最新の世界経済の動きをお伝えする「マンデービズ」。
毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです。
(「国際報道2023」で9月25日に放送した内容です)
【東京ゲームショウ】政府肝いりの韓国企業の戦略は
きのう(24日)まで行われた「東京ゲームショウ」。世界の企業が集まるなか、今回、国をあげて過去最大級の規模で参加したのが韓国です。
ゲーム市場の売り上げで去年、日本に次ぐ世界第4位だった韓国。日本のゲーム市場にどう挑もうとしているのでしようか。
世界44の国と地域から、過去最多787の企業や団体が出展したことしの東京ゲームショウ。
栗原キャスター:大勢のゲームファンが集まった東京ゲームショウ。その一角にはこちら、韓国のブースです。韓国から25社が集まってゲームをアピールしています。
設置したのは「韓国コンテンツ振興院」。音楽やゲームなどの分野で企業の海外進出やコンテンツ制作を支援する政府の組織です。
栗原キャスター:こちらのゲームは魔女の育成RPGということで非常に人気だそうで、アニメーションのタッチを見てみると、日本のアニメを思わせるようなそんなタッチなんですね。
韓国政府の支援を受けたこの会社、ロールプレイングゲームを制作しています。キャラクターの声にも日本人の声優を起用するなど、ゲーム文化が根付いた、日本市場を重要視しているのだといいます。
「(日本のユーザーは)鋭いところをキャッチしてくれるし、ちゃんと細かいところまで見てくれる。日本のユーザーに認めてもらうと、グローバルでも人気があるタイトル(ゲーム)だと認めてもらえる」
こちらの企業、ことし7月に発表したゲームが世界で400万回以上ダウンロードされていますが、一方で日本で成功するには課題があると言います。
「私たちのゲームは日本のユーザーから見ると見慣れなかったり合わないことが多いと思います。日本の感性などを完全に理解できないことが最も大きな壁だし難しいところです」
韓国政府は来年度、ゲーム企業の開発支援などにおよそ75億円を投じるとしています。「韓国コンテンツ振興院」のグ・スミン(具・秀旻)課長は今後も企業への支援を強化していくと話します。
「日本のユーザーが韓国のゲームに興味をもってくれていることが確認できた。これから韓国ゲームがKーPOPに負けないくらい世界中で愛されることを期待している」
ゲーム産業に詳しいゲームアナリストの平林久和さんは、
「韓国のゲームは開発者が日本の漫画やアニメを幼いときから見ているので、日本でも受け入れられるコンテンツが増えてきた」と話していました。
韓国のゲーム会社に話を聞くと、そもそも世界戦略が前提です。K-POPに次ぐ産業として広がっていくのか注目です。
【タイ】需要回復へ 中国人旅行者ビザ免除
観光需要の回復に向けた動き。中国では、29日から、建国記念日にあたる「国慶節」の大型連休。タイでは、きょう(25日)から中国人旅行者の観光ビザが一時的に免除されます。
バンコクの空港に到着した中国からの旅行者たち。
「ワクワクしています。3年たちようやく海外に行けるようになりました」
セター首相も姿を見せ、旅行客と、笑顔で記念撮影。新政権の景気刺激策の1つでもある取り組みへの期待の大きさが伝わります。
【中国】外国旅行需要 急拡大
外国旅行の需要、急拡大しています。
コロナ禍で止まっていた国際便の再開に加え、8月に日本を含む78の国と地域を対象にした団体旅行などが解禁に。中国の大手旅行会社によれば、国慶節期間中の外国旅行の予約件数は、去年と比べ20倍以上になっているということです。
ただ、日本については、東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水放出の影響が懸念されていて、中国人旅行者の数がどこまで回復するか、注目されます。
【EU】EVシフト加速
EVシフトが一段と加速しています。20日の欧州自動車工業会の発表によれば、先月( 8月)のEUのEV =電気自動車の16万5千台。新車販売全体に占めるシェアが初めて20%を超えました。
最大の販売市場のドイツでは170%を超える驚異的な伸び。フランスでも60%。EUを出たイギリスでも72%と大きく伸びています。
小型車からセダンまで各メーカーのラインナップが増えたことが大きいと見られます。
【ウルグアイ】消費電力 ほぼ100%再生可能エネルギー
南米のウルグアイ。20年ほど前までは、電力の大半を火力発電や輸入に頼っていましたが、現在では、消費電力のほぼ100%を再生可能エネルギーで賄う“再エネ先進国”なんです。その取り組みを取材しました。
ウルグアイの首都モンテビデオ近郊にある牛肉の加工工場です。3年前におよそ430万ドルを投じて、自前の風力発電を設置しました。
牛肉の産地として知られるウルグアイ。牛肉の加工や冷凍には大量の電力が必要ですが、この工場ではそのおよそ3割を風力発電でまかなっています。
活用したのは、再生可能エネルギーの導入を促進させる政府の支援策。建設コストは6年で回収できるといいます。
「国からは所得税の一部を免除する支援を受けることができました。クリーンな国、クリーンな世界の実現に貢献したい」
さらに政府はこうした企業や個人に対し、自前で発電した電力を20年間、一定の価格で買い取る支援も行っています。
これにより、 国内に設置された風力発電機は700基以上にのぼり、風力と太陽光による発電量は全体のおよそ36%を占めるようになりました。
「こちらのコントロールルームでは、さまざまなエネルギーを組み合わせ、電力の安定供給を行っている」
従来からある水力発電も加え、再生可能エネルギーでほぼ100 %の電力自給を実現しました。街中にはEVの充電スタンドを整備。
将来的に、再生可能エネルギーでつくる「グリーン水素」の生産にも乗り出す計画です。
「グリーン水素は単なるエネルギーの範ちゅうを超え、“脱炭素化の推進” “投資貿易の円滑化”などに向け世界を導いてくれるものだ」
栗原 望(「国際報道2023」キャスター)
これまでニュースウオッチ9やクローズアップ現代、ニュース7などでリポーター、キャスターを担当。2022年は、音声プラットフォーム企業で1年間研修。テクノロジーの未来、災害、人権などに関心を持つ。
(この動画は8分59秒あります)