トルコ大統領選 現職エルドアン氏が当選

NHK
2023年5月29日 午後3:13 公開

トルコの大統領選挙は28日、決選投票が行われ、選挙管理委員会は現職のエルドアン氏が当選したと発表。これまで20年にわたって長期政権を担ってきたエルドアン氏は首都アンカラで勝利を宣言しました。

ウクライナ情勢での仲介外交などが引き続き注目されることになります。望月キャスターの解説です。

(「キャッチ!世界のトップニュース」で5月29日に放送した内容です)
 

・20年にわたる長期政権での実績が評価

長期政権を担ってきたエルドアン大統領は、さらに今後5年間、トルコを率いることになりました。エルドアン大統領の最大の勝因には、これまでの実績への評価があるとみられています。

エルドアン大統領は都市開発やインフラ整備などを推し進め、トルコは記録的な経済発展を遂げました。

ことし2月に南部で発生した大地震の対応をめぐっては批判や逆風にさらされましたが、カタール・アルジャジーラは、地震の被害が最も大きかった南部カフラマンマラシュで、エルドアン大統領が大差で勝利したと伝えています。南部は保守層が多く、もともとエルドアン大統領の票田で、復興を担えるのはエルドアン氏だという声が根強かったものとみられます。
 

また、エルドアン大統領は外交面でも、ウクライナ情勢で仲介外交を担うなど存在感を高めてきました。ロシアのプーチン大統領と直接、対話できる指導者として、強いリーダーシップへの期待を集めたものとみられます。
 

一方、アメリカのワシントン・ポストは、エルドアン大統領が逆風にさらされる中、現職大統領として国家の資源を徹底的に使い、選挙戦を有利に運んだと指摘しています。エルドアン大統領が選挙戦で、最低賃金の底上げやガスの一部無料化など大衆受けする政策をやつぎばやに打ちだしたことや、国営メディアの選挙報道がほぼエルドアン氏で占められ、クルチダルオール氏はわずかだったことを挙げています。
 

・独自のバランス外交を展開 国際情勢への影響は

トルコの大統領選挙への行方には、国際社会も注目してきました。エルドアン大統領の続投は国際情勢にどのような影響を与えるのでしょうか。

イギリスBBCは、首都アンカラに拠点を置くシンクタンク「TEPAV」の専門家の話として、エルドアン大統領は欧米から距離をとった政策を継続するだろうと伝えています。
 

トルコはNATO(北大西洋条約機構)の加盟国ですが、エルドアン大統領はロシアのプーチン大統領と密接な関係を築き、エネルギー分野での連携を深めています。また、中国とロシアが主導する上海協力機構への加盟を示唆するなど、独自のバランス外交を推し進めています。さらにNATOへの加盟を申請しているスウェーデンについて、トルコからの分離独立を掲げるクルド人武装組織への支援をやめなければ認めないとして、承認していません。
 

ウクライナ情勢に大きな影響を及ぼすエルドアン大統領の動向に、今後も国際社会の目が注がれそうです。
 

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