をしへて! 根本知さん ~漢詩シーンを彩る男性貴族の書

NHK
2024年2月11日 午後8:38 公開

大河ドラマ「光る君へ」第6回で漢詩を披露した柄本佑さん演じる藤原道長たち。題字・書道指導の根本知さんに、藤原道長をはじめ、町田啓太さん演じる藤原公任、金田哲さん演じる藤原斉信、渡辺大知さん演じる藤原行成の字の特徴について伺いました。

――第6回で藤原道長らが漢詩を披露するシーンがありましたが、道長役の柄本佑さんをはじめ、演じる俳優のみなさんにはどのような指導をされたのですか。

漢詩を披露するシーンでは書き方のスタイルも俳優さんご自身に決めていただいたのですが、指導にあたってはまず、大石静さんの脚本を読んだうえで、演じられる役柄が「どのような人物でしょうね」というお話からさせていただきました。藤原道長は直筆の史料が残されているのですが、そのひとつである『御堂関白記』という日記を見ると、筆はかなり寝ているし、あまり造形を気にしないで書いている感じがあるので、朴とつとした人物だったのではないかと私は想像します。現代でいう美文字ではなくて、気骨にあふれ、気にせず自由闊達(かったつ)に書いた字が当時評価されたのではないかと、私は思っています。前回のコラムでもお話ししましたが、平安時代はまだそこまで型が決まっていないんですよ。

をしへて! 根本知さん ~筆を軽く! 物語を彩るまひろの書

――柄本さん本人が書かれているんですね。

みなさん、「佑フォント」と呼んでいます(笑)。ただ、柄本さんへの書道指導はクランクインの前からさせていただいていて、どんどんうまくなっていたので、演出の方から「うますぎです」と言われてしまったんですよ(笑)。柄本さんは「一生懸命に練習したのになぁ」と言いながらも、「わかった。根本先生に言われたことを全部忘れて今は書きます」とおっしゃって書いてくださいました。前半では下手な感じですが、今後をぜひ注目していてください。

――町田啓太さん演じる藤原公任、金田哲さん演じる藤原斉信、渡辺大知さん演じる藤原行成について、字の特徴はありますか。

藤原公任と藤原斉信は、すごくカッコいい役なんですよね。当時、この二人は女性たちにとてもモテました。今回の脚本からは、公任は気が使えて繊細。一方、斉信はちょっと自信家、という風に感じました。そこで、町田さんには「公任さんは、少し平行めで、丸字。細い線を使うことにしましょう」、金田さんには「斉信さんは、右肩上がりの字にしましょう」と相談をさせていただき、それぞれの個性が出るようにしました。

そして藤原行成ですが、行成は書の達人として有名なんです。ですので、渡辺さんには「行成さんはうまく書けないといけないんです。なぜなら、行成は字で評価された人だから」とお話をさせていただきました。唯一プレッシャーを感じられているかもしれませんが、渡辺さんはもともとすごく字のうまい方なので、私としては「よくぞこの方をキャスティングしてくださった!」と感謝しています。書道は未経験のようなのですが、ミュージシャンですから、指先がとても器用でリズム感があるということがよくマッチしているのかなと思っています。

ちなみに、平安時代の当時、行成の手紙は人気があったようで、美しい字で書かれた手紙が欲しい人たちからのラブレターがたくさん届き、行成は困っていたそうです。

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