高齢の方々が楽しむ姿が印象的なゲートボール。実はいま、高校の部活動として取り組まれるなど、高齢者だけでなく若者も多くプレーするようになっています。
なぜゲートボールが幅広い世代の人たちにプレーされるようになったのか、その魅力に迫ります。
(スポーツ情報番組部 ディレクター 酒井啓輔)
ゲートボールの全国大会に若者が?!
先月、全国の代表45チームが参加して開かれた全日本ゲートボール選手権。出場者の3割が30代以下という、若者の姿も目立つ大会でした。
ゲートボールは5人1組のチーム戦。コートにあるゲートにボールを通せば1点。獲得した点数で競います。
予選に参加した30代の選手
「(ゲートボールは)自分が活躍して勝つ達成感がいちばん。昔から一緒にやってる仲間と勝つ試合がうれしい」
ゲートボールが世代をつなぐ
ゲートボールが幅広い世代の人たちを引きつける理由は何なのか。その秘密を探るために訪ねたのは三重県伊賀市。ここを拠点に活動するのが、ゲートボールチームの「E・フォース」です。
前回大会で準優勝している、“強豪”チーム。小学校1年生から80代まで、約30人が一緒になって、週4日、練習にはげんでいます。
このチームで代表を務めているのが、下村一成さん(45)です。
小学1年生のとき、近所の高齢者がプレーしているのを見たことがきっかけで、ゲートボールを始めた下村さん。年齢を問わず楽しむことができ、世代を超えて仲良くなれることにひかれてゲートボールを続け、およそ20年前、地元の伊賀市でみずからこのチームを立ち上げました。
下村一成さん
「長い人生で色々と経験された人たちから影響を受けている子どもたちもいるし、逆に年配の人は小さい子どもと一緒にプレーをして刺激をもらっているのを間近に見ているので、この環境からはなかなか離れられないです」
実際に練習の様子を見ていると、「そのボールに当てて」「ちょっとだけ力入れて打って」など、世代を超えて、お互いに指示を出し合いながら取り組む姿を見ることができました。
80代女性
「若い力もらって、年がいもなく楽しんでいます」
小学6年生
「にぎやかで、学校のクラスみたいで、もう最高」
幅広い世代の力で挑む全日本選手権
先月の全日本選手権に、初優勝を目指して臨んだ下村さんたち。1次リーグの最終戦では熊本県のチームと対戦しました。
試合の序盤、下村さんのチームは次々とボールをゲートに通過させることに成功し、リードを奪います。
しかし、試合中盤。相手チームは、下村さんたちが得点するチャンスを邪魔する作戦に成功します。その後、相手に得点を重ねられ逆転を許しました。
その後、再逆転を目指して相手チームを追いかけましたがわずかに及ばず、1次リーグで敗れてしまいました。
目標としてきた初優勝には届かなかった下村さん。それでも、チームで戦えたことに充実感を感じていました。
下村さん
「負けちゃいましたね。いい試合でしたけど。自分たちの実力をつけることにつきると思いますので、また練習に励みます。年々成長できる可能性を秘めたチームを率いているという喜びはすごく大きいです」
(取材後記)
全日本選手権では、高齢者だけではなく多くの若者たちが楽しんでプレーする姿が印象的でした。
大会に来ていた選手たちに話を聞くと、さまざまな世代と交流できるだけでなく、相手の動きを読み合う“駆け引き”に魅力を感じるという人も多くいました。
単純にゲートをめがけてボールを打つだけではなく、時には相手が得点することを邪魔するなど、試合の中での“戦術”が試合を左右するゲートボール。一度プレーすると、最後の最後まで逆転が可能な戦術の奥深さにのめり込んでいくそうです。