軍事侵攻から500日 増える一般市民の犠牲者(油井’s VIEW)

NHK
2023年7月11日 午後2:34 公開

ロシアによる、ウクライナへの軍事侵攻から500日が過ぎました。深刻な懸念が、ウクライナの一般市民の犠牲です。

(「国際報道2023」で7月10日に放送した内容です)


国連が発表した軍事侵攻以降の市民の死者数は9177人。負傷者数は1万5993人でした。

ただこれは、あくまでも確認できた市民の死傷者数で、国連は実際の死傷者数はこれを大きく上回るという見方を示しています。

国連が発表した地図によりますと、死傷者数が最も多いのは、激戦が行われたマリウポリなどがあるドネック州ですが、ウクライナ全土で死傷者が出ていることがわかります。

さらに、こちら。

市民の死傷者数の推移ですが、ことしに入って減少傾向にあったものの、国連は「5月と6月に市民の死傷者数が再び増加している」と懸念を示しました。

特に、6月27日には東部クラマトルシクでロシア軍のミサイルによって市民13人が死亡、その数日後には西部リビウで市民10人が死亡したことなどをあげ、国連はこの2週間で市民の死者数が膨れ上がっていると強い危機感を表明しました。

このうち、クラマトルシクでは、13人の死者のうち、少なくとも3人が子どもでした


酒井キャスター:その子どもの犠牲をめぐっては国連は、先月1日、少なくとも525人の子どもが死亡、1047人が負傷したと発表しています。

軍事侵攻以降この500日で、平均すると毎日子どもがこの戦争で命を落としているという、異常な事態なのです。

油井キャスター:国連は、先月発表した報告書で子どもの死者のうち、136人は、ロシア側の攻撃によって死亡したと指摘。

ロシアを紛争下で子どもの権利を著しく侵害した国の1つに指定したのです。

一方、国連は、子どもの死者のうち、80人についてはウクライナ軍に原因があったとも指摘し、ウクライナ側にも子どもの権利を守るよう対応を求めています。

ウクライナでの戦闘は、アメリカ政府が新たにクラスター爆弾の供与を決めたほか、ロシア軍はミサイルや無人機で民間施設への攻撃を続けていて、市民が犠牲になる懸念は一段と高まっています。
 


油井秀樹(「国際報道2023」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。

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(この動画は2分49秒あります)