてすべての卵が無事に孵化しました。
  

生後しばらくはヒナの飼育を館長室で行っていたそうですが、館長はヒナを起こさないよう日中でも部屋の電気を消し、暗がりの中で事務作業をすることもあったそうです。
 

2か月後、少しずつ羽も生え変わってきました。
 

3か月後、無事に放飼場デビューを飾りました。
 

実はこの受精卵移動には大きな目標があります。

現在国内にいるフェアリーペンギンの血統が偏らないよう、オーストラリアから新たな個体を導入したいのです。しかし、オーストラリアから日本への移動には14時間以上かかるため、ペンギンの体に負担をかけない「受精卵移動」で行おうと考えています。
 
 

野島大貴さん(葛西臨海水族園)の話

「今回の受精卵移動の取り組みには、東京の水族館がもっている、フェアリーペンギン約40羽の人工孵化・人工育雛の知見を、自分たちだけのものにせず、他の園館にも伝えて国内の飼育技術の底上げをはかる目的もありました。園館同士が連携して繁殖を推進するなど、ペンギンにとってより良い環境を作っていくことが今後も大事だと思います。」