3回にわたり紹介してきた能「井筒」について、改めて味わうポイントを考えます。「井筒」の原作は、在原業平が主人公の『伊勢物語』です。世阿弥はそこから業平と妻、紀有常の娘とのエピソードを取り出してストーリーを展開しましたが、そこに世阿弥ならではの工夫を加えました。そして、複式夢幻能(ふくしきむげんのう)という世阿弥が編み出した能の形式について解説します。
今回は世阿弥作の「井筒」の後半を紹介します。ワキである旅の僧の夢に、業平の妻が現れます。しかも、業平の着ていた服装、冠をつけ、業平の恰好をしています。そして、夫の帰りを待っています。彼女は井戸(井筒)をのぞき込みます。そこには、のぞきこむ妻の姿が映りますが、その姿は夫なのです。そうした世阿弥の能ならではの工夫と表現を小野花梨さんの朗読と謡の録音で味わいます。
世阿弥作の能「井筒」を取り上げるシリーズ。2回目は謎の女が語る、在原業平と妻、紀有恒の娘との関係について、謡の部分を朗読と録音で味わいます。そして能の前半最後では、謎の女が自らの正体を明かします。
今回から4回シリーズで世阿弥作の能「井筒」を取り上げます。旅の僧が在原業平ゆかりの在原寺の近くを通った際、謎めいた女性と出会います。女性は業平夫婦のことについて、詳しく僧に語ります。今回は浮気した業平の安全を思う妻の心情がうたわれた場面を、小野花梨さんの朗読と録音で味わいます。
今回は古事記中つ巻からヤマトタケルの事績の続きをよみます。西国から帰ってきたヤマトタケルは父天皇から続いて東国征討を命じられます。そのことで叔母のヤマトヒメに悲痛な胸中を打ち明けたり、東征中に妻のオトタチバナが荒海を鎮めるために入水し、航海が続けられるようになると、その死を嘆き悲しむなど、悲劇の英雄に共感できる場面が登場します。大和をおもいつつ、最期を迎えます。(初回放送:2024年4月13日)
今回から2回、古事記の中つ巻からヤマトタケルの活躍をみていきます。今回は、父の天皇に命じられてクマソタケル、イヅモタケルを征討する場面をよんでいきます。(初回放送2024年4月13日)
「枕草子」2回目は、「にくき物」「心ときめきする物」「すぎにしかた恋しき物」など、清少納言が自分の感性をもとに「もの」や情景などを列挙している部分を、小野花梨さんの朗読を交えながら味わいます。(初回放送2024年4月6日)
平安時代中期、清少納言により書かれた枕草子は「源氏物語」とともに王朝女流文学の代表とされる傑作です。当時の宮廷生活や価値観などが細やかな観察眼でとらえられています。貴族社会での「働く女性の生き方」にも注目しながら、その文章を味わいます。(初回放送2024年4月6日)
太宰治の『おさん』を味わうシリーズ。作品後半には太宰が範とした近松門左衛門の『心中天網島』にちなんだ仕掛けがいろいろちりばめられています。さらにどことなく太宰本人を思わせる主人公の女性の夫の言動。読んでいる私たちの心に微妙な影を落とします。夫に心中された妻の気持ちを描いたこの作品から数か月で心中した太宰治とは?古典を題材とした太宰の心の動きに思いをはせます。(初回放送2024年2月23日)
今回と次回、太宰治(1909~1948)の短編小説『おさん』を取り上げます。太宰の死の前年に発表されたこの作品の主人公は以前出版社に勤めていた男の妻です。三人の子の母である彼女は、別の女と心中した夫の死体を引き取ります。『おさん』にはもとになった古典があります。それは近松門左衛門の『心中天網島』です。今回は小野花梨さんの朗読で、『おさん』の前半部分を味わいます。(初回放送2024年2月22日)