シーズン終盤戦に入ったプロ野球。中でも注目のセ・リーグ3位争い、上原浩治さんがカギを握ると見ているのが投手陣の柱、DeNA・今永昇太投手と巨人・戸郷翔征投手です。クライマックスシリーズ進出をかけた今の思いをそれぞれ伺いました。(2023年9月3日放送)
連敗続いた8月 "支え"はバウアー投手のアドバイス
上原さん:いま9月ですが、暑い8月は体の状態はどうでした?
今永投手:8月は結果的に1勝もできなかった。自分の思った動きができなかったり、朝起きて“こんなに体が重たいと感じたことがあったかな”という日があった。
奪三振数142でリーグトップ。11試合連続で黒星なしを記録するなど、安定したピッチングを見せてきた今永投手。しかし、8月は連敗を喫するなど勝利を挙げることができませんでした。
今永投手:3試合連続でよくなかった時があって、そのときはメンタルも安定しなかったり、夜寝つけなかったりとかもありました。
悩んでいたとき、頼りにしたチームメートがいました。今シーズン加入した“サイ・ヤング賞投手”のトレバー・バウアー投手です。
上原さん:どんな存在ですか?
今永投手:辞書のような選手で、各選手に悩みがあったらバウアー投手のところにいって。
上原さん:差し支えなければ、アドバイスの内容を。
今永投手:(バウアー投手から)家に帰って動画を見てくると言われて、僕の良かった試合と最近の悪い試合を見直して、股関節の角度だったり、配球面でも速い球が多すぎたねとか、マインドの話も含めてしてもらったので、それが今にも生きていると思います。
上原さん:すごいね。バウアー投手が今永くんのピッチング(動画)を見てくれるの。
今永投手:先日、甲子園で投げて、7回無失点だったんですけど、ホテルで会ったときに自分のことのように『ナイスピッチだったね』と喜んでくれて。“フォア・ザ・チーム”というのが彼の中にあると思います。
そんなバウアー投手をケガで欠いて臨む、シーズン最終盤に向けては。
今永投手:主戦投手が投げあうときには、やっぱり自分も勝ちたい。自分が勝ちたいって、ふだんはもしかしたら出してはいけない欲なのかもしれないけど、心のどこかでは、絶対に自分に勝ちがついて、相手に勝つ。
戸郷投手 "1人で投げて勝ち切りたい"
一方の巨人・戸郷翔征投手。ここまでリーグトップタイとなる3つの完投勝利を挙げています。8月3日、プロ入り後最多となる149球を投げきりました。5年目の今シーズン、より長いイニングを投げる“コツ”をつかんだといいます。
戸郷投手:先制点をあげないとか、失点の数を1つでも減らすところを意識しながらやっています。僕の感覚の中で8割ぐらいの出力で投げたり、ピンチでは上げたり、そういう“上げ下げ”をことしはすごくうまくできていた。2年目3年目まではすべて全力で投げて、その結果が完投になっていましたけど、試合でのペース配分も徐々に分かってきているところはあるのかなと。
DeNAを追いかけるいま、これまでに無かった意識の芽生えも。
戸郷投手:今まではチームの勝ちに貢献出来ればと思っていましたが、これからは1人で投げきって、勝ちをもぎとっていくとか、クライマックスシリーズに向けてチームをいい状態に持っていかないといけない。(DeNAは)ホームランバッターも多いですし、抜け目のない打線が続くので、本当に気の抜けないバッターがたくさんいます。エース級のピッチャーがそろっていて、今永さんであったり、すばらしいピッチャーですけど、なんとか勝ちきりたいとは毎回思っています。
今永投手:ジャイアンツの戸郷投手に投げ負けるというのは、やっぱり1敗以上の重みがあると思いますし、彼も俺(今永投手)からの1勝には1勝以上の価値があるんだと思って投げていると思います。どんな内容であれ、仕事をして自分に勝ちもつけば最高ではあるが、優先順位は後半戦変わってくるので、チームが勝って後から自分が“よかった、このピッチングで”と思える登板を増やしていきたいなと思います。
豊原キャスター:2人の声を聞いていかがですか?
上原さん:2人とも春先WBCに出場していて、疲れは溜まっていると思うのですが、タイトル争いを2人ともしていた中、自分が1軍にあがってからは、ローテションを崩さずに投げ続けているのは、本当にすごいことだと思いますね。
豊原キャスター:最終盤の戦いへ向けての意識が(両投手)少しずつ違いながらも、かなり高いものがあると感じたのですが、上原さんは最終盤に向けての意識はどういう心持ちでしたか?
上原さん:ここから、もう1段ギアをあげるということですね。やっぱり優勝したい気持ちが強いと思うので、そのためにどうしたらいいのか、今のそのままの力じゃなくて、もう1段ギアをあげて頑張ろうという気持ちに僕はなっていましたね。