宮部みゆき × 高橋英樹
春田屋の主人・長兵衛(水島涼太)は、お里(美保純)という後添いを得て、娘のおみよ(児玉真菜)と暮らしていたが、ある日お里が、悪い夢を見たと言って夜中に悲鳴をあげて目を覚ます。おみよは心配するが、お里は昔の貧乏暮らしを思い出しただけだ、と笑う。そんな時、春田屋の横の路地から屋敷をのぞくお新(遠野凪子)という娘が不吉なつぶやきを残し、気味が悪いが後をつけるおみよ。そこに茂七(高橋英樹)が現れて…。
茂七(高橋英樹)たちは、この半年ばかりの間に頻発している押し込み強盗の警戒をしていた。茂七の義妹のお京(あめくみちこ)の家の二階を借りて、狙われそうな店の出入りを見張っていると、夜中に店の下女のおりん(小川亜美)が一人で出かけていく。おりんは、店の娘のお雪(真木よう子)に、丑三つ時に回向院の小石を拾ってくるように言いつけられていた。おりんが提灯を下げて夜道を歩いていると、後ろを提灯がついて来て…。
夏の夕暮れ、茂七(高橋英樹)が耳かきの竹を割っていると、裸の女の溺死体が上がったと知らせが入る。茂七たちには女の素性はわからなかったが、近所の担ぎ売りのお勢(小島聖)だとわかる。長屋のおたき(宮地雅子)たちの話によれば、お勢は心中だったのではないか、ということで、その相手とされる音次郎(八嶋智人)に話を聞きに行く。音次郎はお勢が死んだことも知らなかったが、茂七は音次郎以外に犯人はいない、と…。
江戸っ子がありがたがる初がつおの季節、かつおをさばこうとしている茂七(高橋英樹)の前に、棒手振りの魚売りの角次郎(梨本謙次郎)がやってくる。角次郎は、「今度かつおを仕入れたら、まる一本千両で売ってくれ」という客が来たのを不審に思い、茂七に相談に来たのだった。茂七が角次郎の妻のせん(岸本加世子)に詳しい話を聞くと、今朝その番頭が手付けの二百五十両を持ってきたと言うので、二人で店を確かめに行き…。
いろは長屋でしず(高橋かおり)が首をくくろうとする。止めに入った長屋のとよ(大島蓉子)が茂七(高橋英樹)を呼びにやり話を聞くと、魚屋の夫が殺されて、自分も後を追いたかった、と言う。しずが勤め先の麦飯屋で聞いたうわさ話は、死んでも浮かばれない漁師や魚屋が、岸崖小僧として生まれ変わる、というもので、ある晩しずが気配を感じて、闇夜の中錦糸堀まで足跡をつけていくと、「置いていけ」という声が聞こえて…。