
何気ない言動で傷つく「マイクロアグレッション」
ガリベンズ矢野さん
「きょうのテーマは“マイクロアグレッション”勉強不足で、あまり知らない言葉です」
永井アナウンサー
「そうですか。でも、これ実は私たちにとって向き合わなきゃいけない大事なテーマなんです」
今SNSで話題となっている一冊のマンガ。
アフリカ生まれ、日本育ちの作者が感じた日々のモヤモヤが描かれています。
「子どもの頃、死ぬほど緊張した時間といえば運動会の短距離走」
「黒人は足が速い、勝って当たり前という暗黙の期待」
「黒人に対する、強大化した身体能力神話だ」
「声を大にして言いたい。黒人全員が超人的に運動神経いいわけではないんです!」
これが偏見や固定観念から自覚なく相手を傷つけてしまう「マイクロアグレッション」と呼ばれるもの。
心を痛めた人たちがSNS上で声を上げはじめ、今関心が高まっていると、大東文化大学特任教授の渡辺雅之さんは指摘します。
「やはりSNSの進歩と言うか、広がりと言うのがこういった問題を人々に認識させるきっかけになったと思います。うつ症状になりやすかったり自分の社会的な自己肯定感が下がったりだとか、ということもいくつかの研究で明らかにされています」
父がアメリカ人母が日本人の女性は、生まれ育った香川で長年マイクロアグレッションに苦しんできました。
ジョーンズ菜希亜さん
「“人と違う”というのが、常に思い知らされる感覚。周りの友達と一緒にいても自分だけ目立ったり、自分だけ見られたりするんで他の人との差がつらかったですね私は」
多様性が重んじられる今、四国の意識は全国最低レベルというデータも。
きょうは、そんな四国の価値観をアップデートしてみませんか?
永井アナウンサー
「さあ始まりました。ゲストは香川県のお笑い芸人、ガリベンズ矢野さんです。きょうはマイクロアグレッションがテーマなんですけれども、この言葉をあまり存じ上げない、かつ今の一例をご覧になっていかがでした?」
ガリベンズ矢野さん
「そうですね。僕も知らないうちにそういうことをしてしまってるんじゃないのかなってのをちょっと思いながら、この短い時間ですけどみんなと一緒に勉強していきたいなと思います」
永井アナウンサー
「そしてきょうは、このマイクロアグレッションを受けた経験があるというお2人に来ていただきました。ジョーンズ菜希亜さん、そして福井瑞穂さんです。
菜希亜さんはお父さんがアメリカ人、そしてお母さんが日本人。そして福井さんはトランスジェンダーで5年前に戸籍を男性に変えているということですけれども、ぜひいろんな経験をされていると思いますので、私たちにしっかり伝えてください。さあそして後ろには松山の大学生が20人集まりました。みなさんよろしくお願いいたします」
永井アナウンサー
「きょうこの番組に触れる前に、このマイクロアグレッションという言葉、知っていたという方どれくらいいますか?お、あれ、首を振ってる?例えば真ん中の武智さんは知らなかった?」
学生 武智さん
「知らなかったです」
永井アナウンサー
「知らなかったですね。みなさんが知らなかったということで、そして矢野さんもよく分からない。そうなりますとこのマイクロアグレッション一体どんなものなのか、この番組のディレクター、エイブルみちるディレクターに説明していただきます。エイブルさん」
エイブルみちるディレクター
「マイクロアグレッションとは、小さな攻撃性。つまり日々の言葉や行動で相手を傷つける行為として今注目され始めています。マイクロアグレッションをしてしまう側が社会的マイノリティの人に対して無意識なうちに抱いている偏見や固定観念がベースにあると言われています。そのため発言した本人も傷つける意図がないことがほとんどで、この問題に気付かないことが多いそうです。それ故に受ける側も自分が傷ついていることを指摘できない。それがこの問題の難しさなんです」
永井アナウンサー
「ということでマイクロアグレッションの説明でしたけども、矢野さん、実はちょっと気になるデータがありまして。四国は今多様性が重んじられる今ですけれどもその多様性について意識が低いというデータがあるんです」
永井アナウンサー
「こちら、多様性への認知や理解、どの程度その意味や定義を知っているのかということなんですけれども、全国平均が39.4%。そして関東一番高いんですけども48.2%、四国が31.5%ということで、見てください。全国最低レベルというかたちになっているんです」
ガリベンズ矢野さん
「そうなんですね」
永井アナウンサー
「ですので今日はこの放送を通じて、せっかくこうやって若い世代の人たちがいますから、どうやってみなさんが、より良く暮らしていけるのかっていうことについて考えていきたいと。菜希亜さんは、香川で生まれ育って、東京にいらっしゃるわけじゃないですか。正直香川にいるときってどうだったんですか?」
ジョーンズ菜希亜さん
「結構、息苦しいというか、あんまり自分が好きな服装とか髪型とかができなかったなって思いますね」
永井アナウンサー
「その気持ちをVTRにまとめてみましたので、みなさんご覧ください」

ジョーンズ菜希亜さんのマイクロアグレッション体験談
東京では、自分の髪質を生かしたヘアスタイルで過ごしている、菜希亜さん。
ジョーンズ菜希亜さん
「自分の生まれ持ったものを出そうかなって」
髪をセットして、渋谷に遊びに出かけることが今の暮らしの楽しみです。
ところが香川にいたときはこの髪を好きになれず、目立たないように押さえつけていました。
ジョーンズ菜希亜さん
「始まりが小学校の入学式で男の子に“うんこ色”って言われて泣きながら帰ってきたことから始まり、髪の毛もふだん結んでいたんですけど、そのときたまたまゴムがちぎれちゃって髪下ろしてたんですよ。そしたら先生が私に笑い始めて」
こうした差別的な行為だけでなく、菜希亜さんを苦しめていたのは毎日のように続くマイクロアグレッションでした。
ジョーンズ菜希亜さん
「体育の授業だったんですけど半袖着るじゃないですか。そしたら、腕が出て、その子、結構(肌が)浅黒い子だったんですね、なのでもうちょっとで(私の肌の色に)近づくみたいな感じで言われて。外に出たらまた見られたりとか、またこそこそ“外人”とか言われるのかなとか思って。悪気はないけど、言っちゃって、私がそれで傷ついてるのも知らないみたいな」
悪意のない発言だからこそ、指摘もできず自分が傷ついていることを悟られないようにしていました。
当時の心境を物語るのもが今も残っています。
ジョーンズ菜希亜さん
「肌を白くする方法っていうので、これが全部私が検索したやつなんですけど」
母の携帯電話で、こっそり菜希亜さんが検索していた履歴です。
“黒人ハーフ”、”肌色を薄くする方法”。
何度も検索を繰り返し、苦しみから抜け出す方法を探していました。
ジョーンズ菜希亜さん
「母に、白くなりたいとか言いながらすごい泣いて相談した時があって。見られてたら、いろいろ疑問視するんですよ。髪が気になるのかなとか、肌の色が気になるのかなとか、なんかおかしいかなとか。自分がおかしいのかなっていうふうに思っちゃって」
永井アナウンサー
「矢野さん、菜希亜さんの辛さいかがです?」
ガリベンズ矢野さん
「僕も香川いたときとかは、そんなにパッと見たときに外国人の方だっていう方に会うことがあんまりなかったから、もしそこにそういう方がいたらちょっと好奇の目で見てしまうところももしかしたらあったかもしれないし。東京だったら、たくさんそういう方いらっしゃるから、あるかもしれないけど、香川だとそれがあるんだなと思うと、見てて悲しくなりました。泣きそうになりました」
永井アナウンサー
「ただ、お友達もたくさんいる香川ですけども、周りが無自覚、意識がない中での言葉だから余計にやっぱり指摘はしづらいっていうのがあったんですね」
ジョーンズ菜希亜さん
「そうですね。やっぱり、悪気があって言ってるんじゃないなってのが伝わってくるんで、どうやって伝えたらいいのかとか、いろいろ悩むことがあっても、そのまま話流しちゃったりとかもしてましたね」

無自覚なマイクロアグレッション「NJD」
永井アナウンサー
「マイクロアグレッションというものが少しずつ見えてきました。それを分かりやすく伝えようとしている人がいるんです。お呼びいたします。漫画家の星野ルネさんです。ルネさんは、カメルーン生まれで日本育ち。ご自身の体験を基にした漫画で今とても話題になっています。冒頭でも映像で出てきましたが、ルネさんも、いろんな立場からぜひよろしくお願いいたします。このルネさんが、マイクロアグレッションを説明するときに使っている、ある言葉があるんです。なんだと思います?“NJD”」
ガリベンズ矢野さん
「“NJD”?え?…“忍者です”」
永井アナウンサー
「あ、なんとなく想像してた答えですけども、違います(笑)」
ガリベンズ矢野さん
「ちょっと待って、なんとなく想像してたとかやめてくださいよ(笑)」
永井アナウンサー
「漫画を見れば分かるんです。じゃあ、ご紹介します」
「世界のグローバル化にともない、日本人像も多様化してきた」
「海外にもルーツのある日本人の悩みの一つは、日本語上手ですね」
「そしてこの先も永遠に続くかのような日本語上手ですね、NJDの行列…」
永井アナウンサー
「ということなんです」
ガリベンズ矢野さん
「なるほど」
永井アナウンサー
「こういうのって矢野さん、いかがです?」
ガリベンズ矢野さん
「言っちゃってるかもしれないですね。良かれと思って言ってるかもしれないですね」
永井アナウンサー
「菜希亜さんはこういう経験ありました?」
ジョーンズ菜希亜さん
「数えきれないほどありますね」
永井アナウンサー
「数えきれないほど!思わず今福井さんも“そうか”とのけっぞっちゃたけど、なんとなくそういうの、私たちも分かるような気がしますよね」
福井瑞穂さん
「僕も結構言っちゃったこと、実際あります」
永井アナウンサー
「ルネさん、この漫画、つまりそのNJDをテーマにしたの一体どうしてなんですか」
星野ルネさん
「やっぱり僕が日本全国いろんな若い子たち、海外ルーツある子たちに会う中で、結構悩みとして一番これが出てくる」
永井アナウンサー
「やっぱりこれなんですね」
星野ルネさん
「多いですね。これ、なにが辛いかっていうと日本で生まれて育ってるから一般の日本の子たちと変わらないんですよ立場が。なのに外国人扱いみたいな感じになっちゃうから疎外感がすごい。これ表現した方がいいなと」
永井アナウンサー
「なんか、せっかく同じ日本にいるのに切り離された存在にも感じちゃうということ?」
星野ルネさん
「そうなんですよ。急に自分だけ外国にぐっと押しやられる感じがするから、“同じ日本人やん!”ていう、子供たちの訴えを僕が漫画で代弁しようと思って」
永井アナウンサー
「なるほど。海外のルーツを持つ方はこういう経験がたくさんおありだということなんですが、福井さんのような立場の方は、例えばどんなマイクロアグレッション経験されてるんですか?」
福井瑞穂さん
「僕の場合は出生時、女性で生まれて育ってきたんですけども、今は戸籍上の性別も5年前に男性に訂正して、生活をしておるんですが、やっぱり小さいときからどうしてもボーイッシュで、髪刈り上げをしたりとか。あとはスカート履かなかったりとかしてたんで、周りから“なんで女の子なのに髪伸ばさないの?”とか“もっと女の子らしくしたら?なんで?男みたいにするん?”みたいに、すごい幼稚園から小学校からずっと小さい時から言われ続けていて、周りは悪意ないんですけども、やっぱりそれでちょっとずつちょっとずつ傷ついてきたりという経験があります」
永井アナウンサー
「悪意がない故に、周りにもやっぱ伝えられない?」
福井瑞穂さん
「言えなかったですね」
永井アナウンサー
「そこが難しいところですね。このマイクロアグレッションですけども、こういった性的マイノリティの方や海外にルーツを持つ方、こういった方だけじゃなく、専門家の中には誰しもが傷つく場合もあるというふうに指摘しているんです。ということで、街中の人にもお話を聞いてみました」

街の人のマイクロアグレッション体験談
若手社員
「当たり前の仕事をして、“こんなこともできるようになったんやね”とか言われたときに前々からできるのにな、とか見てもらってないな、とか。もっとできるのにそれを理解いただいてないなとか」
26歳男性
「もう26歳なんですけど、未成年に見られることがよくあるんで。別に悪いことはしてないので。たばこ吸うんですけど、毎回年齢確認される。別に向こうは傷つけてるわけじゃないけど、“ああ、はいはい、免許証ね”みたいな、もう完全顔やんみたいな」
ガリベンズ矢野さん
「うーん、あぁ…」
永井アナウンサー
「今、矢野さんも“あるある”みたいな」
ガリベンズ矢野さん
「ある、僕も逆ですけど僕は老けてるから、昔から“うわ老けてるね、老けてるね”って言われて、向こうは見た目まんまのこと言ってるだけだけど、こっちちょっと傷ついてるよっていう…」
永井アナウンサー
「福井さんも、最後のくだりのところ思わずうなずいてましたね」
福井瑞穂さん
「僕も5年くらい前まで、コンビニ行ってビール好きなんで買おうと思ったら“身分証明書”ってすごく何回も言われて。30歳ぐらいでも言われました」
永井アナウンサー
「そうですか。学生のみなさんも今うんうんてうなずきながら見ていましたが、さっき真ん中の段いったからじゃあこっち左側の段いきますか?宮本さん、なにか経験あります?」
学生 宮本さん
「自分はお酒が弱いんですけど、飲み会の時にみんながビールを頼んでるときに自分だけソフトドリンクを頼んだ時に、“男なのに、お酒飲めないの?”って言われたことがあって、それが少し傷つきました」
永井アナウンサー ガリベンズ矢野さん
「これは言いがち…我々世代は特にね」
永井アナウンサー
「竹内さんどうですか、お隣」
学生 竹内さん
「私は、“若いのに彼氏つくらないの?”みたいな感じで言われることがあったんですけど、若いからって恋愛するわけじゃないと思うし、人それぞれ優先したいこととかは違うと思うので。若いから恋愛をするみたいな決めつけは、ちょっと違うんじゃないかなという風に思いました」
永井アナウンサー
「確かにね。竹内さんのこのお話の延長線上で、恥ずかしながらわたくしまだ、今年53歳で独身なんですよ。で転勤の度に言われるのが、“今回も単身赴任ですか?”って言われるのが、独身としては辛い。ちょっとモヤモヤ、切なくなっちゃう、ざわついちゃう…」
ガリベンズ矢野さん
「聞く方はほんとにただ質問をしてるだけだったりするんですけどね」
永井アナウンサー
「そうなんですよね。こうしてみますとマイクロアグレッションっていうのが、いろいろあるんですけれども、ただこういったものが繰り返されると、心身に影響があるというデータがあるんです。ここで再びエイブルディレクター、お願いします」
エイブルみちるディレクター
「マイクロアグレッションを研究している大東文化大学特任教授の渡辺雅之さんによると、マイクロアグレッションを受け続けると自己肯定感の低下、ストレス障害、うつ症状、さらには自殺願望につながる可能性があると指摘しています。つまりマイクロアグレッションを受けるとその人から生きる気力を奪ってしまうほど、受ける側のダメージは大きいのです」
永井アナウンサー
「こう聞きますと矢野さん、かなり深刻ですよね」
ガリベンズ矢野さん
「そうですね。それに、知らぬうちに自分が加担してるかもしれないってことですもんね」
永井アナウンサー
「そうそう。このあたりは受けた経験があるこのお2人に伺いたいんですけれども、福井さん、どうですか?今の話を聞いてなんとなく心当たるところってありましたか?」
福井瑞穂さん
「そうですね。僕も小さい時からずっとそういう言葉を受けてきたので、やっぱりそういう嫌な言葉を言われた日は夜眠れなかったりとか、その日お母さんが作ってくれたご飯が食べられなかったりとか、“なんでご飯食べられないの”と言われても、どうしても食が進まなかったり、ほんとに心身ともに参ってしまう時期っていうのはやっぱりありましたね」
永井アナウンサー
「菜希亜さんいかがです?」
ジョーンズ菜希亜さん
「そうですね。私もやっぱり積み重ねなんで、言われるたびに、何回も言われてるんですけど、やっぱり傷ついたりとか、それこそ同じで、夜思い出したりとか寝れなかったりとか、ありましたね」
永井アナウンサー
「ルネさんもそうなんじゃないですか?」
星野ルネさん
「いや僕もかなりありましたね。なんか、視力がいいこと前提で話される。アフリカっていうことで。遠くの看板とか“ちょっとあれ見て”って言われて“おっとっと”、みたいなことは。そういうのはジャブとして、積み重なってくるというか若いころはそれが結構、しんどかったですね」
永井アナウンサー
「でもこういうお話を伺っていますと、矢野さん、今この番組見てる方もそうだと思うし、もしかしたら学生の皆さんもそうだと思うんですけれども、ついついなんか、言ってしまってるんじゃないかなと」
ガリベンズ矢野さん
「そうですね。言ってしまってるかもしれません」
永井アナウンサー
「マイクロアグレッション言っちゃってるんじゃないかなと、そんなちょっと気がしますよね。そこで、このあたりも街の人たちに聞いてみました」

どうしてマイクロアグレッションしてしまうのか
街の男性
「職場で言いたくなりますね。もう結構、今結婚されてない人多いですから、今時40歳ぐらいでも。ふと、はよ結婚せんかとか」
街の女性
「どうしても昔からね“もっと女らしくしなさい”とかね。それは昔はよく言われましたよね。でも今はまあ年取ったから言う側になりましたね。あんまり細かいことを気にすると、もうこれ以上言っちゃいけない、あれ言っちゃいけない、これ言っちゃいけないと、言っちゃいけない言っちゃいけないで、かえって仲良くなれない」
永井アナウンサー
「みなさんの声いかがです?」
ガリベンズ矢野さん
「すごく分かります。もう、なんかがんじがらめで。聞くこともできないし、これ聞いたら失礼なのかなとか思っちゃったら、もしかしたらほんと仲良くなれないかもしれないなっていうのもちょっと思いましたね」
永井アナウンサー
「これ、言う側の方は、じゃあどういう気持ちなのかというところを実はルネさんは漫画にしてくれています。先ほどのNJDをテーマにしたものなんですけども、ご紹介します。まずこちらからです」
「友人たちとの飲み会でのできごと」
「これとこれをください」
「初めて出会ったその人の日本語がとても上手だったので、どんな人か知りたいなぁ~」
「仲良くなりたくて」
「あの、日本語すごくお上手ですね!」
そうしたら
「えっと…私…日本育ちの日本人だから…」
永井アナウンサー
「と言うようなお話です。これ見たらなんとなくありそうな、言う側としてもありそうな」
ガリベンズ矢野さん
「ほんとそうですね。ほんと良かれと思って言ってるんですけどね」
永井アナウンサー
「学生のみなさんもどうですか、こういった例というのは例えば右の段にいきましょうか。村上さんいかがです?」
学生 村上さん
「はい、私だと例えばちょっと露出度の高い服とか、着飾ったような服を着ているときに異性の友達から“どしたん、それ彼氏でもできたん?”とか“それ男のために着てるの?”と言われて、ちょっと傷ついたことがあったんですけど、きっと本人としてはちょっと冗談めいて言うことで、場の雰囲気を和ませるというか、そういう意図で言ったんじゃないかなと思ってます」
永井アナウンサー
「なるほどね。左後ろの菊池さんも、じっとこちらを見ながら、お話伺ってますが、どうですか?」
学生 菊池さん
「そうですね。私も向こうが誉め言葉として言ってくれてるんだろうなっていうのはなんとなく分かるんですけど、バイト先の人からとか、仲良くなりたての友人から“若いのに落ち着いてるね”とか、“若いのにしっかりしてるね”とか言われることが多くて、その“若いのに”っていう枕詞を使うことによって何か若者へのステレオタイプを押し付けられたような気持になって、性格と年齢って必ずしも関係しないのになってモヤっとしたことがあります」
永井アナウンサー
「ルネさんもこの漫画を作成するときは、さまざま取材したと思うんですけれどもどんなことに気づきました?」
星野ルネさん
「やっぱり、マイクロアグレッション受けてる側の視点で書くことは多かったんですけど、実際こう人に聞いたらどうかと言うと、やっぱり褒めたいというか、日本語うまいから純粋に褒めたいとか仲良くなりたくて。褒めてマイナスになることなんかこの世の中にはないだろうって思っている。でも実際にはやっぱり日本生まれ日本育ちの人とかだと、日本語うまいとか、あと例えばお箸がうまいとかって言われると、外国人扱いされちゃってる、って感じになっちゃうから分かんないですよね、そこが」

どうすればマイクロアグレッションを減らせるのか?
永井アナウンサー
「さあ矢野さん。もうほんと超特急の26分なんですけれども、ここから実際、今日こうやって松山の大学生20人にお越しいただきました。こういった僕たちの意識をどうやってアップデートしたらよいのかということで、アップデート提言というのをみなさんに書いていただきたいと思います。いいですか。この時間の中で書いてください。じゃあお願いいたします」
ガリベンズ矢野さん
「書ける?大丈夫?」
永井アナウンサー
「いいですか?時間ないですからね」
ガリベンズ矢野さん
「大丈夫?その間なんか、モノマネで繋いでましょうか?」
(笑)
永井アナウンサー
「それよりも大事なのは、ちゃんとルネさんがじゃあどうしたらということで、これも漫画にしてくれてるんです。お願いします」
星野ルネさん
「私の提言はこちらになります。“お互いに伝え合える環境を整えていく”というのは先ほどからお話してる通り、言ってる側は悪気はないし、無自覚なんですよ。言われてる方だけ傷ついてる。でもそれは言えない、っていう状況になっていて。これどうするかって言ったときに、やっぱり伝えやすい状況にならないといけない。言ったら関係壊れたり気まずくなっちゃうんじゃないかなっていうふうになると、言う側も言われる側も進展しないので、“ごめん今の傷ついた”って言える。言った側も“そうだったんだOK!分かった分かった!”と言って素直に受け取れてお互いにアップデートし合える関係性を社会で作っていくっていうのがやっぱり、“責め合うんじゃなくて、一緒に高めっていきましょうよ”っていう」
永井アナウンサー
「なるほど、菜希亜さんいかがです?」
ジョーンズ菜希亜さん
「まったくその通りだと思いますね。やっぱりお互い伝えていって、そこでやっと自分が言ってることが良くないことなのかな、とか気付けると思いますし、私も伝えていきたいなと思いますね」
永井アナウンサー
「さあみなさん!あっという間に書いてくれましたね。さあ出しますよ、どうぞ!」
永井アナウンサー
「お!いろいろ書いてくれました。じゃあ、左の段の方からいこうか。岩見さん、“たくさん人と関わって知る”と書いてくれました。これは一体どういうことですか」
学生 岩見さん
「そうですね。さまざまな人がいると思うので、いろんな人と関わることで、その人がどう考えるかとか、どのようなことでどう思うかっていうのを知ることができるので、人と関わって知っていくっていうのが、大事だと思います」
永井アナウンサー
「真ん中の段の一番左、江原さん。“常に相手に寄りそう”これは?」
学生 江原さん
「他の人と話してるときは、結構気を使ったりするんですけど、友達と話したりするときとかはあんまり気を使ってなくて、なのでボケたりツッコんだりするときは、気を使いたいなっていうふうに思いました」
永井アナウンサー
「右の段の方も“互いに尊重し合う”とか、いろんな意見をいただきました。矢野さん。最後に一言いただけますか」
ガリベンズ矢野さん
「まず、知ることから始めるということが大事だなっていう風に思いましたね。この短い時間でしたけど、みなさんの意見とか聞いて、“あ、まず知れて第一歩踏み出せたな”と思いました」
永井アナウンサー
「知ることから、より良い人づきあいが生まれていくということ。ということでみなさん今日はありがとうございました!」
ガリベンズ矢野さん
「ありがとうございました!」