発明は困りごとから

NHK
2023年7月31日 午後2:04 公開

みなさんの疑問やお困り事に答える追跡!バリサーチ。

ペンネーム、クセ裏(くせうら)さんからこんな投稿をいただきました。

日常生活の中でちょっと不便に感じたことを簡単なアイデアで解決に近づける裏技を発見しています

  日常生活の中で、ちょっと不便に感じたことを簡単なアイデアで解決に近づける裏技を発
見しています。ぜひ紹介させていただけないでしょうか。  

最近、SNSなどでも生活に役立つちょっとしたアイデア動画がはやっていますし、裏技ってちょっと気になりますよね?

果たしてどんな裏技なのか、福地礼奈がバリバリ!リサーチしてきました。

投稿者と待ち合わせた公民館に向かうと…。

福地「クセ裏さんですか…」。

クセ裏さん「今ちょっとゴミを捨てようかなとまとめているところなんですけど…」。

人や物の癖から裏技をあみ出すという、その名もクセ裏さん58歳です。

例えば、詰め込んだゴミ袋、結ぶの大変ですよね!

クセ裏さん「結ぶのに非常に苦労している方がよくおられるので」。

福地「私もです。パンパンに入れるタイプなので」。

そんな時には…。

クセ裏さん「人さし指でこう重ねてもらって、簡単に(回すのは)2回でいいです」。

持ち手の部分に人差し指を入れて、袋を回して輪を作り…。

袋を回して持ち手の部分に輪を作り…。

その穴を通して、ヒラヒラの部分を結ぶだけ。

クセ裏さん「こういう状態ですね」。

福地「これでギュッとなりましたね」。

どうですか?

買ったものをレジ袋に詰めるとき、入れにくいと感じる場合には…。

クセ裏さん「持ち手の部分を残りの指四本で巻き込むような形で返します」。

クセ裏さん「ちょっと押してもらったらこの状態で立ちますのでいろんなものが入れやすい」。

クセ裏さん「ピンポ~ン」。

通販で買い物。荷物のこのひも、切るの大変じゃないですか?

クセ裏さん「そしたらこのピンとはねているところがある、これをピッと引っ張ってもらいます」。

福地「え!?」。

クセ裏さん「簡単に開くんです」。

実は、つなぎ目は簡単に剥がれるんです。

福地「簡単!これいいですね!」。

クセ裏さんが10年ほどかけてあみ出した裏技は100近く。

アイデアの源は、ちょっとしたことで困ってしまうお年寄りの役に立ちたい、という思いだと言います。

クセ裏さん「うちの母も含めてですけど当たり前に僕たち若い世代でもできることがもう80歳過ぎた方とかなかなかできないんだってことに気づいて、(解決すれば)ストレスもなくなってもっと長生きできるんじゃないかと思って」。

そうしたなかから商品化につなげたいと考えているアイデアがあります。

この日、公民館にいた80代の女性たちに試してもらうことにしました。

指がかからなくて、なかなかクリップを拾えない様子を見て考えた裏技です。

クセ裏さん「ちょっと先っぽだけピンと」。

クリップの先をほんの少し曲げておくだけで…。

クセ裏さん「簡単にとれましたね」。

福地「確かに」。

奥の女性「曲がっているのが売っていたら便利がいいのにね」。

手前の女性「年寄りは特に面倒くさいの、嫌やもんね」。

福地「やってみたいと思いましたか」。

手前の女性「帰って試してみますよ」。

クセ裏さん「ちょっと困っていることちょっとでいいんですけどそれを改善するために自分なりに何で困っているかをまず研究する。それを生かせば絶対にすばらしいアイデアができると思う」。

『困っていることを改善したい』

その思いが実際にヒット商品を生んだケース、本当にあるんです!

取材班が向かったのは、糸島市。

取材班「こんにちは」。

NPO法人発明商品化協会代表・三𠮷秀征さん(64)。アイディアを商品化したい人のサポートをする団体の代表です。

三𠮷さん「ここでいろいろ作り物してるんです」。

三𠮷さんが発明したのは、このルアーを簡単に作ることができるキットです。

自分で作ったルアーの原型から型をとって、専用の液体を流し込めば…。

三𠮷さん「こういう感じで」。

取材班「もうあっという間に」。

あとは色をつけるだけ。

これまでに約20万セットを売り上げています。

このアイデアは、三𠮷さん自身のお困りから生まれたそうです。

三𠮷さん「普通、木で作ると細かいところまでやっても、1個なくしてしまえば終わりじゃないですか。これで型を取っておけば同じルアーがいくつも作れる」。

いま、三吉さんのもとには、商品化したいというアイデアが100以上寄せられています。

三𠮷さん「コロナ禍で自宅にいることが多くて、あまり外に出られなかったじゃないですか。あれでいろいろなことを考えているのを形にしたいという人が増えたような感じはしますよね」。

例えばこちらの『会食マスク』。食べるときに、口の部分を開けることが出来ます。

コロナ禍でも友だちと楽しく食事がしたいという80代の女性のアイデアです。

こちらは、座ったままツボを刺激できる座いす。

腰痛に悩む女性が考えました。

ポイントは、指の形をした樹脂製の突起です。

取材班「指で押されてる」。

三𠮷さん「やってみるとよく分かる。見た目よりも指の感触でしょ」。

狙いは在宅ワークが増える中、腰痛に困る人たちです。

三𠮷さん「みんなこれを使って「便利になった」とか「楽になった」とか「これ使ったら楽しい」とかそう言ってもらうのがいちばんうれしいですよね。お金はそのあとでご褒美でついてくる話で先にそこ狙っちゃうとなかなかですよね」。

【取材を終えて】

クセ裏さんに会うまでは正直裏技をちょっと疑っていたんですが…、困っている人の役に立ちたいという思いが感じられて、優しくていいなぁとじわじわと感じる取材になりました。そのアイデアが誰かの役に立って、さらにビジネスに繋がる可能性があるというのは夢もある話ですよね。三吉さんによると、かつては作りすぎた在庫を何万個も抱えて『売れない、どうしよう』みたいな話もよくあったそうですが、今はネットで少しずつ売り出して、口コミなどを通して改良しながら売り上げが伸びていくケースがあったり、これが売れるの?!と作り手が驚くこともあるそうで、アイデアを商品にしやすくなっているとのことです。発明を夏休みの自由研究にしてみるのもいいかも知れませんね!

以上、追跡!バリサーチでした。

☟疑問やお困りなど、投稿はこちらから☟