ヒマラヤ “悪魔の谷”~人跡未踏の秘境に挑む~

NHK
2023年7月30日 午後9:48 公開

番組のエッセンスを5分の動画でお届けします

https://movie-a.nhk.or.jp/movie/?v=w42gwic2&type=video&dir=XAw&sns=true&autoplay=false&mute=false

(2023年7月30日の放送内容を基にしています)

この地球に、まだ人類が足を踏み入れたことのない場所がある。巨大な大地の裂け目。“悪魔の谷”と人は言う。

住民「あの谷には水の悪魔がすんでいる。中に入ると命はない」

世界の屋根・ヒマラヤの奥深く、立ち並ぶ奇岩の足元。岩山の間が深く切れ込み、漆黒の闇がのぞいている。幅十数m、深さ200m以上。谷底を見た者は、いない。谷の名は「セティ・ゴルジュ」。この人類未踏の谷底に挑む者が現れた。世界的な渓谷探検家、田中彰と大西良治だ。それは、命がけの冒険だった。

壮大な冒険の旅路は、この恐るべき谷を生んだヒマラヤの真の姿へと私たちを導いた。人類が初めて立つ場所へ。想像を絶する未知への挑戦が、いま始まる。

<セティ・ゴルジュとは?>

地球上をくまなく探検し尽くしてきた人類。しかし、いまだたどりつかない場所がある。ネパールの中央部、標高7000m級の山々が並ぶ、アンナプルナ山群。「豊穣(ほうじょう)の女神」の名を持つ、聖なる山々に囲まれた深い谷だ。そこは、多くの科学者にも注目されている。半世紀にわたり、ヒマラヤの成り立ちを研究する京都大学名誉教授・酒井治孝も、その一人だ。

京都大学名誉教授 酒井治孝「これはフランスの地質調査チームが作ったアンナプルナ地域の地質図です。ここをご覧になると分かるとおり、セティ川の源流地域だけ真っ白く取り残されているわけです。ここには大絶壁があって、『あんなところは行けない』ということで、どの国の人たちもここで調査を諦めて帰って来ているんです」

アンナプルナ山群に囲まれた、盆地の中の空白地帯。中央に流れるセティ川の一部が、深い谷となっている。衛星画像を解析すると、谷は標高3500m付近から全長5kmにわたって続く(下画像)。世界でも極めてまれな、狭く深い谷「セティ・ゴルジュ」だ。その成り立ちは“謎”とされている。「ゴルジュ」とは、両側を崖に挟まれた谷のこと。調査は困難を極める。中でもセティ・ゴルジュは世界最大規模だ。かつてこのゴルジュに挑んだ者はなく、酒井たち科学者も、谷の全貌に迫るきっかけをつかめずにいた。

そこに名乗りを上げる者たちが現れた。

世界のゴルジュを踏破してきた渓谷探検家・田中彰(50)。水の流れを読み、谷の中を進む技術は、世界トップクラスだ。

そして、パートナーの大西良治(46)。大西の特技はクライミング。そのスキルもまた世界屈指だ。

彼らはセティ・ゴルジュを目指し、4年ほど前から独自に計画を進めてきた。最大にして最難関の目標に向け、二人の人生をかけた挑戦がいよいよ始まる。今回、田中と大西のゴルジュ挑戦に合わせ、科学者・酒井が、谷の成り立ちに迫ることとなった。NHK隊はそれを記録する。

<いざセティ・ゴルジュへ>

2022年11月。田中と大西はネパールに入った。

渓谷探検家 田中彰「大パノラマです!高いなぁやっぱり。はるかに上ですね。雲に隠れちゃったけれど、あそこに『マチャプチャレ』があって、『アンナプルナⅢ』があって、あの下、あそこ(上画像 矢印部分)!」

セティ川上流の村の人々は、川を恐れていた。

住民「セティ川は、氾濫する恐ろしい悪魔。竜のようです」

村の祈とう師が、探検の安全を祈ってくれた。

祈とう師「神よ、どうか身の安全をお守りください。無事に帰って来られますように。彼らの探検が成し遂げられますように」

いよいよゴルジュへ向かう。ルートが一切ないため、ヘリコプターで空から偵察だ。

見えてきた漆黒の割れ目「セティ・ゴルジュ」。地元のパイロットでさえ、初めて飛ぶ谷だ。高度を下げ、着陸できそうな場所を探してみる。しかし、とがった針山が、ゴルジュの周りにびっしりと並んでいる。まさに“悪魔の谷”だ。

田中「とんでもねえ」

そのとき、田中が気になる場所を見つけた。断崖の途中のわずかに平らな場所だ。

田中「あそこをチェックしたいです。平らに見えるので。着陸できますか?」

パイロット「できます」

ゴルジュのすぐそばに、奇跡的に着陸地点が見つかった。背後には滝がある。

田中「とんでもないですよ。全然デカそうに見えないけれど、(高さを測ってみると)144m。周りの景色がデカすぎて、まひしています」

40階建ての高層ビルと同じ高さだ。

ここに拠点を設置することになった。天空のベースキャンプだ。

田中たちは、早速ゴルジュ周辺の調査を開始する。NHK隊はドローンを飛ばし、セティ・ゴルジュの地形を調べることにした。

ベースキャンプの背後の滝の流れは、セティ・ゴルジュへとつながっている(上画像)。

ゴルジュを真上からのぞいても、谷底は見えない。近づくと、崖が複雑に入り組んでいて、幅が10mを切る場所もある(上画像)。

ここまでの調査で、周辺の地形が明らかになってきた。セティ・ゴルジュの源流にそびえるアンナプルナⅢとⅣの麓から、異様な針山が延々と並ぶ。そして、針山の崖に、天空のベースキャンプを設置。ゴルジュは針山の間に始まり、ベースキャンプのすぐ下を通って、下流へとつながっていた(上画像)。

田中たちは、まずキャンプに近く比較的浅いと思われる「下流部」から、調査をはじめた。

田中「ついに、ゴルジュの底へ。さあどうなっているんでしょうか?暗黒やん・・・」

ゴルジュに降りる田中たちを、可能な限りドローンで追ってみた。上画像の中央、小さく見える田中の姿。圧倒的なヒマラヤのスケール。比較的浅い場所でもこの規模だ。

田中と大西は、探検の様子を自分たちのカメラで記録していく。

谷底で、未知の巨大な滝を発見した。

田中「すげーね。すさまじいね、これ」

人類が初めて目にする、セティ・ゴルジュの谷底。水温3℃の激流に身を投じ、調査を進める。

田中「中は真っ暗闇なのに、滴り落ちる水にだけ光が当たる。光の筋がシューっと下まで。すごくきれいです」

調査の結果、まず挑んだ比較的浅い場所でも、谷の深さは最大260m。30本もの滝が連なっていた。

しかし、これはまだ序の口だった。上流には、さらにとんでもないスケールの谷が待ち受けていた。深さが下流の倍もある、けた違いの「大ゴルジュ」。さらにその先には、幅が最も狭く、中が全くわからない「“最狭”ゴルジュ」が続いていた。この2つの谷底を、完全踏破することが目標となった。

<いよいよ探検本番!あえて厳冬期に>

2023年2月。2度目の遠征が始まった。今回はまず、ゴルジュの始まりより上の、標高3900mの地点にやってきた。「豊穣の女神」、標高7555mのアンナプルナⅢ、その東側には7525mのアンナプルナⅣがそびえていた。

渓谷探検家 大西良治「寒い。マイナス8℃でしたっけ?これから沢に行くなんて思えない雰囲気ですね」

田中「ほんまですよ」

田中は、あえて真冬を探検の時期に選んだ。ヒマラヤが凍りつき、川の水量が一年で最も少なくなるからだ。

真冬の冒険が始まった。雪に覆われた急斜面、高低差400mを一気にくだる。針山に挟まれるようにして、ゴルジュの入り口がある。

針山の間に入ると、大きな岩がゴロゴロと転がっている。

ゴルジュの上に並ぶ針山の高さは、200m以上。この場所に立って、初めて実感できる大きさだ。

出発から1時間半。標高3500m。ゴルジュの入口に到着した。

針山の直下、この場所が「セティ・ゴルジュ」の始まりだ(下画像)。まず挑むのは、「“最狭”ゴルジュ」。セティ・ゴルジュの中でも幅が最も狭く、中がどうなっているのか全くわからない。

探検の方法はこうだ。「谷底にロープを使って降り、流れに沿って下る。そして、あらかじめ“出口”として張ったロープで再び登って帰る」というものだ。

<セティ・ゴルジュ探検「“最狭”ゴルジュ」:極狭の“謎のゾーン”>

探検決行の日。田中たちは完全防水の装備に着替えた。カヌーなどで使われる市販のものだ。場所に応じて毎回、装備を厳選している。

谷底の水が濁っている。「セティ」とは、ネパール語で「白」の意味。細かい石の粒が溶けこんでいるためだ。気温はマイナス4℃。しかし、陽の光で雪どけしている。水量が増えないか、気がかりだ。

大西「ロープを抜いて退路を断ちます!」

降りてきたロープは回収する。この先、使うためだ。退路なき未知への挑戦。ここから先は、おのれの信念で動く、探検家だけの領域だ。

NHK隊「行っちゃいましたね、ついに。我々が足を踏み入れられないところへ・・・」

タイムリミットは日没。夜になれば、凍死のおそれがある。

いきなり高さ60mの滝が現れた。

大西「下が見えないけどね。結構時間がかかっているので、急がないといけない」

垂直の壁を、水しぶきを浴びながら降りていく。規則正しい“しま模様”の地層は、かつてヒマラヤが海の底にあった証拠だ。これほど見事な“しま”は、めったに見られない。

谷底には、ふぞろいの石がたまっている。すぐに、その原因がわかった。「落石」だ。

大西「うわー。降ってきた」

谷の幅は、わずか1m。

田中「ここ落石の巣!早く逃げないと。離脱しましょう」

大西「やばいやばい、めちゃめちゃ落ちてきている」

これまで経験したことのないすさまじさ。もしここでケガをしても、救助に来られる者はいない。命がけの冒険が続く。

午後2時35分。日没まで3時間。

両脇の崖にはさまった巨大な岩の下に、大きな滝が現れた。まるで“地獄の門”。深く、深く、落ちていく。

田中「古典的な地理的な探検というものは、僕らが生まれたときにはほぼ終わっていたはず。キャニオニング(渓谷探検)に関しては、まだ人が入っていない未踏の場所そして未知。空からも見ることができないところがまだまだある」

午後3時15分。突如、壮大な光景が目の前にひらけた。

田中「アッパーゴルジュ前半部(“最狭”ゴルジュ)を、抜けました!」

ここから先が「大ゴルジュ」。壁の高さは、400mを超えている(下画像)。

「“最狭”ゴルジュ」の終着点は、大ゴルジュ側から見ると、岩の裂け目にしか見えない(下画像)。まさに、究極のゴルジュだった。

田中「では、これで帰ります」

「“最狭”ゴルジュ」の終着点、“出口”のロープで地上へ。疲れた体で、160mをのぼり切った。

番組スタッフ「お疲れさまです。(顔が)真っ白」

田中「白い?」

未知に挑み、命がけの探検に身を投じる二人。自らの足で谷底を踏破することに、こだわりつづけている。

田中「下に行かないと見えない景色だったり、水の流れの力だったり、いろんな感覚ですよね。そういうものを体験しに行くんですよ。それは降りないとわからない」

大西「限界に挑戦していくというのに近いことだと思うんですよ。自分の気持ちが折れないところまで進んでいく。かつ、ちゃんと生きて帰れる判断をしていく。だからあっさり引くとかはないんですよ。しぶといです(笑)」

<セティ・ゴルジュ 誕生の秘密>

想像を超える谷の姿が明らかになってきた「セティ・ゴルジュ」。この驚くべき地形は、どう生まれたのか。いよいよ、科学調査も始まった。ヒマラヤ研究の第一人者・酒井治孝が、半世紀に及ぶ研究の集大成として、念願だったセティ・ゴルジュの成り立ちの解明に乗り出した。

京都大学名誉教授 酒井治孝「岩盤と氷河の境界の部分に、真っ白く走る面が見えます。それこそ『断層』だと思われます」

酒井が見つけたのは、雪の上からでもはっきりわかる地面の段差。大地がズレ動く割れ目、「断層」だ。

ヒマラヤ山脈は、インドがアジアにぶつかる大陸衝突によって、海底が隆起して生まれた。その後も押し合う大地の力が、ヒマラヤに多くの断層を作った。中でもセティ・ゴルジュ周辺は、断層とおぼしき地形が密集していることがわかった。そして、セティ・ゴルジュも断層である可能性があるといい、ちょうど盆地の出口にあたる。

大地がズレ動く断層は岩盤が弱く、水が流れこむと深い谷ができやすい。セティ・ゴルジュ周辺では、季節風が大量の雨と雪をもたらす。それがすべて断層へと流れ込み、深い谷を刻んだと考えられる。

さらに、ゴルジュの上にそそりたつ針山の成り立ちには、地球史上まれな大スペクタクルが隠されていた。酒井が注目したのは、ゴルジュの源流にあるアンナプルナⅢとⅣの間だ。「コル」と呼ばれるくぼんだ地形の横に、山がない空間がある(下画像)。そして、針山の急斜面はその空間に向かって伸びていた。

酒井治孝「針山が5000mの『コル(くぼみ)』のすぐ下まで続いていますから、やはりこれはコルの部分が“山体崩壊”したとしか説明のしようがないと思いますね」

酒井が考える針山誕生の物語は、こうだ。かつて、あの空間には、もう一つの山があった(下画像)。

しかし、巨大地震で山は崩壊。砕けた石灰質の岩石が、盆地を埋め尽くした(下画像)。その厚さは、なんと600m。砕けた岩石は水に溶けやすく、年月を経ると、次第に針山が並ぶ特殊な地形となったのだという。

田中たちが見てきた針山は、崩れやすい岩肌だった。「山体崩壊の岩石が積もった」とする、酒井の説と一致する。セティ・ゴルジュは、もともとあった岩盤の上に山体崩壊による岩石が積み重なったことで、さらに深くなったのだ。田中たちを苦しめたあのすさまじい落石も、ゴルジュの上に崩れやすい岩の層があることの証だ。

崩れた岩石の量から計算すると、かつてあった山の高さは8000mを超えていた可能性があるという。ヒマラヤの山々は、大陸衝突のエネルギーで今も隆起している。断層や地震も、押し合う大地の力で生じる。「山が生まれ、山が崩れる」。地球の壮大な営みが、世界でここだけの絶景を作ったのだ。

<セティ・ゴルジュ探検「大ゴルジュ」前半:圧倒的な側壁と大滝へのルート工作>

針山から「“最狭”ゴルジュ」までの調査を終えた田中たちの探検は、いよいよ大詰め。目指すのは400m以上の絶壁に囲まれた「大ゴルジュ」だ。世界の難関を踏破してきた田中と大西にとっても、かつてない規模のゴルジュ。絶壁の途中まで何度も降り、丹念に調べていく。

上の画像左に見えるのは、壁にとりついた大西。その右横には、「“最狭”ゴルジュ」の終着点が見える。

大ゴルジュは、ちっぽけな人間の存在をあざ笑うかのように、二人をのみこんでいく。果たして、“悪魔の谷”を踏破できるのか。

大ゴルジュの下流部に、絶壁の中腹から落ちる巨大な滝がある。二人は、この「大滝」の近くを最後の脱出地点に決めた。大滝は200mを垂直に落下し、水しぶきが谷底を覆っている。周囲は岩盤が固く、ロープを張るには好都合だ。探検はまずここに“出口”を作ることから始まった。大滝の上を目指し、田中たちは絶壁の“へり”を歩く。

田中「これは踏み外すと下まで行きますよ。おっかねー」

大西「心を無にしていかないと。普通の道だと思って。下を見ちゃいけない」

田中「花の咲き乱れる小道です。すごくきれい」

断崖に残されたかすかな踏み跡・・・獣道だ。

田中「今、鹿みたいなやつが横切りました。かなりデカいです」

田中「ここは、超怖いところです。スリップしたら、真っ逆さまです」「こんなところで滑ったら、心臓止まる」

急斜面を、崩れやすい砂利が覆っている。

田中「来た~!来られちゃいましたね。意外と。怖かったけど、来られた!」

大滝の50m手前で、出口となるロープをおろし始める。滝の水しぶきを浴びないよう、少し離れた場所を選んだ。

ロープは、登山でもめったに使わない100mの長さだ。それを4本も継ぎ足して出口を作る。

大西「虹がかかっていて、きれいですね」

断崖にかろうじて立てるスぺ―スがあった。大西はすかさず腹を満たす。

田中「やっぱり長いですね。こんな長い側壁、俺、降りたことないです(笑)」

大西「400m」

田中「すごいなぁ。高いなぁ」

田中がロープを固定しようとしていたやさき、想定外の事態が起きた。

突然、突風が吹き、滝のしぶきが猛烈に吹きつけてきた。

水温はわずか1℃。だが、この日は防水の装備は着ていない。全身、ずぶぬれになった。

田中「やべぇー、完全に滝の中に入った。あぁー冷たい」

急いで登るが、体は冷え切り、握力もなくなってくる。「低体温症」の危機だ。

田中「ちょっと、やばいやばい。止まると、ヤバイ」

二人は、命からがら脱出した。

<セティ・ゴルジュ探検「大ゴルジュ」後半:いよいよ大滝の谷底へ>

田中「今日うまくいけば、本流パート、すべて降りきることになります。何とか終わらせて、帰ってきたいと思います」

「“最狭”ゴルジュ」終着点から、いよいよ「大ゴルジュ」の谷底へ。「“最狭”ゴルジュ」から流れ落ちる滝に沿って、垂直の壁を降りていく。

午前10時30分。ついに、最も深いゴルジュの谷底に降り立った。一路、「大滝」へ。

大西「うわ!(大滝の水が)こっち来ちゃってるじゃん」

最後の関門。激しい“水のつぶて”。

大西「見えねー」

田中「うぉー。すさまじいぜ!」

午後2時すぎ。ついに、「大滝」の滝つぼに到着。

田中「ああーすごかった!すさまじい空間!めちゃくちゃ、すげぇー。遠くから見るのと、えらい違うな」

大西「違う!あの中、やばい!」

最も水が少ない真冬に、この圧倒的な水量。春には、どれほどのものになるのだろう。ゴルジュを刻んだのは、この「水」なのだ。この日、滝は初めて、人間に下から見上げられた。

午後4時。日没は近い。二人は、脱出を急ぐ。“出口”のロープで、地上まで400mを再びのぼる。

夜8時すぎ。ベースキャンプで待つNHK隊に、明かりが近づいてきた。

大西「すごい谷です。スケールが半端なかったです」

田中「終わったので、すっきりです」

計画から4年。二人の探検は、いま終わった。

田中「またすごいものが見られました。今までの経験をさらに上回るような、ものすごいものが見られました。美しくもあるし、とにかく荘厳でもあるし、怖くもあるし、いろんなものですよね。いま人間ができることは、やったかな」

人類が初めて挑んだ大峡谷「セティ・ゴルジュ」。踏破した3.5kmで、発見した滝は75。新たな地図が刻まれた。未知なるフロンティア。地球にはきっと、まだ人類の想像を超える場所があるに違いない。