「東京生きもの調査隊 子どもスクープスペシャル」制作ウラ話

NHK
2024年1月22日 午前1:15 公開

すっかりおなじみ!ムササビの「すーすー」

◎制作こぼれ話「園児たちのお手柄!ニホンノウサギの発見」

今回の取材で驚いたのは、幼稚園でのニホンノウサギの発見です。

きっかけは、2022年の冬、幼稚園と森の間にあるフェンスに「動物が掘ったような跡がある」という1人の園児の情報でした。幼稚園が無人カメラを購入して確認したところ、フェンスの小さな穴をくぐって、ニホンノウサギが幼稚園にやってきていることが分かったんです。

ニホンノウサギは、夜行性で警戒心が非常に強いため、人前に姿を見せることはほとんどありません。激レア動物であるニホンノウサギがなぜ幼稚園にやって来るのか?園児たちは、10台以上の無人カメラを使って園内の各所を調査。すると、ノウサギは、毎日のように幼稚園へやって来て、園庭で食事していることが分かったんです。

フェンスの前にカメラをセット

園児が発見したフェンスのすき間

ただ、無人カメラでは短い時間しか撮影することができず、何を食べているのか?など詳しいことが分かりません。そこで、番組スタッフが園児たちに代わって張り込むことにしました。園庭にやってきたノウサギに密着撮影するといろいろなことが分かりました。

ノウサギは、夜9時頃から明け方まで、園庭を歩き回りながらひたすら草を食べ続けていました。好んで食べていたのはオオバコの葉。草の根元近くの茎を切り取り、茎の先端に向けて葉っぱを食べていました。これはノウサギの食べ方の典型だそうです。ノウサギの食べ跡は、ナイフでスパッと切ったような独特の跡が残ることはよく知られていますが、こうして痕跡が作られるのだということを今回の撮影で初めて知りました。専門家によると、ノウサギが1日に食べる草の量は、およそ500g。150種類以上の草を食べ物にするそうです。胃袋がいっぱいになると植物を盲腸に送って発酵させ、休息時間中に「盲腸フン」を食べます。このフンには微生物が含まれていて栄養価が高く、これを食べて栄養補給しないとノウサギは生きていけないんだそうだそうです。そのため、食事時間がとっても長くなるのだといいます。

激レアのニホンノウサギが園庭に

ニホンノウサギがオオバコの葉をモグモグする様子を見たい方は…

園庭にやってきたノウサギは食事に夢中になり過ぎるせいか、撮影スタッフに急接近することが何度もありました。専門家に映像を見てもらったところ、夜の幼稚園は安全な場所だと認識しているのだろうといいます。これだけ心を許している場所なら、繁殖期の春になれば、幼稚園の草むらで出産する可能性が高いそうです。

今回、野生のムササビが出産する決定的瞬間の撮影に成功した園児たち。今度は、ニホンノウサギの赤ちゃんのスクープ映像を期待しています!

オスが飛び跳ねてメスにプロポーズ

ノウサギがピョンピョン!求愛する貴重な映像をご覧になりたい方は…

◎なぜ都内で急増?大発生するハナムグリの謎

今回、渋谷にある幼稚園で東京都の絶滅種に指定されたハナムグリが発見された話題を取り上げました。実はいま東京都内で、本来生息しないはずのハナムグリが急増していることが専門家の調査で明らかになっています。番組の取材中もさまざまなハナムグリを発見。中でも最も多く目にしたのは、キラキラ模様が美しいリュウキュウツヤハナムグリです。もともと沖縄や奄美地方などにしか生息しないのですが、荷物などにくっついて入り込んだらしく、東京湾岸の埋め立て地エリアを中心に大発生しています。ハナムグリの成虫が数多く集まっているのは、トウネズミモチという公害や病害虫に強い樹木。春から夏にかけて1つの枝に1000個以上もの花を咲かせるので、ハナムグリは食べ物に困らないんです。

街路樹に集まるリュウキュウツヤハナムグリ

トウネズミモチの花がお気に入り

幼虫の都市環境への適応力も、増加の理由にあげられます。ハナムグリの幼虫は土の中で腐葉土を食べて暮らします。街路樹の植え込みや公園の花壇のような限られたスペースでも生きることができるんです。さらに注目は、優れた移動術。例えばカブトムシの幼虫は小さな前脚を使ってゆっくりとしか移動できませんが、ハナムグリの幼虫は、腹を上にして体をくねらせながら背中にある剛毛を使って素早く移動できます。地表が水没しそうになったりすると、地上へはい出て別の場所へ逃れることもできるんです。

幼虫が都市で生き抜く切り札!「背面移動」

幼虫が都市部で生息できるようになったことで、思わぬことが起きています。都内のある場所では、5mmほどのペレット状の塊が街路樹の植え込みの上をびっしりと覆っています。これはハナムグリの幼虫のフン。本来、幼虫のフンは土に分解されてなくなります。しかし、ハナムグリの幼虫が多く生息する場所では腐葉土や枯葉が食べ尽くされる一方、フンの分解が追いつかないので、大量のフンだけが地表に残されるんです。

地面を覆うハナムグリの幼虫のフン

このままハナムグリが増加し続ければ、東京の生きものの生態にも影響が出る可能性があります。渋谷の幼稚園から寄せられた外来種のハナムグリが発見されたという情報は貴重なデータになりました。園児の皆さん、先生方、ご協力ありがとうございました!

ディレクター横尾正博

なぜ都市部でハナムグリが急増しているの?その理由を知りたい方は…

☆ブログ担当スタッフから☆(仮)

ムササビ・すーすーの家族はもちろん、激レアのニホンノウサギの家族も見られるかもしれないなんて「東京生きもの調査隊」のこれからが楽しみですね!

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