アメリカはウクライナに“射程の長い兵器”を供与するのか?(油井’s VIEW)

NHK
2023年6月27日 午後4:55 公開

ゼレンスキー大統領は、バイテン大統領との会談で、射程の長い兵器の供与について協議したことを明らかにしました。

今回のワグネルの反乱を受けて、注目の一つは、バイデン政権がこれまで消極的だった射程の長い兵器の供与に踏み出すかどうかです。

(「国際報道2023」で6月26日に放送した内容です)


射程の長い兵器、例えば、射程およそ300キロのATACMS(工イタクムス)について、バイデン政権は「戦闘がエスカレートし第三次世界大戦になる恐れがある」として一貫して拒んできました。

しかし、今回のワグネルの反乱とプーチン大統領の対応を受けて、アメリカでは、ATACMSなどを供与すべきと訴えを強めている人がいます。

その1人がこちら。

オバマ政権下でロシア大使を務めアメリカ有数のロシア通とも言われるマクフォール氏は、こう指摘しています。

「バイデン政権はプーチン大統領のエスカレートを防ぐため、特定の兵器をウクライナに供与してこなかったが、その前提が間違っていたことが示された」

「プーチン大統領はワグネルとの対決姿勢を示したものの、内戦という危険な道を選ばなかった。裏切り者と決めつけた人物との取引を選んだのだ」

「教訓は明らかだ。プーチン大統領は戦争に敗北すると受け止めれば、交渉して戦争を終わらせる可能性が高い。敗北の恐れを早く感じれば、早く交渉するだろう」

こう指摘してマクフォール氏はプーチン大統領との交渉に持ち込むためにも早期に攻撃力の強い兵器をウクライナに供与すべきだと強調したのです。


酒井:さらにアメリカ議会でもATACMSなどをウクライナに供与すべきだという声が強まっていますよね。

油井:はい、そうなのです。議会下院の外交委員会は、先週、ATACMSなどをウクライナに供与すべきという決議案を賛成多数で可決しました。


ウクライナには、イギリスがすでに射程の長い「ストームシャドー」と呼ばれる巡航ミサイルを供与していることもバイデン政権に対して射程の長い兵器を供与するよう求める声が高まる要因の1つとなっています。

バイデン政権が今回のプーチン政権の対応をどう評価してウクライナにどう軍事支援していくのか。その議論が今後、本格化していくことになりそうです。


油井秀樹(「国際報道2023」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は2分28秒あります)

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