秋場所中日の解説には、元大関・豪栄道の武隈親方が初登場!
横綱不在で大混戦となる今場所をたっぷり解説していただきました。(2023年9月17日放送)
注目取組① 角番の大関・霧島 過去1勝8敗の相手と
霧島について武隈親方は、突き押しも四つ相撲もとれるオールラウンダーと評価。過去1勝8敗と大きく負け越している隆の勝との対戦です。
霧島、苦手の相手に一方的に突き出されました。
親方、この一番どうご覧になりましたか?
武隈親方:すべて立ち合いですね。この一歩目の霧島の踏み込みが、左足が完全に浮いてしまっているので、足の強い霧島といえど、押し相撲の隆の勝の立ち合いの圧力を全部右足、軸足ですべてを受けてしまっているんですね。左足も浮いて踏み込んでいるので、相手にまったく圧力が伝わらない状態。
星を落とせないという思いも?
武隈親方:そうですね。角番で早く勝ち越したいという気持ちもあるし、相手が過去1勝8敗で、合い口の悪い隆の勝というのも、よけいに硬さを生んだんじゃないですかね。
これで角番の中での3敗目ということになりますが、この後どんな相撲を期待していますか?
武隈親方:霧島の場所前の稽古を見ていたんですが、実力は今の大相撲の中ではトップクラスの力士なので、自分の力を信じてやっていけば、必ずいい結果が待っていると思うので、これから精いっぱい頑張って、取り組んでもらいたいと思います。
注目取組② 25歳の新関脇・琴ノ若 “前へ出る相撲”に進化
そして親方が今場所注目しているというのが、25歳の新関脇・琴ノ若です。
四つ相撲を得意とする琴ノ若。今場所3人の大関を破っている北勝富士との対戦です。
琴ノ若、きょうは力を出し切れませんでした。
栗原:親方、不思議な立ち合いでしたよね?
武隈親方:そうですね。琴ノ若が心の準備というか、集中しきれなかったのが立ち合いにすべて出たんじゃないかなと思います。本来なら、踏み込んでもろ差し狙いながら、右差しに行くんですけど、きょうは構えている段階で迷いが出たのか、なんとなく立ってしまったという、そういう相撲ですね。
迷いはどんなところから出てきているんですか?
武隈親方:やはり土俵下から土俵に上がって、相手と仕切りを重ねているうちに、たまに「きょう何か違うことしてくるんじゃないかな」とか、相手のことばかり考えて、自分のやるべきことを忘れちゃうことってあるんですよ。
きょうは残念な結果になってしまいましたが、親方は立ち合いの「踏み込み」に注目しているんですよね?
武隈親方:はい。
こちらが6日目の錦木との一番です。この踏み込みいかがですか?
武隈親方:この踏み込みがすごくよかったので、そのあとの右もさせるし、一気に寄り切れて腰をぶつけるように、相手に逆転されないような寄りが出ましたね。立ち合いからこういう流れで相撲をとっていけば、自然と大関というのもこの先見えてくると思います。
いっぽうこちらは春場所の竜電との一番ですね。
武隈親方:差し手がのぞいているんですけど、さっきの錦木戦とは違って、それを抜いて相手の出足を利用して、そして最後肩透かしを決めるというような、自分の本来持っている前に出る力があるんですけど、それを使わずに相手の力を利用して、そういう勝ち方なので、この相撲だとなかなか上には上がっていけないような相撲ですね。
いい踏み込みが続けられるようになると?
武隈親方:そうですね。踏み込みがあれば、相手にも差しやすくなるし、相手の体勢も起きるので、そうなっていくと相手はもっと琴ノ若に対して脅威を感じてくれるので、そういう相撲に期待したいですね。
注目取組③ まな弟子・豪ノ山 入幕2場所目も好調
さらにきょうはもう1人、今場所好調な力士に注目します。武隈親方の弟子で、前頭5枚目の豪ノ山です。琴恵光との一番をご覧ください。
武隈親方はまな弟子の鋭い立ち合いを評価しています。
きょうの取り組みはいかがでしたか?
武隈親方:琴恵光はいろんなことをしてくるので、本当に何をしてくるのか分からないですけど、やはり踏み込んで相手のことをよく見てとっていたので、そこはよかったんじゃないですか?
あしたは初めて大関と当たるということなんですよね?
武隈親方:そうですね。同じ埼玉栄高校の先輩ですけど、まあいろいろテレビで見て憧れている部分とかはあると思いますけど、そういうものは抜いて、土俵上がれば関係ないですから、しっかり勝ちにいってもらいたいですね。
武隈親方の弟子の豪ノ山、元横綱・白鵬の宮城野親方の弟子の伯桜鵬、そして、十両で現在負けなしの大の里は、元横綱・稀勢の里の二所ノ関親方の弟子ですよね。親方が現役時代にしのぎを削った関取たちの弟子がこうして戦うようになったのをどう見てらっしゃるんですか?
武隈親方:同世代の親方がたくさんいるのは、すごく刺激になりますし、ファンの皆さんからも盛り上がってくれているというお声もたくさんいただくので、これからいろんな親方と力を合わせて相撲界を盛り上げていけるように、頑張りたいです。
負けてほしくないという気持ちも?
武隈親方:もちろん負けたくはないです。
ここまで武隈親方でした。ありがとうございました。