2023年9月10日放送「どうする“研究力低下” これからの大学は」前半

NHK
2023年9月28日 午後3:46 公開

科学技術立国の実現を目指す日本。今、その研究力の低下が懸念されています。国は大学の研究力の強化に乗り出し、世界トップレベルの研究水準を目指す「国際卓越研究大学」の制度を創設しました。研究活動と学びの場として人材育成を担う大学にいま何が求められるのか、専門家が議論しました。

【出演者】(左から)

▼科学・政策と社会研究室代表理事:

 榎木英介(若手研究者のキャリア問題などについて発信)

▼東京大学教授:

 横山広美(科学技術と社会の関係について研究)

▼BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長/経済財政諮問会議議員:

 中空麻奈(諮問会議でも大学の研究力強化について議論)

▼金沢工業大学大学院教授:

 高橋真木子(文部科学省の大学研究力強化委員会の委員も務める)

このあとの議論は⇒⇒「どうする“研究力低下” これからの大学は」後半

まず日本の大学が置かれている現状について「研究力」「資金」「人材」の3つのデータから見ていきます。

自然科学分野で注目度が高いことを示す、引用回数の多い論文の数のランキングです。日本はこの20年で順位を下げ、過去最低の13位。G7で最下位となりました。

続いて「資金」。大学の研究開発費の伸びを示したグラフです。中国が著しく伸び、韓国も増加傾向にある一方、日本はこの20年ほぼ横ばいです。

さらに研究を担う「人材」について。修士課程を修了した人のうち、博士課程などに進学した人の割合も減少傾向にあります。

(研究力の現状、どう見ている?)

横山:非常によくない状況が長く続いていることに大きな懸念を持っております。長く言われてきたように、若い活躍できる人材を我々がしっかりと支えきれていないという現状があるかと思っています。特に若い研究者の安定的な雇用、その方たちがしっかりと研究を進めていけるだけのサポートがまだまだ足りない。最も重要なのは時間の確保だと思っています。この点についてこれまでの議論であまり出てきていないことを懸念していて、本日は研究者がいかに時間を確保して研究に取り組める環境を担保していくのか。そうした点について述べていきたいというふうに思っております。

(研究力低下について、影響あるいは原因は?)

横山:長く(大学の)運営費の減少が指摘されておりまして、すでに止まってはいるものの、やはり若手研究者が任期付きではない、安定して研究を続けられる環境が担保できていなかったというのが、大きな問題だと認識してございます。大学もこれについてはしっかりとサポートしていこうということで、数年前から若手研究者の雇用安定化を目指した大学独自の取り組みはやってきましたが、全国ではまだまだ足りないと思っています。そうした点を今後サポートしていけることを願っている次第です。

(現状をどう捉えている?)

中空:今、日本の置かれているポイントの1つ、問題の1つというのが競争力の低下だと思っているんですね。大学の研究力がどうかとか、陣容がどうかということにも跳ね返ってくると思っていて、競争力を強化するためにしっかりとサポートしていかなきゃいけないと思います。2025年度までの間に2018年度対比なんですが、大学や国立研究開発法人に対して3倍増のお金をつけようという話になっています。経済財政諮問会議でもこの点については大きな課題、大きな問題点だと思っています。

(大学が直面している課題は?)

中空:研究力低下については様々な問題があると思うんですね。もちろん横山先生がおっしゃったように大学の中でどういうふうにやるか、博士課程の人たちをどう処遇するかというポイントもあるでしょうし、そもそも研究のためにお金がどれぐらい使われてるかという話もあると思います。お金って量があればあるほど、7年間とか10年間とか長い目でお金を投資してくれればくれるほど研究力は上がっていくので、そういった面を考えていかなきゃいけない。それは税金でいいのかという問題をやはりセットで考えていく必要があると思います。

高橋:まず現状認識ですが、これは属する分野によっても少し温度差があるかもしれませんが、圧倒的な危機感を持っています。私自身、研究推進支援の専門家ということで、研究を運営するときにいわゆるヒト・モノ・カネで活動があった上での研究論文、生産性だと思うんですけれども、その研究を効率よく実施する、より質を高める専門家、URA(ユニバーシティー・リサーチ・アドミニストレーター:研究力強化を支える業務を担う人材で研究資源の導入促進・研究活動の企画などを行う)がおります。OECD諸国20数か国のURAが2年に1回集まる国際大会が、5月に南アフリカでありました。そこで感じたのは日本の蚊帳の外感です。例えばその大会の1週間前、ヨーロッパやアメリカが、アフリカ諸国の大学との連携を求めてアピール合戦をしています。そういうところから日本はとても遠い所にいるところに、まず研究のパフォーマンスを示すという意味での大きな危機感を持っています。

(大学が抱えている課題について、要因は?)

高橋:横山先生や中空さんがおっしゃったように研究を活動として捉えたとき、ヒト・モノ・カネがやはり重要だと思います。確かに論文生産性はアウトプットなんですけれども、それをしっかり運営するというダイナミクスのところにヒト・モノ・カネで言うとお金は先ほどの話、モノは施設や設備、それから重要なのはヒトです。この後のディスカッションだと思いますが、研究者以外にも大学の経営執行部ですとか、いわゆる専門家、URAなど、そして重要な基盤を担う大学の事務方、このような人材が一緒にならないと、お金だけあっても研究力の強化というふうにはなかなかならないんじゃないかというのが危機感です。

(大学の現状をどう見ている?)

榎木:極めて深刻だと思っています。特に人材についてお話しますと、研究者の雇い止めといった問題がことしの春大きく話題になりましたが、研究者、あるいは研究支援者、職員の方々を使い捨てるような雇い止めみたいなことが起こっている。それから若手だけではなく、中堅ぐらいの人まで非正規雇用、有期雇用の研究者あるいは研究支援者の方々がたくさんいる中で、やはり人材流出なども起こっております。具体的に言いますと中国へ流出した人たちが話題になりましたけれども、それ以前にもう研究の世界には行かない。私、医学部の教員だったこともあるのですが、医学部人気がすごい加熱していても医者になった方がいいみたいなことを言われてるわけで、人材流出は非常に大きな課題だと思っています。

(背景に何が?)

榎木:やはり安定ポストといいますか、競争が過激になりすぎたという面があるんじゃないかと思います。ポストを得るのも、研究費を得るのも常に競争にさらされていて、それに膨大な事務の時間がかかっている。そういったところで腰を落ち着けてじっくりと未来に役立つような研究をしようというよりは、成果の出る研究をしてしまうという圧力があまりにも強過ぎる。それが研究力低下や人材流出ということにつながっているのではないかと思っています。

政府が研究力強化のために掲げているのが、世界トップレベルの研究水準を目指す国際卓越研究大学の制度。そして、地域の中核大学などが特色ある強みを十分に発揮できるよう支援する総合振興パッケージです。

このうち、去年公募が始まったのが国際卓越研究大学です。選ばれた大学を国が設立した10兆円規模の大学ファンドの運用益で支援する仕組みで、その額は1校あたり年間数十億円から数百億円に上ると見込まれていて、最長25年にわたります。一方、国際卓越研究大学に選ばれると、大学側には研究力などの目標達成に加え、年平均3パーセント程度の事業成長などが求められます。全国およそ800の大学のうちこれまで10校が申請を行い、今月、文部科学省は認定に向けた候補に東北大学が選ばれたと発表。最終的には数校を認定する計画です。

(どう評価する?)

中空:やっぱり研究にはまずはヒト・モノ・カネのカネは必要だということだと思うんですね。どうやってお金を工面していくかということは大事だと思っています。その1つに大学ファンドという取り組みがあり、運用益を出して各国際卓越研究大学をサポートしていきましょうということは、競争力強化のためにも、それから人材を確保するためにも、いろんな意味で正しいと思っているんですね。ただ、やっぱり大学ファンドの資金だけだとやっぱり心もとないので、いろんなレイヤーの資金は持ってこなければいけないとは思うんです。税金オンリーではない、運営交付金とかだけではなく、大学ファンドを作ったわけですから、さらにいろんな資金調達の仕方をしていかなきゃいけない。その取っかかりとしては非常によい仕組みだと思っています。

横山:やはり長い間低迷が続いている中でこれだけ大規模に、さらに長期間にわたって支援するという取り組み自体は非常に歓迎すべき点もあるかと思います。一方、研究力強化のためにやるということで、必要な要素は非常に限られているんですね。ヒト・モノ・カネに加えて時間が非常に重要だと思っています。研究をするのにも、アイデアを得るのにも、海外に出て行くにも、我々時間が必要なわけですね。巨大なお金を運用するというときに、その時間を確保するためにやっていたはずが、さらにお金のために忙殺されるようなことにならないような仕組みが非常に重要と思っています。そういう面で、やはり本来の目的にあっているのかが非常に重要であることと、選ばれない大学との格差が非常に大きな問題になってくるかと思っています。

(格差という指摘について)

中空:関係者の方々が多いのでちょっとアレルギーがあるんですけれども、日本はこれまでの間、わりとまんべんなくお金をばらまいてきた傾向が、特に運営交付金にはあったと思うんですね。国立大学だけでなくて、私立だって助成金を出してきてしまったというのがあって、それは差をつけられなかったということだと思っています。その結果、集中と選択ができなくなったので日本の研究力が落ちたという面は否定できないと思っていて、その意味からしっかりと研究ができる組織や研究員に対してお金が付くということは、研究力あるいは競争力を日本として上げていくために重要なポイントだと思います。その意味では若干の差ができるのはやむをえないんじゃないかと考えます。

横山:2つの点で問題が残るかと思います。1つ目は人の循環です。大事に育てた若手を地方大学にどんどん転出させて、どんどん循環を促していくわけですね。しかし大学によって大きな支援の差があるということは、やはり循環の妨げにならないかという点が非常に心配です。もう1つは集中と選択なんですが、研究というのはどこから芽が出るか分からないものなんですね。広く(種を)まいて、出てきたものを支援するというのが望ましいと思っているんですが、いる場所によって芽が出るか出ないかという選別ができてしまうことに強い懸念は覚えております。

(国際卓越研究大学の仕組みの評価は?)

高橋:まず端的に答えれば、危機感から賛成です。今やらないでどうするというところがまずあって、もちろんロジカルにはこれから起こることに対して懸念事項はあるとは思います。ただ危機感を私は持っているので、そういう意味ではやらなくちゃいけないと。もう1つ、総合振興パッケージのご紹介があったと思いますが、

実は大学の業界人にとって規模は小さいものの、その大学独自の特徴を生かすというものが、国際卓越と地域中核と二本立てであることが、今回の施策の非常にいいポイントかなと思っています。

榎木:基本的にはこうした卓越大学というのは、評価する面もあるんですけど、ただ懸念がいくつかあります。大学ファンドの運営益が出ないとどうなるんだというところが心配であります。非常に不安定な運営益というもので果たして安定的に支援し続けられるのかという問題があるのではないかと思っています。それから選択と集中に関して、確かにある程度の選択と集中は必要なんですけど、どこまで選択するか、集中するかというところで、ちょっと調整が必要なんじゃないか。地域中核などはある種すそ野を広げる意味で重要かと思うんですが、現在の大学の状況を聞いていると、例えば電気代が高騰して電気を切ってますとか、本当に基本的なところで苦しいというお話を聞きますので、そのあたりをどうするのかということも重要だと思います。

(大学ファンドはきちんと運用できるか?)

中空:3か月で利益が出せるかというと、この間赤字を発表していたと思うんですが、難しい局面もあるし、マーケットですから利益が出ない時ももちろんあります。ただ10兆円の元本があれば、長い目で見れば、うまい投資家の人たちがたくさん集まった専門家集団ですので、私は利益は出していけるだろうと思います。ただ、例えば何十億円、何百億円というお金をコンスタントに出し続けることができますかというところまでいくには少々時間かかるんだと思うんですね。まだスタートしたばかりなので潤沢な資金があるかというと、そうではない面は否めないとは思っています。ただ時間をかければ、私は安定的な資金源にはなっていくと思っています。

(「事業成長3%」は大学にとってはどんな影響が出る?)

横山:研究と教育を主軸とする大学の本来のミッションに沿った形であるのかどうかという点で疑問が残ります。やはり大学は研究力、教育が主眼で、どこまで研究者がこれに時間を割いていくのか。私なども大学の委員会等が多数ございます。そうした時にさらにそれが増えていくような形ではとても研究が続けられませんので、そうした点においても柔軟な改革が必要だと思っております。

(資金源を多様化するという方向性は?)

榎木:基本的には多様化すべきだと私も思っています。ただ先ほど言いましたように、例えば電気代が払えなくなってしまった、節約しなさいという大学から要請があるという話も聞いています。それから学部生の教育、実験、実習などをしなければいけないが、そこにお金がかけられないというような厳しい状況も特に地方大学から聞かれております。そういう意味で研究力と教育力というのは、ある種、利益相反といいますか、教育を重視すると研究が成果出ないみたいなところもあったりして、難しいんじゃないかなと思います。基盤的な部分、少なくとも電気代とか、そういうところはしっかりしていかないといけないんじゃないかなと思っています。

(大学自身も資金を調達しなければならないことの影響は?)

高橋:多様な財源を持つことは、ニアリーイコール安定だと思うので、私自身は必要なことだと思っています。また、確かにこれまでの日本の施策に比べて破格の大型資金というのはあると思うんですが、国際的な視野で考えると、世界にごするというところまでこれから持っていくという時に、クリティカルマスの(=結果を得るのに必要な)資金投入というのはやっぱり必要なことだと思っています。ですので、まずはそういう意味で、ここはまずやるんだというところが私のポジショニングです。一方で榎木先生がおっしゃったように、電気代やコピー代とか、あともう1つはジャーナル(学術雑誌)ですよね。非常に高額になっていて、なかなか先行研究が我々の本当に基本的な活動、調査だと思うんですけれども、それすら自由にアクセスできないという、研究の本当に基盤的な環境が今失われつつある。こういうところはしっかりどの大学にもインフラとして提供されるべきと思います。

(短期で成果が出るものに研究がシフトするのではという指摘もあるが?)

中空:そこは本当に難しいところで、短期から長期にかけて、どのレイヤーのお金をどういうところから集めるかで変えていくしかないと思うんですね。短期的に成果を出しましょうというお金が、これは税金になればなるほどそうなっていくと思うんです。税金の間は色がないので、それこそ社会保障や医療に使ったっていいのに、それをわざわざ研究のほうに持ってこようというからには、やはり成果は必要だと思うんです。PDCAサイクル回していかなきゃいけないし、そのための文書とかも作らなきゃいけない。一方、ハワード・ヒューズというアメリカの研究機関は、7年間一切(成果を)問わないということでお金を出して成果を出していることもありますので、ある程度長期のものを出していく。ただ、それをするためには税金オンリーではダメで、大学ファンドも1つのやり方だし、あとは大学自身の努力ですね。大学債の発行もできるようになっているし、アメリカや欧州の大学に多くあって日本にないのは寄付金ですよね。寄付金をどうやって集めるかという工夫も必要になってくる。そういったさまざまなレイヤーのお金をどう持ってくるかということになってくるかなと思います。あとやっぱり競争力を上げるための資金の投下の仕方と、先ほど皆さんがおっしゃっているような基盤をしっかりすることは、若干お金の種類は違うと思っていて、なので競争力を上げるということに関しては、私が申し上げてるような、もうお金をどうやって投下するかってことになると思うし、みんなの基盤を上げていきましょうということについては、違うお金の使い方をしなきゃいけないと思います。

(学問の自由度、研究の自由度は?)

横山:やはり基礎研究は長く時間がかかるもので、評価の仕方は分野によってもずいぶんと異なるかと思います。お金の使い方の評価が短いタームに区切られるとご指摘のような大きな問題が起きてくるかと思っています。実は私の所属する東京大学のカブリ数物連携宇宙研究機構はカブリ財団というところから資金をいただいて運用金で動いていることもあって、多元化ということは非常に重要だと私自身も思っているんですが、やはりそうした時に拙速な評価を求めないで、長い目で見ていくと、お金を出す側も研究者を信頼して見ていくということが重要になってくるかなと思っています。

(多様な資金があることで研究の自由度が高まるという見方も?)

榎木:それも分野による可能性が高いですよね。ベーシックサイエンスというか基礎研究、あるいは人文社会科学研究の一部には、短期的にも長期的にも稼ぐという部分にあんまり寄与しない分野もあります。多様な資金源を集めるところに、どうしても稼げるといいますか、産学連携とかさまざまな産業応用が注視されてしまいますが、そもそも稼げないといいますか文化みたいなところをどうやって支援していくかは、大学自身も稼ぐところから稼げないところへのお金の配分も非常に重要になってくるんじゃないかなと思っています。

中空:おっしゃる通りの部分はあると思うんですね。やっぱり今、競争力競争力というとAI、科学といった方向にいってしまって、じゃあ人文はいいんですかと言われたら、そうではないと思うんです。しかしながら、競争力という観点でいけば、どこでこれからの日本を支えていくかという技術になっていくので、じゃあ人文はどうするんだという話とは若干違ってくるんだろうと思うんですね。加えて、競争力の強化ということだけでいけば、これからどれで稼いでいくかという日本の戦略にも関わってくると思うんです。でも、日本の戦略を遂行するから私たちが持ってきたたくさんのものをなくしていいかというと、それはまた別問題だと思っていて。基礎研究に関しては成果が分からないので、これは税金でやっていい部分だと思うんです。信頼できる研究者の人たちが大事な部分だと言われたら、それはもう本当にお金を出して基礎研究を守っていくスタンスが必要だと思います。その研究に色がないように見えて、実はちょっと色をつけて競争力の観点でお金を投下していくことが重要になっていると思っています。

高橋:今回の国際卓越研究大学については、事業成長率という言葉が若干独り歩きしている観点はあるかと思います。正しくは支出の成長率、もしくは増加率という形でいただいたお金を年3パーセントでしっかり使える範囲を広げていく。そういう意味では、ご懸念の学問の自由とか、多様な基礎研究、それから人文社会系と若干お金が稼げないかと思われている分野にもお金をしっかり投ずること自体が、この設計の根幹だと思っています。もちろんこれからなので、懸念はありうるんですが、そこは事業の中でアドバイザリーボードですとかガバニングボード等を、いわゆるそれをウオッチする側もプレイする側にも、その仕組みが埋め込まれているので、その部分は一応設計の段階ではきちんとされているのではないかと思います。欧米の著名な歴史ある有名大学が、卒業生や地域の市民、多様なステークホルダーを含めていろんな意思決定をする、チェックのボードを持っているところは、多様性ですとか、少し大学が違う方向にいってしまう時にその方向を是正するいいシステムだと思いますので、ガバニングボードやそれの中にこれから埋め込まれていくべきだと思います。

横山:これまで政府はいろんな形で大学を支援して、大学自身の決定をもちろん尊重してくださるんですが、隅々にわたって大学の教員がそれに納得しているかどうかは、またちょっと別の問題だと思っているんですね。やはり組織の意思決定としては上層位の教員だけではなくて、若手に至るまで隅々の研究者が納得する形での進め方というのが非常に重要になってくるかと思います。そういう意味では改革の勢いが早ければ早いほどそうした時間も限られるということで、地域の方、社会の方を含めて、大学の中での議論の調整がより重要になってくるのかなと感じています。

このあとの議論は⇒⇒「どうする“研究力低下” これからの大学は」後半