脳性まひのチンパンジー ミルキーのお話

NHK
2023年4月28日 午後7:32 公開

ミルキーは高知県の動物園で暮らすメスのチンパンジー。難産で心肺停止の状態で生まれ、飼育員さんたちの心臓マッサージで蘇生しました。

しかし、一か月経っても自分の力でしがみつくことができず、アイコンタクトもとれせんでした。飼育員さんたちは、なにかがおかしい、と感じるように。そこで霊長類の専門家に相談。ミルキーの発達検査を行ったところ、1歳を前に脳性まひと診断されました。

園ではミルキーの発達や自立に向けた支援をはじめました。脳性まひのチンパンジーという国内では前例のないケース。心強かったのは、人間の支援をしている専門家のサポートだったそうです。

 ミルキーが自分から進んで動きたくなるような工夫もしました。ポイントは遊び心や好奇心をくすぐること。飼育員さんはプレイジムを手作りしたり、トランポリンを遊びに取り入れたりました。

5歳になるころには、状況把握も体のコントロールもできるように。飼育員さん、「やってきたことが間違いでなかった」と、ようやく感じられたそうです。ミルキーは高い所にのぼろうとしたり、遠くに行きたいという意欲を見せたり、自分の成長を楽しんでいるように見えたそうです。

9歳になった現在も右半身に強いまひがありますが、生活に大きな支障はなくなりました。いま、次のステップとして週に1~2回、もう1頭のチンパンジーとの同居に挑戦中。チンパンジーどうしのコミュニケーションを身につけるのが目的です。

ミルキーがいつかは人の手を離れて仲間と共に暮らせるように。今後は、一緒に過ごせる相手を少しずつ増やしていくことも考えています。
  
  

ミルキー飼育担当者 山田信宏さんのお話

「動物たちに最善の方法をとるのは当たり前のこと。障がい、けが、病気、高齢などに関わらず自分たちは今目の前にいる動物たちに必要なことを、必要な分だけ一生懸命に取り組むだけだと思います。」