目の見えないマントヒヒ イブナのお話

NHK
2023年6月9日 午後5:20 公開

イブナは愛媛県の動物園にいる15歳のメスのマントヒヒ。生まれた時から目が見えません。でも母親はちゃんとイブナを育てたし、イブナも群れの中で他のマントヒヒと一緒に暮らしてきました。

イブナは放飼場にまかれたエサを手探りでゲットします。特に苦労している様子は見られません。エサの匂いをクンクンして、きらいなニンジンをぽいっ!することも。

とはいえ、やはり自分の好きなエサを十分に食べられなかったりして、みんなが食べ終わったあとも、手でエサを探しているときもあります。

そこで飼育員さんは、時々イブナだけに好きなリンゴなどを直接手渡ししてやります。栄養不足にならないよう最小限のサポートをしているんです。このとき、他のマントヒヒがエサを横取りするようなことはありません。

イブナが仲間の毛づくろいをすることはありませんが、仲良しのメスがイブナに毛づくろいしてあげることも。群れのメスたちがイブナの体をそっと触ったりして、気に掛ける様子は、しばしば見られるそうです。

イブナの元担当飼育員 三根生 康幸さんのお話

「群れの仲間はイブナの目が見えていないことは認識していると思います。群れの中には“イブナのエサを奪ってはいけない”という独自のルールがあるようにも見えます。イブナは仲間に見守られながら、たくましく生活しています。」