ウクライナ 防空能力の課題が深刻に

NHK
2024年1月10日 午後3:24 公開

ウクライナで軍事侵攻を続けるロシア軍によるミサイルや無人機を使った大規模な攻撃が続く中、8日も東部や西部への攻撃であわせて50人の死傷者が出ています。こうした中、ロシアのショイグ国防相は、「ロシア軍が前線の全体で戦略的な主導権を維持している」と主張しました。

ウクライナでは、かねてから防空能力が課題となってきましたが、ロシア軍がミサイルや無人機を使った大規模な攻撃を強める中、改めて深刻な問題となっています。望月麻美キャスターの解説です。

(「キャッチ!世界のトップニュース」で2024年1月10日に放送した内容です)
 

・地対空ミサイルシステム「パトリオット」の供与は

8日のロシア軍によるミサイル攻撃で飛来した51発のうち、ウクライナ軍が撃墜したのは18発にとどまりました。撃墜に失敗したのは、短距離弾道ミサイル「イスカンデル」や極超音速ミサイル「キンジャール」です。

「イスカンデル」は低空で飛行して変則的な軌道で落下します。また、「キンジャール」は音速をはるかに超える速さで飛行します。
 

こうしたミサイルは迎撃するのが非常に難しく、ウクライナは地対空ミサイルシステム「パトリオット」でしか迎撃できないと訴えています。しかし、これまでウクライナに供与された「パトリオット」は数基のみ。さらに、首都キーウを重点的に防衛しているとされています。そのため、ウクライナ国内の多くの場所で、防空能力が課題となっているのです。
 

一方、欧米からのさらなる「パトリオット」と迎撃ミサイルの供与の動きは、各国の支援疲れが指摘される中、滞っています。

最大の支援国アメリカは、軍事支援の継続に必要な緊急予算が議会で承認されない事態が続いています。また、NATO(北大西洋条約機構)は3日、ロシアに対する欧州の防空能力を強化するため、パトリオットミサイル最大1,000発を調達すると明らかにしました。ただNATOは、加盟国のミサイルの供給や備蓄を増やすためだとしていて、そこからウクライナに供与されるかは、定かではありません。  

・ロシアは弾道ミサイルの調達を強化か

このような状況の中で警戒が高まっているのが、ロシアが国外からの弾道ミサイルの調達を強化する可能性です。

アメリカは、「ロシアが北朝鮮から弾道ミサイルの供与を受け、ウクライナに対し発射したとみられる」と明らかにしています。さらに、ロシアがイランからも短距離弾道ミサイルを入手しようとしているとの情報があるとしています。
 

そして、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は4日、「ロシア軍は弾道ミサイルによる攻撃がウクライナの防空システムを突破するのに効果的だと考えている」と指摘。「ロシアは国外からの弾道ミサイルの調達を強化する可能性がある」と分析しています。
 

ウクライナのぜい弱な部分を狙い攻撃を強めるロシア。ウクライナは死傷者が増え続ける中、防空能力の向上のため欧米に一刻も早い追加の支援を求めています。
 

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