人生彩る かしわうどん ~佐賀 鳥栖市~

NHK
2023年12月6日 午後9:22 公開

一口食べると、懐かしいあの日の思い出がよみがえるー。

皆さんには、そんな青春の味ってありますか?

食イチ!では、3回にわたって学生の頃に食べた思い出の味を紹介する「青春メシ」シリーズを放送します。第1回の今日は、佐賀県・鳥栖駅名物の「かしわうどん」です。

鳥栖駅は明治22年の開業以来、九州各地からの電車が行き交う“交通の要衝”として知られています。そして、もう一つ、「鳥栖駅と言えば…?」という問いかけに、利用者の皆さんが口をそろえるのが「かしわうどん」です。

およそ70年前に九州初の駅の立ち食いうどんとして誕生。以来、多くの旅人たちに愛されてきました。列車での旅の途中の男性は「かしわうどんを食べるためにわざわざ鳥栖で降りた」と話していました。かしわうどんを目当てに、鳥栖駅にやってくる人も多いのです。

そして、このかしわうどん、旅人だけでなく、鳥栖駅を利用する学生たちにとっても、欠かせない味となっています。放課後、お腹をすかせた学生たちが、日々、立ち寄っていきます。

期末テスト中だという高校生は「先週も今日も、テストが終わった帰りに食べに来ました。部活で疲れて帰っていたときに、ここにうどん屋さんがあるって知って。おいしかったのでちょくちょく通うようになりました」とその魅力を語ります。

学生時代に腹ぺこのお腹を満たしてくれた、あったかい青春の味。卒業しても忘れられず、ずっと通い続けているという人もたくさんいます。50代の男性は学生時代に食べて以降、その味のとりこになり、40年近く通っているとか。

現在はホームのほかにも、駅構内に4つもお店があり、多い日は1000食も売り上げるほどの人気を誇っています。

学生たちをもとりこにしてきた鳥栖駅の「立ち食いうどん」の魅力は、なんと言っても「かしわ」の美味しさ!醤油と砂糖をベースにした味つけは至ってシンプルですが、スープの出汁をあえて薄めにすることで、甘辛く炊いたかしわの味がいっそう際立ち、何ともクセになる味わいに仕上がっているのです。

「鳥栖」という地名。その由来は「鳥のすみか」という意味なんです。かつては養鶏がさかんで、かしわは昔から身近な存在だったといいます。

そんな鳥栖で生まれた「かしわうどん」。長年の時を経て、鳥栖の人々のソウルフードとなっていったのです。

このうどん店で30年働く有田カツエさん(76)には、決して忘れることのできないエピソードがあります。「私の友達がガンを患っていたのですが、『ここで食べたかしわうどんが懐かしくて、死ぬ前に食べたい』って言われたんです。それで、私が持っていったら『よかった』って・・・」

ずっと慣れ親しんできた思い出の味を、最期にもう一度味わいたいー。

鳥栖の人たちにとって、「かしわうどん」は青春時代から共に歩んできた人生の味、なのかも知れません。

このように“かしわ愛”あふれる鳥栖の人たちですが、うどんだけでなく、珍しい商品もあります。なんと!「かしわめし」のクリスマスケーキです!考案したのは、社長の児玉隆二さん。長年、地元で愛されてきた伝統のかしわ、その歴史を絶やすことなく、50年後、100年後も受け継いでもらいたいという思いから、若い人たちにも注目してもらえる工夫をしているんです。

皆さんもぜひ一度、鳥の町・鳥栖を訪れて、「かしわ」を味わってみてはいかがでしょうか。

中田理奈の一言

こんにちは!中田理奈です。

今回の食イチは、佐賀県鳥栖市の「かしわうどん」でした^^

ずっと食べてみたいと思っていた鳥栖駅のかしわうどん・・・

食べると心も体もぽかぽかしてしまいました。

まずは駅構内にあるお店に向かったのですが、その場所に驚きました(笑)

お店は本当に改札の真横にあって、改札の右側は車掌室、左側はうどん屋さんという、とても不思議な光景でした。

この店で長年働いているという有田カツエさんにお話を聞くと、昔から学生さんたちが多く通い、卒業後も何十年も通っている人もいるのだそうです。

はじめは驚いたのですが、お店で取材をしている間になんとなくその理由がわかりました。

もちろんそれぞれ青春の味だったり、懐かしい故郷の味だったり、いろんなうどんの思い出があるとおもうのですが、それに加えて、私は従業員の皆さんとの会話そのものにもその理由があるような気がしました。

お話する内容はただの世間話ばかりなのですが、温かいうどんを食べながらお話していると、とっても心がほかほかするのです。

また、来よう、と思うのです。

帰省の度に通ってしまうという地元の方々の気持ちがとてもよくわかりました(笑)

社長の児玉さんにもお話を伺いました。

とってもおもしろい方で、終始冗談を言って笑わせてくれたのですが、熱い気持ちをお持ちの方でした。

児玉さんが考案したという「かしわめし」のクリスマスケーキ。

最初は全く想像がつかなかったのですが、見せていただくと、とても色鮮やかな「すしケーキ」のようになっていました。

私もいただいたのですが、かしわは“あの”かしわの味で、見た目がきれいなのはもちろん、味もおいしかったです。

甘いものが苦手な方でも、クリスマスケーキをこんな風に楽しめたらいいなあと思いました。

ぜひ皆様も一度、鳥栖駅の「かしわうどん」を味わいに行ってみてはいかがでしょうか?

心も体も温かくなるような体験ができるかもしれませんよ^^

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