”博士が子どもだった頃”Vol.1 動物言語学「鈴木俊貴 博士」

NHK
2022年6月24日 午後0:06 公開

動物行動学者、鈴木俊貴博士は、鳥が「人間のような言葉」を持つことを、初めて証明し、世界を驚かせました。今や、その成果が、中学校の教科書にまで載るほど。NHK「ダーウィンが来た!」と「ワイルドライフ」が、その研究に4年間密着。視聴者からは「博士の話をもっと聞きたい!」といった声が、続々と寄せられました。

―そんな鈴木博士は、どんな子ども時代だったのでしょうか。

「昆虫や魚など、常時家で20種類は飼っているような少年時代を過ごしていました。昆虫の標本を作るより、『何を考えているんだろう?』と観察するのが、何より面白かったです」

―家で20種類も飼っていたなんて。具体的には、どんな生き物を?

「家にいたのは、ヤドカリ、カニ、ドジョウ、クワガタ、コオロギ、カマキリ、カエル、ヘビなど約20種類以上。母はカエルとヘビは苦手でしたが、自分が飼育していると、『かわいい』と言ってくれました。家の隣が林になっていたり、庭に野鳥の水場があったり、動物と好きなだけ過ごせる環境がありました」

―動物学者になりたい、と思ったきっかけは、何かあったのですか?

「動物学者になりたいと考えたのは、小学一年生のころです。NHKの『生きもの地球紀行』という番組で、クジラの未知の生態について取り上げていました。見終わったあとに、母が言った『生き物にも分かっていないことがたくさんあって面白いね』というつぶやきが、すごく心に残って。動物学者っておもしろそうだな、と」

―お母様のまなざし、つぶやき・・・とても興味深いです。お父様とは、どんなふうに接していたのですか。

「最初は都内に住んでいたんですけど、父が『子どもには自然の中で育って欲しい』と、茨城に引っ越したんです。そこから丸の内まで通勤してくれていました。父は、高い木にいる昆虫を捕まえるために、針金、布、竹竿でいっしょに虫網を作ってくれましたね」

―研究をされる中で、ご両親からの影響って何かありましたか。

「研究をはじめたころ、『どんな仕事でも成果がでるまでは5年はかかるもんだ』と父から言われ、その言葉通り、鳥の言葉の最初の解読までに5年。大変でもくじけない心をもらったと思います」

What‘s “博士が子どもだったころ”

10年から20年先の将来、人工知能(AI)やロボットによって、今ある職業のうち日本では約49%を代替することが可能と言われています。つまり、今の子どもたちが大人になるころには、現在ある仕事のうち半数近くは無くなっているかもしれない、とも言い換えられるでしょう。

「今の常識では通用しない時代が来るのだ」と感じつつも、「じゃあどうしたらいいのか」の問いには、簡単に答えがみつかりません。

「好きなことがある人は強い」

番組の取材を通して、世界トップクラスの科学者や技術者にお会いする機会が多い私たちは、日々そう感じています。そして、「博士たち」が子どもだったころ、どんなふうに日々を過ごしていたのか、周囲の家族や友人達と、どんな関わり方をしていたのか、ということに、私たちはとても関心があります。

サイエンスZEROでは、『博士が子どもだったころ』と題して、魅力あふれる博士たちの原点をお伝えしていきます。