米英がウクライナに「次世代型原子炉」導入を推薦(油井’s VIEW)

NHK
2023年6月26日 午後6:11 公開

ロンドンで21日から開かれていた「ウクライナ復興会議」が閉幕。

会議を主催したイギリスのクレバリー外相は、呼びかけに応じて500社近くが投資を約束したと明らかに。

また、ウクライナのシュミハリ首相は、この冬に向けたエネルギー関連施設や住宅の再建などに必要な、日本円でおよそ9200億円について調達の道筋がついたとしました。

(「国際報道2023」で6月23日に放送した内容です)


戦闘が続く中でも動き始めた復興ですが、ウクライナの原発事業もその1つです。中でもアメリカとイギリスが推しているのが「SMR(Small Modular Reactor)」、次世代型原子炉とも言われる「小型モジュール炉」です。

今回の復興会議の中でも、このSMRの導入が話題となったのです。

その1つは、イギリスとウクライナのエネルギー担当閣僚が、ウクライナの今後のエネルギーについて対談した中でした。

イギリス担当閣僚:旧ソビエトの古い原発に取って代わるのがSMRですね

「はい。最新のSMRが導入されます。我々のエネルギーシステムにとって原発は重要です。SMRは(次世代への)移行の絶好の機会です」


酒井キャスター:このSMRですが、既存の原子炉より小型で、メンテナンスがしやすく建設コストも低いと言われ、次世代型原子炉として欧米の企業を中心に開発が進んでいますよね。

油井キャスター:欧米とウクライナは原発でも脱ロシアを目指していて、最近、このSMRを開発するアメリカとイギリスの企業が、相次いでウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」と契約を結んだのです。

こちらは、イギリス企業が3月に契約したときの写真で、この企業が開発するSMRのウクライナへの導入を検討するとしています。
 

また、こちらはアメリカの企業が4月に契約したときの写真で、ロシア軍の撤退後に、この企業が開発するSMRを最大20基建設し、2029年3月までに送電網への接続を目指すとしています。

イギリスの企業もアメリカの企業も、脱炭素社会を目指してクリーンエネルギーが求められる中でSMRこそ解決策だと強調しているほか、安全性も従来の原子炉に比べてかなり高いとしています。

ただ、ウクライナでは、チョルノービリ原発、ロシア語でチェルノブイリ原発でかつて大きな事故があったほか、今は、ザポリージャ原発が戦時下で、度々外部からの電源を喪失し、その安全性が問われる事態となっています。

ウクライナでは、風力発電など再生可能なエネルギーの導入も進められています。

ロシアによる攻撃で大きく破壊された電力インフラの再建をどう図っていくのか、国際社会による復興支援の中でも議論が活発化しそうです。
 


油井秀樹(「国際報道2023」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


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(この動画は2分48秒あります)