“博士が子どもだったころ”特別編 小学生ロボコンの新星! 金子茉尋さん・史哉さん

NHK
2022年6月24日 午後0:09 公開

手作りのロボットでアイデアと技術を競う「NHKロボットコンテスト(ロボコン)」。その小学生版の大会が第3回を迎えました。今回のテーマは、「月面に建設中のホテルにロボットが資材を届ける」というもの。全国から1015人が参加し、予選を勝ち上がった23人が、3月にオンラインでの全国大会に挑みました。プロをもうならせるワザと驚きのアイデアで会場をわかせた小学生ロボコニストたち。中でも特に注目を浴びたのが、千葉県代表の金子きょうだいです。競技部門では、弟の史哉さん(小4※大会時小3)が圧倒的なスピードで優勝、アイデア部門では、姉の茉尋さん(小6※大会時小5)が斬新な発想で3つの審査基準のうち2つで満点を獲得し、特別賞を受賞しました。ロボット作りに夢中になる“小さな博士”がどう育まれているのか、お二人とご両親にお話を伺いました。

(写真:小型化がコンセプトの茉尋さんのロボット)

―特別賞を受賞した姉の茉尋さんのコンセプトは誰よりも「小型」のロボットだそうですが、苦労は?

茉尋さん:ほんとはもっと小さいロボットを作りたかったんです。いろいろ作ってできた中では本番のが限界で一番小さいです。大変だったのは、小さくすればするほど、段差を上れなくなること。他の大会のロボットのよいところを参考にしたりして、凹凸(おうとつ)をつけたクローラー型になりました。タイヤのサイズを小さくしたり、大きくしたりの繰り返しで、なかなかうまくいかずに落ち込んだときもあったけど、うまくいったときはうれしかったです。

―「小型」というアイデアはどうして生まれた?

茉尋さん:小さいのがかわいいから。今は、1枚の折り紙を64分の1にして折った鶴で千羽鶴を折るのにはまっています。

父・昌史さん:折り紙のほかにセロテープやはさみといった文房具を小さくして作ったり、娘は何でもミニチュアにしてしまいます。私の父(※茉尋さんの祖父)がもの作り大好きで、子どもたちに折り紙や工作を教えてくれましたが、父自身がエスカレートして、どんどん凝ったものになっていくんです。父に育てられた私も手作りに夢中になるところがあるので、そういう私の姿を子どもたちも見ているのかなと思います。

(写真:極小の折り鶴はつまようじを使わずに折る。右は通常のサイズの折り紙)

―どんなサポートをしていますか?

母・美保さん:ロボットを作っても動かなかったりすることが続いて、娘が落ち込むこともありますが、そういう時は一旦制作を止めて、一晩寝かせて励ましたり、本人がネットやテレビで情報を得たりして、前向きになれるようにサポートしました。

―就学前の茉尋さんはどんなことが好きでしたか?

母・美保さん:小さいころから工作が大好きでした。NHKの番組「ノージーのひらめき工房」をよく見ていて、保育園の先生が娘に「工作が好きだから工作名人ね!」とおだててくれるわけですよ。そうすると本人もだんだん工作名人になっていくんです。小学生になると、千葉工大の文化祭ではんだごてを使ったり、ラジオを作るようになりました。また、娘が興味を持ちそうなロボットや科学に関する番組を、私が録画しておいて見せることもあります。最近ではサイエンスZEROの「プラスチック」と「竹の開花」をよく見ていました。

(写真:平日はダンスや塾などの習い事があるため、ロボット製作は主に週末に取り組んだ)

―弟の史哉くんは競技部門の決勝では37秒という断トツの好タイムでしたね

史哉くん:お父さんが作ってくれたフィールドでたくさん練習しました。勝ったときはうれしかったです。

父・昌史さん:史哉のロボットは、軽い素材を使ったシンプルな構造のもので、まさか優勝するとは思っていませんでした。実は、本番2時間前、最後の練習中にタイヤが壊れてしまったんです。それまでにたくさん作っていたタイヤの中から、最終形のひとつ前の段階のものに付け替えたのですが、奇跡的にぴったりはまり、練習はかなり積んでいたので操作もうまくいきました。ロボットは強度との闘いで、練習すればするほど、壊れていくジレンマの中で、何回も修理しながら、本当によく頑張ったと思います。

―頑丈なロボットを作るのは大変なことですよね

史哉くん:何回も壊れて大変だったけど、お父さんに丈夫にするコツを教えてもらいました。

父・昌史さん:強度を上げるために、直角に置かれた棚を支える“ななめの一本の支え”の重要性を息子に教えました。たったの1本だけど、これがとても大事なんだと。今回の大会で、それだけ覚えていてくれただけでも嬉しいです。

―ご両親にとってはこれだけ試行錯誤されると材料集めも大変では?

母・美保さん:家の中はいつでも好きなものを作れるように材料があふれています。特にロボコンの大会前は、毎週末、近所のホームセンターに材料を買いに行っていました。中でも接着剤と電池は消費量が多く、全部で1人あたり1万円くらいはかかったかもしれません。でも、ゴムと相性のよい接着剤はどれかとか、材料探しも家族で楽しんでいます。

―いま、史哉くんが好きなことは何ですか?

史哉くん:紙飛行機を作るのが好きです。速く遠くに飛ばすにはどうしたらいいかとか、鳥の形にしたらどうなるかとか、考えながら折ってます。

母・美保さん:家中のあちこちに紙飛行機が落ちていたり、刺さっていたりします。テレビやネットで紙飛行機に関するものがあれば、教えます。子どもが「いいな!」「好きだ」と思った気持ちを大切にして、興味もったことは何でも伸ばしてあげたいです。

―ロボットの製作はやはりお姉さんの影響も大きいですか?

史哉くん:・・・・・。

茉尋さん:私が何か作っていると、隣にやってきて、同じものを作り始めます。史哉が作るものは強度が弱いので、すぐにボロボロになっちゃう。そこを直せばもっといいものが作れるのにと思います。

母・美保さん:息子は小さいころから優しい姉が大好きで、その隣で何でもまねしてきました。今でも、姉が工作しているときは何ができるのか興味津々で、そわそわしながら10分おきに「まだ?まだ?」と完成を待つこともあります。家族の中で史哉は、茉尋ちゃんの作品の「ファンクラブ1号」と呼ばれています。技術が足りないので、姉と同じものは作れませんが、見て技術をまねしていってくれるといいなと思います。

―お二人の将来の夢は?

茉尋さん:高専ロボコンやABUロボコンに出てみたいです。あとは超小型のドローンを作ってみたいです。モーターが重くて小さいドローンはなかなか作れないので、チャレンジしてみたいです。

史哉くん:車屋さんになって空飛ぶ車を作りたい。羽とか出ない車を。あとはオリンピックに出る体操選手にもなりたい。

(写真:左から母 美保さん、史哉くん、茉尋さん、父 昌史さん)