藤原行成役 渡辺大知さん ~筆でリズムを生み出す書の達人

NHK
2024年2月11日 午後8:40 公開

平安時代中期に“書の達人”として名をはせ、当時を知るための貴重な史料のひとつとなる日記『権記(ごんき)』を書き残した藤原行成。大河ドラマ「光る君へ」ではどのような人物として描かれるのかなど、演じる渡辺大知さんに伺いました。

――「光る君へ」の藤原行成はどのような人物だと思われますか。

行成は書の達人で、彼の字が欲しくて女性たちからたくさんの文が届いたりするほど、とてもモテた人物だったようです。でも役職をいただくうえでは、人がいいせいで本当の才能を発揮することができずに苦労したと伺いました。「光る君へ」では、藤原道長、公任、斉信と仲の良い4人組を形成しているのですが、その中でも一番弟分気質といいますか、お兄さんたちの会話を聞きながらたまに思ったことを発言するようなポジションなのかなと思います。自ら進んで意見を言ったりはあまりしないのですが、いろいろな人の声を聞いて、自分の中で思いを巡らせている人間なのかなと思っています。

――書の練習はかなりされたのでしょうか。

そうですね。クランクインの前から書道指導の根本知先生のもとでたくさん練習をさせていただきました。僕個人としては、書道は文字を書くまでの準備がたくさんあるため面倒な印象があって、幼いころからあまり得意ではなかったんです。でも、今回いろいろととても丁寧に教えていただいて、まったく面倒ではないし苦ではないと感じられるようになり、ありがたいなと思っています。実際にセリフとしても登場しますけれども、息を吐きながら歌うように書くと自分なりのリズムが生まれて個性が出ると聞いて、すごくおもしろいなと思いました。ふだん音楽をやっている身としても、ただ紙に文字を書くだけではなく、当時の人たちが和歌を詠むような感覚で、リズムを生み出すように、歌うように筆を動かすことを大事にしたいなと思っています。

――平安時代の衣装を着た感想はいかがですか。

烏帽子(えぼし)をかぶらせていただくのが初めてなので、新鮮です。烏帽子は長いので、建物のつくりに合わせて毎回天井をくぐるみたいな格好になるんですよね。当時の人たちにとっては当たり前だったのでしょうけれど、とても不思議な感覚になります。貴族たちが着ている正装などは今でいうとスーツや燕尾服のようなものなのかなと思うのですが、烏帽子は今でいうと何なんでしょうね…? それがいまだによくわからないなぁと思いつつ、でもやっぱり画面を通して見るととてもかっこいいですし、何人か並ぶと優美な感じがするなと思います。烏帽子があるおかげで立派に見えるみたいなところはあるような気がしますね。

――よく行動を共にしている、道長、公任、斉信の印象を教えてください。

道長さんは独特の“抜け感”を持っている人といいますか、きっといろいろと考えていることはあるはずだけれど、それを見せようとしないので、「もっと知りたい!」「この人が考えていることを少しでもわかってあげたい!」と思わせられる存在なのかなと思います。彼は今後の政治の中心を担っていく人でもあるし、何を考えてどのように発言するのかが行成としては常に気になっている感じですね。
公任さんと斉信さんに関してはまだ2人で話すシーンがないので探り中ではありますけれど、公任さんは誰よりも真面目で、「自分の腕でのし上がっていこう」という強い思いをはっきりと言葉にする方だなぁという印象です。そして斉信さんは、そういう公任さんにつっかかったり試すようなことを言ったりしていますよね。仲がいいからこそ言えるのでしょうけれど、かき乱そうとしてくる。これは4人全員に言えることですが、心許せる仲というよりは、一緒にいることで切磋琢磨(せっさたくま)できる関係なのだと思うんです。ただの仲良しグループではなくて、時にバチバチもしながら、いい距離感を取りつつ牽制(けんせい)し合っている仲間なのかなと思っています。

――大石静さんの脚本を読まれて、どのような感想を持たれていますか。

大河ドラマは戦国時代や江戸時代を扱う作品が多いイメージがありますし、僕自身も歴代の作品を拝見して時代劇に憧れをいだいていたのですが、平安時代はまったく知らない世界でした。どういう口調で話すのか、どういう温度感で人と接するのか、何も想像がつかない状態で大石さんの脚本を読んだ感想としては、平安時代ではあるけれども現代人でもスッと入ってくるような物語だなと。セリフも、難しい言葉もあるけれども、大半は親近感のある言葉で書いてくださっていると感じますし、お話としても、現代を生きる自分の感覚も大事にしながら演じることができる脚本だなという印象です。

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