トーマス・マン“魔の山” (2)二つの極のはざまで
初回放送日:2024年5月13日
主人公ハンスに大きな影響を与えるのは、進歩的啓蒙主義者のロドヴィーコ・セテムブリーニとロシア人女性クラウディア・ショーシャ夫人。彼はこの二人の間で右往左往する。 セテムブリーニは、平地に戻るようハンスを諭し続けるが、退廃的な香りを身にまとったショーシャ夫人に強烈に惹きつけられるハンスは、あたかも彼女に誘惑されるかのごとくこの施設に封じ込められていく。やがて自らの中にも結核の徴候を見出されたハンス。「生の力」と「死の力」に引き裂かれ続けた彼は、ついに「死と病の空間」に閉じ込められるのだった。第二回は、「生と死」の問題にどう向き合っていけばよいかを考える。