■急性すい炎とは?

すい臓では、「すい液」という消化液が作られています。このすい液に含まれる消化酵素は、通常十二指腸に出ると初めて活性化し、そこで食べ物を消化します。
ところが、何らかの原因で消化酵素がすい臓の中で活性化して、すい臓自体を溶かしてしまうことがあります。これが「急性すい炎」です。
大量飲酒と胆石が、急性すい炎の2大原因です。
■急性すい炎の治療

飲食するとすい液が分泌されるため、急性すい炎を発症したときには、まず「絶食・絶飲」ですい臓を安静にし、回復を促します。軽症の場合は2〜3日ほど、重症の場合は長ければ1か月以上の絶食・絶飲が必要です。
また、すい炎を起こすと脱水症状になりやすくなるため、1日4〜5ℓの点滴で水分を補いながら、同時に栄養剤も点滴で補給します。痛みを止めるために鎮痛薬も使います。
■痛くなくなるのは悪化のサイン?慢性すい炎

慢性すい炎の発症後、最初の5〜15年間は痛みが続きます。
ところが、それを過ぎると今度は痛みが徐々になくなってきます。これははすい臓の正常な細胞がどんどん死んで、すい臓の機能の低下が始まっているためです。すい臓の機能が低下してすい液の分泌が減ると「消化吸収障害」に、インスリンの分泌が減ると「糖尿病」になります。
慢性すい炎の場合、痛みがある初期は「進行させないこと」「すい臓の機能を回復させること」、すい臓の機能障害が始まってからは「すい臓の機能を守ること」「糖尿病の治療」が、それぞれ治療の目標となります。
■胆石が原因でなることも

「胆石」は、すい臓の近くにある胆のうの中で、胆汁が固まってできます。この胆石が胆菅の出口で詰まってしまうと、すい管の圧力も高まります。するとすい液の中の「消化酵素」が活性化し「急性すい炎」を引き起こすのです。
胆石が原因の急性すい炎の場合でも、基本的な治療は「絶食・絶飲」「水分・栄養の補給」「鎮痛薬」です。それに加え、胆石を取り除く内視鏡治療や、胆のうの摘出手術も行われます。
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