NHK津放送局の夕方のニュース番組、「まるっと!みえ」の中で私、菊田一樹がお伝えしてきた大相撲の豆知識について、1つずつご紹介していきます。
今回は「しこ名」です。 (津放送局 菊田一樹)
しこ名とは?
しこ名とは、大相撲で力士がつける名前のことです。三重県出身の力士のしこ名を見てみましょう。
三重ノ海(みえのうみ)
志摩ノ海(しまのうみ)
千代の国(ちよのくに)
朝志雄(あさしゆう)
しこ名の付け方は?
しこ名の付け方には、いくつかのパターンがあります。出身地や出身校に由来するもの、所属する部屋の伝統の文字や、師匠のしこ名の一部をもらう場合もあります。このほか、「正代(しょうだい)」のように本名の名字をそのまま使う場合もあります。
三重県出身の力士の場合
松阪市出身の第57代横綱、三重ノ海は三重県出身ということで、県名をしこ名にしています。志摩ノ海も出身地の志摩市をしこ名にしています。
では伊賀市出身の千代の国はどうでしょうか?千代の国は所属する九重部屋の先代師匠の横綱、千代の富士のしこ名の一部をもらっています。九重部屋の力士は、ほとんど「千代」から始まるしこ名になっています。
志摩市出身の朝志雄は、所属する高砂部屋で伝統的に使われている「朝」の字と、相撲の技を磨いた地元の志友館道場の名前の「志友」の一文字を変えて「志雄」として、しこ名にしています。ちなみに朝志雄は当初は本名の「村田」を名乗っていましたが、十両に番付を上げたときにしこ名を変えました。
ユニークなしこ名も
由来などがユニークな力士のしこ名を集めてみました。
琴ノ若は父親で現在の佐渡ヶ嶽親方のしこ名を継いでいます。祖父は横綱、琴櫻ですから、今後、大関・横綱に番付を上げた場合、さらにしこ名が変わる可能性もありそうです。
照強(てるつよし)は阪神大震災のあった平成7年1月17日に兵庫県の淡路島で生まれたことから、被災した人たちを「強く照らす存在に」という願いがしこ名に込められています。
輝は地元の石川県を走る北陸新幹線の「かがやき」が由来となっています。
そして、一風変わったしこ名なのが阿炎(あび)。師匠の元寺尾の錣山親方の子どものころのあだ名が由来です。錣山親方が赤ちゃんだったころ、外国出身の方が「ア、ベイビー」と言っていたのを、お兄さんたちが聞いていて、「アビ」というあだ名を付けたということです。阿炎は入門前から家族ぐるみで錣山親方と交流があり、このエピソードにちなんで、しこ名を「阿炎」にしたということです。
力士たちのしこ名に注目しながら、大相撲中継を見ると、また違った楽しみ方ができるかもしれません。