ローティ“偶然性・アイロニー・連帯” (3)言語は虐殺さえ引き起こす
初回放送日:2024年2月19日
ローティは伝統的哲学によって基礎づけられた「人権」という概念に疑義を呈する。それは暴力を阻止するどころか助長することもありうると警告するのだ。 「理性をもつ存在こそ人間」という近代哲学がロジックは「理性をもたなければそれは人間ではない」というロジックに容易くすり替えられる。ルワンダでは敵対する部族を「ゴキブリ」「蛇」と名指さすことで虐殺のハードルが著しく下げられ非道な殺戮(りく)が横行した。「虐殺の言語ゲーム」として分析されるこうした事例を、ローティは「残酷さの回避」という新たな概念によって抑止しようとする。ローティの処方箋に迫る。