最新の世界経済の動きをお伝えする「マンデービズ」。
毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです。
(「国際報道2023」で9月11日に放送した内容です)
【東南アジア】進む後払いデジタル決済サービス
欧米では今「バイ・ナウ・ペイ・レイター」と呼ばれるデジタル技術を使った後払い決済サービスが注目されていますが、実は東南アジアでも利用の動きが広がっているのです。
去年のGDPが前年比8%と高い経済成長を続けるベトナム。
その最大都市ホーチミンでレストランを営む、フイン・チー・カンさん(27)です。
日系の飲食店勤務を経て去年6月にレストランを開業したものの、銀行が求める長期間の安定した収入を証明することが難しく、資金繰りに苦慮していました。
そうした中で利用を始めたのが、デジタル技術を使った後払いの決済サービスです。材料代や電気代の支払いに利用しています。
「とても迅速で便利です。数分待つだけで、クレジットカードのように使えます」
サービスを提供しているベトナム最大手のデジタル決済事業会社、現在3600万人の登録者を抱えるこの会社が今、特に力を入れているのが後払いの決済サービスです。
これまで銀行からの信用が得られず、金融サービスを受けられなかった人たちに対して、新たな後払い決済サービスでは利用者のスマートフォンの公共料金の支払い履歴などから AIが信用力を審査し、申し込みから数分で、支払いを代行します。一定期間は利子も発生しません。
東南アジアでは長い間、与信に問題を抱える人々を金融サービスにアクセスさせる、いわゆる“金融包摂”が課題とされてきました。
「ベトナムの金融包摂を促進し、より多くの人々が簡単かつ平等に低コストで金融サービスにアクセスできるようにテクノロジーを活用したいと考えている」
こうした後払い決済サービスを巡っては、アメリカのIT大手、アップルも参入するなど市場の拡大が続いていますが、多重債務のおそれからイギリスやオーストラリアでは規制の動きも出ています。
【アメリカ】デトロイトで伝統のモーターショー
自動車産業で知られるミシガン州デトロイトで、 9月13日から伝統のモーターショーが開かれます。
アメリカでは一定の条件を満たしたEV=電気自動車の購入者が、最大でおよそ110万円の税額控除を受けられます。
JETRO=日本貿易振興機構ニューヨーク事務所によれば、新車販売台数に占めるEVの比率は、去年は5.8%、ことしの4月から6月の3か月間では7.3%と、税制優遇の後押しもあって上昇傾向が続いています。
こうした中、今週のモーターショーでは大手自動車メーカーが最新のEVを展示する見通しでアメリカのEVシフトに改めて注目が集まりそうです。
【中国】EV市場でシェア争い 値下げ競争激化
中国国内で、各社の値下げ競争が激しくなっています。
テスラは今月(9月)、高級セダンなどの一部のモデルを1割から2割値下げ、そのほかも値下げしています。急拡大する中国のEV市場でなんとかシェアを拡大しようというのです。
ただ、中国では、不動産市場の低迷の長期化などで需要の回復が鈍り、デフレヘの懸念もくすぶっています。
こうした値下げ競争が、需要の喚起につながるのか、それともデフレの傾向を強めるのか、注目されます。
【フランス】ラグビーW杯開幕 グッズ売り上げに期待
こちら、パリの中心部にオープンした、ラグビーワールドカップのオフィシャルグッズ販売店です。
床面積1000㎡と、これまでのワールドカップ史上最大なんだとか。ズラリと並んだグッズの中、注目はジャージにTシャツ。出場する20チーム、すべてのものがそろっています。
フランスが決勝まで進めばこの期間のグッズも売れに売れるはず!
事務局は前回の東京大会を、3割から4割上回る売上げを見込んでいるとのことです。
栗原 望(「国際報道2023」キャスター)
これまでニュースウオッチ9やクローズアップ現代、ニュース7などでリポーター、キャスターを担当。2022年は、音声プラットフォーム企業で1年間研修。テクノロジーの未来、災害、人権などに関心を持つ。
(この動画は10分20秒あります)