連日、新たな事実が明らかになっている中古車販売会社「ビッグモーター」。修理費用を水増しして保険金を不正に請求するため、修理を担う「板金・塗装」の部門で故意に車に傷をつける事例が横行していたとされています。ビッグモーターの幹部は7月25日の会見で、「板金・塗装」部門以外「売買」などのほかのすべての部門の不正について想定できる調査を行う方針を明らかにしました。
こうした中、いま全国の消費生活センターなどに寄せられる中古車の売却に関する相談件数が増加傾向にあります。私たちは中古車の売買や整備、修理などを行うとき、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
自動車業界を長年取材し、今回のビッグモーターの不正請求問題も追及し続けてきた自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんにそのポイントを教えてもらいました。
(クローズアップ現代 取材班)
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【中古車を買うとき】
加藤さんのポイント!
これまでの取材で、プライスボードの値段に車のコーティング費用など、必ずしも必要とはいえないオプションの料金をあらかじめ含んでいる店がありました。希望する車のプライスボードの内訳は購入を決める前に確認することが大切です。何に使われる費用なのか分からない場合は、うやむやにするのではなくしっかりと確認し、必ず支払総額に含まなければいけないものなのか納得してから契約するようにしましょう。
【中古車を売るとき】
加藤さんのポイント!
取材したあるケースです。複数社に見積もりを依頼し、他社が100万円、120万円と査定を出す中で150万円で買い取るという業者がいたため、そこに車を売った人がいました。後日、その業者から電話がかかってきて、『車をよく調べたら修復歴があったため、買い取り額を50万円~70万円減額します』と値段を下げられたといいます。
上記のように、売買契約締結後に修復歴を持ち出して契約解除や減額を求めるトラブルが増えているとして、今年3月、国民生活センターも注意喚起をしています。事故歴や修復歴を事前に適切に告げていた場合、契約後の修復歴等を理由とした契約の解除や減額には応じる必要はありません。
【修理や車検に出すとき】
加藤さんのポイント!
修理に出した車が戻ってきた際に「ヘッドライトが壊れていました」「タイヤがパンクしていました」など事後的に報告があり、料金を加算されたケースがありました。契約時に、修理を行う箇所は依頼した箇所のみにすること、もし事前の契約にはない箇所を修理する場合は作業前に必ず連絡し、合意の上で修理を始めることを念を押して確認しましょう。また、覚えのない傷の修理代金を請求されることを防ぐために、預ける前の車の状態をしっかりと記録しておくことが大切です。カメラなどで写真を撮るだけでなく、動画で車の周りを一周ゆっくりとまんべんなく撮影したものを残しておくことがベストです。
加藤さん:
「事故にあって車を出す、修理を依頼するということは、多くの人にとって経験する機会は少ないかと思います。車にまつわる税や保険などについて、詳しくない人も多いでしょう。しかし今回、ビッグモーターの問題を取材していると、そうした事情に詳しくない人ほど、悪質な手口で狙われるきっかけになっていたことがわかりました。メカニカルな部分を深く知る必要はありませんが、車の買い方や売り方、車検や修理など維持の仕方を知ること、その際に気をつけるべき点を覚えておくことは大事なことだと思います。しかし、実際にトラブルに見舞われてしまった際、そうした知識を持っていなかったから自分の落ち度であると考えてしまうことは全くありません。これまでの取材経験上、ご自身を責めて泣き寝入りされる方も少なくありませんでしたが、それは違います。もし、トラブルにあっても、諦めずに、下記のような相談窓口に相談するなど、納得のいく解決方法を見つけましょう」
【相談窓口】
■消費生活相談窓口
*消費者ホットライン「188(いやや!)」番
最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
■JPUC車売却消費者相談室
車の買い取りの事業者団体である一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)には、車の売却に関する専門の消費者相談窓口が設置されており、不安に思った場合やトラブルになった場合に相談することができます。
電話番号 0120-93-4595/受付時間 平日9:00-17:00
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