ちょっと可愛いような、怖いような、何とも捉えがたい顔をしたロボット…。 人それぞれ反応は違いますが、赤ちゃんは泣き、子どもは興味津々、大人は遠巻きに眺め、年配の方は遠慮なく話しかける傾向があるようです（開発者によると、能のお面を参考にして作ったので人によって感じ方が違うのはではないかということでした）。そんなロボットが店員として働くカフェが開かれることを２年前に知り、取材を始めました。 取材し始めた当時はロボット開発の真っ最中。ロボットといえばペッパー君ぐらいしか知らなかった私には、どうやったら病気や障害で外出が難しい人たちがこのロボットを遠隔操作して働くことができるのか、想像もつきませんでした。 ロボットの取材と同時に、カフェで操作する人たちの取材を進める中で出会ったのが、難病を抱える永廣柾人（ながひろまさと）さんでした。それまで働いた経験がなく、初めての仕事に挑戦しようとしていた永廣さん。私も社会人になりたてだったため、「永廣さんはどのように社会に出て、仕事に向き合っていくのだろうか」と気になり、追わせていただくことにしました。 番組で取り上げた分身ロボットカフェは、体を自由に動かせない、病院から出れない、家から出たくないなど、様々な事情を抱えた人たちが、自分の人生の中で一歩踏み出そうと集まってきた場です。そしてその一歩から、それぞれの人の新しい物語が始まっています。放送できるのはその一部になってしまいますが、どのような一歩を踏み出し、どんな変化が表れてきているのか…。その姿から、“何か”を感じ取っていただける内容になっていたら嬉しいです。 そして…分身ロボットも、社会への一歩を踏み出し始めています。すでに在宅勤務などに企業で利用されていますが、今後はさらに様々な利用の仕方で、社会への導入が進められていくようです。 分身ロボットとその利用者たち、ともにどのような世界へたどりついたのか、ご覧いただければ幸いです。